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只者ではない馬に、血統的な縛りは通用しないもの
文/編集部

人気を分け合ったライバル・フェラーリピサをゴール寸前で差し切り、破竹の4連勝を飾ったロングプライド。4連勝の内容も非常に濃いものであったが、ユニコーンSで見せた強さも感服するばかりだった。

沈丁花賞では、「サクラローレル産駒はダート未勝利勝ち後、昇級初戦のダートでは[1.2.3.15]と連勝したケースは1回のみ」と出馬コメントで書いたが、単勝1.8倍の圧倒的支持にきっちり応えて2連勝。

端午Sでは、「サクラローレル産駒はダートのOP特別で[0.5.2.9]と勝ったことはない」と書いたが、メンバー中最速となる上がり36秒2という桁違いの豪脚を披露し(上がり2位は37秒9)、7馬身突き抜けて3連勝。

これならどうだと、ユニコーンSでは、「父ブラッシンググルーム系は東京ダート1600重賞で[0.1.1.10]という成績」とメインレースの考え方で触れたが、メンバー中最速となる上がり(36秒3)でライバル勢、データをねじ伏せて4連勝。

不振のデータのハードルを立てても立てても、ことごとく飛び越えられてしまったというわけだ。重賞を制するような馬には、血統的な縛りが通用しないことはよくあるが、これだけ連続して跳ね返されるともはや脱帽。むしろ清々しい気さえする。

さらにロングプライドは、レース直前のアクシデントすらも寄せつけなかった。発走直前に④番シャドウストライプがゲート内で暴れ、それが隣の枠の⑤番ドラゴンファイヤーにも飛び火。

結局、ドラゴンファイヤーは馬体に故障を発症し競走除外。レースの発走は予定時刻を大幅に過ぎた。シャドウストライプは見せ場なく12着に敗れたが、その影響としか考えられない惨敗を喫した。

普通の馬なら、しかも3歳という若駒ならなおさら、レースにも影響を及ぼしそうなもの。シャドウストライプの敗戦もやむを得ないと思う。だが、ロングプライドはその騒ぎに動じることなく、能力通りの実力を示したのだ。

半馬身差の2着となったフェラーリピサに関しては、「斤量がロングプライドと同じ56キロだったら……」「出遅れて道中脚を使ってしまった。出遅れがなければ……」など、着差が着差だけに、タラレバを言いたくなるところ。

それでも、ヒヤシンスSですでにコース経験のあるフェラーリピサに対し、ロングプライド東京ダート1600が初めてだったし、マイルで速い流れのレースもユニコーンSが初めてだった。

レースパフォーマンス、メンタル面などを総合的に判断しても、勝者はロングプライドが相応しい。もちろん勝利という結果を出しているのだから当たり前だけど、それは誰の目にも明らかだったはず。

また、テン乗りでロングプライドの力を余すところなく引き出した武豊騎手の手腕も見事だった。ゴール前を通過する際に、左こぶしでガッツポーズしたことからも、自身の騎乗が納得のいくものだったのだろう。

中央で3連勝したサクラローレル産駒ローマンエンパイア1頭だけだったが(新馬さざんか賞京成杯)、4連勝を達成したロングプライドローマンエンパイアを抜き、連勝記録の単独トップに躍り出た。

4連勝でユニコーンSを制したといえば、おじのウイングアローもそうだった。ウイングアローは次走、スーパーダートダービー(ジャパンダートダービーの前身)で5連勝を達成したが、果たしてロングプライドは!?

ユニコーンSの馬券は不発に終わったが、ロングプライドはやはり只者ではなかった。これまで意地悪なデータをあぶり出しつつも、薄々感づいてはいたのだけど……今回ではっきりと目が覚めました(笑)。ごめんよ、ロングプライド

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