『強い』こと、そして『デカい』ことが勝利の条件だったか
文/編集部
阪神牝馬Sは、昨年の勝ち馬が
ラインクラフト、一昨年が
アドマイヤグルーヴ、3年前が
ヘヴンリーロマンス、4年前が
ファインモーション。
ヘヴンリーロマンスはここを勝った後に
天皇賞馬となったが、他の3頭はすでに
G1馬として参戦していた。
強い馬が強いレースを見せて勝つ。それが
阪神牝馬Sなんだと思っていたが、
『強い馬』ということ以前に気づくべきことがあった。彼女たちは
『強い馬』である前に
『デカい馬』でもあったのだ。
ファインモーションは
494kg、
ヘヴンリーロマンスは
502kg、
アドマイヤグルーヴは
478kg、
ラインクラフトは
468kg。
ラインクラフトは
『デカい』とまでは言い切れないけど、
『小さい』わけではない。
阪神牝馬Sが
マイル戦となったのは96年からで、
1400m戦となったのは昨年から。96年以降の優勝馬11頭の馬体重を調べたら、もっとも軽い馬でも
450kg(98年
エガオヲミセテ)だった。
一方、馬体重が448kg以下の馬の成績は
[0.2.5.36]。惜敗続きだった。
こんなことを思いついたのは、今回のレースで、
ディアデラノビアが伸びきれなかったからに他ならない。
ディアデラノビアは、前走の
京都牝馬Sを4馬身差で快勝したことで断然人気になっていたが、これまで阪神の芝重賞は3戦して最高3着。もうひとつ伸びきれない印象があった。その理由が何なのか、いまいち分からなかったのだが、やはり
阪神の馬場、そして
坂が、小柄な彼女にはこたえるのだろう。
436kgの
ディアデラノビアを交わして優勝した
ジョリーダンスは
474kg、2着の
アグネスラズベリは
506kg。連続開催7週目の馬場に
小雨も混じり、よりパワーを要する馬場になったことも、
ディアデラノビアには厳しく、1&2着馬には向いた印象だ。
優勝した
ジョリーダンスは、
開催後半もしくは
連続開催後半の芝で5勝を挙げてきた馬で、
稍重の芝も2戦2勝。
恵みの雨だったのは間違いない。
それにしても切れ味が良かった。道中は内で溜めて、4コーナーから直線に向いたところで外に出されて襲いかかる、お手本のようなレース運びだった。
これで
ジョリーダンスは6勝すべてを
ひと桁馬番で挙げたことになる。
ふた桁馬番では4、12、2、8、4着と勝ち切れないが、内で溜められれば末が斬れる。器用さも持ちながら、パワーもある。条件が整えば、今後の牝馬重賞戦線でも面白い存在になるに違いない。
逆に心配なのは
アサヒライジングだ。
桜花賞4着、
オークス3着、
アメリカンオークス2着、
秋華賞2着、
エ女王杯4着と、昨年の牝馬G1戦線で善戦を繰り返してきた彼女が、年明けからの2戦が
13着、
8着。前走は出遅れて揉まれ、今回は競り掛けて失速と、歯車がズレてしまっている。
このまま終わってしまうのか……。
スターロッチの牝系を持つ
ロイヤルタッチを父に持ち、母父には
シンザン系の
ミナガワマンナを持つ彼女。
日はまた昇る。そう信じて次走以降を見守りたい。