白鵬のはたき込みにも似た(?)内からの「スルスル劇」
文/編集部
25日(日)に
千秋楽を迎えた
大相撲春場所は、
横綱・朝青龍と
大関・白鵬が2敗で並び、
優勝決定戦となった。
21度目の賜杯を狙う
朝青龍と、勝てば
2度目の優勝となる
白鵬。優勝決定戦は、誰もが息を呑んで見つめた。が、結果は実に呆気なかった。
立ち合いで
白鵬が変化を見せると、
朝青龍はついていけず、左手がなめるように土俵に触れた。軍配は
白鵬、決まり手は
はたき込み。その瞬間、
朝青龍は
苦笑いを浮かべ、
白鵬は
ガッツポーズをした。
いや、白鵬よ、変化してガッツポーズはないだろう。取り組み直後はそう思った。だが、
いや待てよ、と思い返した。
八百長疑惑に揺れる大相撲で、
これほどガチンコを表してる結果もないんじゃないか、と考え直したのだ。
結婚を発表し、綱取りを目指すためには絶好の優勝チャンスだった今場所。
白鵬は是が非でも勝ちたかったのだろう。その思いの結果が、変化しての
はたき込み。そして
ガッツポーズ。そう考えたら、この結果も悪くないかと思い直した。
マーチSもレース後は、
そりゃないよ、と思った。道中で最後方を追走していた
クワイエットデイは、3~4コーナーで内をスルスルと上がっていき、直線でも最内を突いて伸びた。
他の人馬にとっては、
はたき込みや
けたぐりを喰らわされた衝撃だったか。
あれをやられちゃしょうがない、と思った人も多かったことだろう。
でも、あれをやられちゃしょうがない
『あれ』をできたのが、
クワイエットデイの魅力であろう。
前走は
ハナを切って押し切り、今回は
最後方追走から重賞初制覇。好走にはいろんな条件が付きやすい競走馬の中で、この自在性は明らかに武器である。それを誇示するような
「内からのスルスル劇」だった。
白鵬と同じように、是が非でも勝ちたかった思いもあるだろう。キャリア34戦の7歳牡馬にとって、この先に多大なチャンスが広がっているとは考えづらい。
地方交流重賞に出ようにも、多くの賞金を抱えている馬たちが牛耳っているため、それもなかなか叶わない。
一戦必勝態勢が続いていたのではなかろうか。
クワイエットデイは、
00年生まれのサンデーサイレンス産駒で、二冠馬
ネオユニヴァースがいる世代である。
この世代の
サンデー産駒は大物揃いで、
ネオユニヴァース以外にも、秋の古馬G1を3連勝した
ゼンノロブロイや、牝馬三冠の
スティルインラブ、エ女王杯を連覇した
アドマイヤグルーヴ、牝馬天皇賞馬の
ヘヴンリーロマンス、昨年の高松宮記念を制した
オレハマッテルゼなどなど、G1馬がゴロゴロしている。G1馬以外にも、
リンカーンや
サクラプレジデントもいるし。
その中にあって、
5月31日生まれの
クワイエットデイは、同世代の全サンデー産駒の中で、
後ろから8番目に遅い生まれである。
2歳秋から走り始め、同世代の馬たちが続々と繁殖入りするなかでも走り続け、7歳にして重賞初制覇。22歳の白鵬とは違った意味も含めた
「おめでとう」の言葉が似合いそうだ。
そういえば、
クワイエットデイは5月末生まれだから、
満年齢ではまだ
6歳なんだな。7歳、7歳ってあんまり言うと、怒られるかもしれないな(笑)。