当たり年があると思うのは凡人の証。一流にはスランプなどない!?
文/編集部
シンガポール航空国際Cを
シャドウゲイトで快勝した
田中勝春騎手を見て、
やっぱり当たり年ってあるよな、と感じていた。
ご存じの通り、
田中勝春騎手は、今年の
皐月賞を
ヴィクトリーで制して、
15年ぶりの中央G1勝利を記録したわけだが、その1ヶ月後には
国際G1ジョッキーの仲間入り。
当たり年というか
巡り合わせというか、いずれにしても、今年の
田中勝春騎手にはいい風が吹いていると思っていた。
一方、こちらもご存じの通り、
武豊騎手は、今年は成績がいまいち伸び切れていない。一昨年には
ディープインパクトで
三冠を制し、昨年もG1を6勝。
その揺り戻しが今年は起こってるんじゃないか、とヘンな勘ぐりをし始めているところだった。
そして、実は最近、栗東の
角居厩舎にも
揺り戻し現象が発生しているんじゃないかと、感じ始めていた。
昨年は
カネヒキリが
フェブラリーSを勝ち、
ウオッカが
阪神JFを快勝。そればかりでなく、豪州最大のレースである
メルボルンCでは、
1&2着に入る歴史的快挙をやってのけた。
それに対して今年は、
ウオッカの
チューリップ賞や
トーセンキャプテンの
アーリントンCなど、重賞3勝を記録しているものの、G1では
ウオッカが
桜花賞で敗れ、
天皇賞・春でも
デルタブルースが
12着、
ヴィクトリアマイルの
ディアデラノビアも
6着となり、どうも歯車が合ってない気がしたのだ。
今年の月別勝利数を調べても、それを裏付けるような数字になっていた。
1月 20戦
3勝2月 19戦
2勝3月 20戦
6勝4月 20戦
1勝5月 14戦
1勝(5月20日現在)
3月までは
1割以上の勝率、
2割以上の連対率を維持していたが、4月以降は勝率が
1割を、連対率も
2割を切っている。
どうしたんだ?と思わざるを得なかった。
だから、
ダービーに挑戦した
ウオッカは
単勝3番人気、
目黒記念に挑むディフェンディングチャンピオンの
ポップロックは
単勝1番人気に推されたが、
大丈夫か?との心配の方が先に立っていた。
ところが、この結果だ。
ウオッカは
64年ぶりの牝馬ダービー馬に輝き、
ポップロックは
連覇を達成。両馬とも前走で苦杯を嘗めていたが、きっちりと巻き返して成果を収めた。
当たり年がある、とか、
揺り戻しが来る、なんて考えるのは、
凡人の証なんですかねぇ(笑)。馬券での勝利が長続きしない習慣が染みついてるものだから、
「いいことはいつまでも続かない」って考えちゃう。
角居厩舎の重賞連勝、
トップハンデ馬を勝利を導いた武豊騎手の手綱さばきを目の当たりにした今となっては、むしろ
「一流にスランプなし」と言うべきなのだろう。。。
ポップロックは、昨年優勝時が
ハンデ54kg。今年は
4.5kg増の
58.5kgで優勝した。それだけじゃなく、走破タイムは
1秒7も短縮、上がり3Fは
1秒6も縮めている。
今回計時した上がり3Fは
34秒5だが、これは国内でのキャリア(芝)19戦で、2番目に速いもの。昨年までは、道悪になって
スタミナ比べになった時の方が良さそうな印象があったが、
母父サンデーの影響力が出てきたか、だんだんと速い上がりにも対応してきている。
昨春以降は10戦5勝、2着3回で、連を外したのは海外遠征初戦だった
コーフィールドC(7着)と
ドバイシーマC(6着)だけ。レース内容にも進化が窺えるので、
初G1タイトルにもリーチがかかったと見るべきなのだろう。
一方、3歳馬ながら、最後に大外を追い込んで2着となった
ココナッツパンチについては、
弥生賞2着の実力はダテではなかったと言うべきか。ただ、
51kgという軽ハンデを味方に付けたことも、やはり事実だろう。
87年以降の近20年で、
ハンデ51kg以下で重賞連対を果たした馬は、
ココナッツパンチで75頭目だが、これまでの74頭の次走成績は、
[4.7.2.59]。重賞に限れば
[1.4.2.42]で、勝ち馬は
89年京都牝馬Sを優勝した
リキアイノーザンしか出ていない。
ココナッツパンチは、
次走こそが試金石となるのではないだろうか。