ダービー卿CTと安田記念は線で繋がっていなければならない
文/編集部
スタートで大きく出遅れた
ダンスインザモアが
7着に敗退。
ダービー卿CTにおける
1番人気の連敗記録は
「11」に伸びてしまった。
さらに、復活が期待された
ロジックが2番人気に推されたものの、見せ場なく
11着。
マイルで4戦4勝と底を見せていなかった
サイレントプライドが3番人気に支持されたが、これまた
4着に敗退。
1着は
7番人気の
ピカレスクコート、2着は
9番人気の
コイウタ、3着は
11番人気の
マイネルハーティー。馬単は5年連続で万馬券決着となり、3連複は
10万馬券、3連単は
41万馬券が飛び出した。
この波乱の結果を見て、
「まあ、そうなるよなあ」というのが率直な感想だ。馬券を外した負け惜しみで言っているつもりは毛頭ない。
だって、この出走馬を見た時、
「いったい何を頼りにすればいいんですか~!」と思ったもの。まるで
『電波少年』で黒マスクをされ、見知らぬ土地に連行された芸人さんの心境(笑)。頼るすべが見当たらないという。
出走馬を見ると、
デアリングハート(6着)、
ウインクリューガー(9着)、
ローマンエンパイア(14着)の3頭は休み明けだったが、それ以外の12頭は今年に入ってからレースに出走している。
それなのに、12頭のうちで今年に勝利を挙げたのは
サイレントプライド、
ピカレスクコート、
ダンスインザモア。わずか3頭しかいない。条件を連対としても
インセンティブガイが加わるだけで、3着以内にまで広げても
ニシノデュー1頭が該当するのみだ。
また、1着の
ピカレスクコートは
準OPを卒業したばかり。2着
コイウタ、3着
マイネルハーティーは前走の
東風Sで
13着と
11着。
ピカレスクコートは仏G2の
ダニエルウィルデンシュタイン賞(芝1600)で2着になった実績がある。
コイウタも
クイーンC1着、
桜花賞3着。
マイネルハーティーも
ニュージーランドT1着。3頭とも芝マイル重賞で実績を残しているのは認める。
だが、新興勢力の台頭をあっさり許したり、同じコースで行われた前哨戦(
東風S)からコロコロと着順が入れ替わったり。
マイル戦線の手薄さを露呈している結果とは言えまいか。
もちろん、勝った
ピカレスクコートのレースぶり、
秋山騎手の手綱捌きは賞賛に値する。馬群を器用に捌いて突き抜けた脚。中団でじっくりと脚を温存させ、絶妙だった仕掛けのタイミング、ロスなく馬をゴールに導いた鞍上の手腕は見事だと思う。
ただ、このメンバーが
安田記念に向かったとして、
スズカフェニックスや
ダイワメジャーといった実力馬を相手に好勝負に持ち込むのは難しいだろう。事実、今回のメンバーでは
デアリングハートと
ロジックが
昨秋のマイルCSに出走したが、結果は
13着、
17着に終わっていた。
過去15年、
ダービー卿CT組が
安田記念に直行した場合、その成績は
「0.0.0.14」。
京王杯SCは
[2.4.3.32]だが、その馬たちが
安田記念に向かった場合は
[0.0.0.16]となってしまう。
混戦は混戦で、馬券の興味をそそる大事な要素であることは間違いない。だがせめて、春のマイル王決定戦である
安田記念に向けて、
ダービー卿CTは興味をかき立てる結果であってほしい。
ダービー卿CTの延長線上に
安田記念があるなら、
点と点で存在するのではなく、
線で繋がっていなければならないからだ。でなければ、
ダービー卿CTの
国際交流指定競走という位置付けも単なるお飾りであって、この時期にレースを施行する意義は薄い。