ディアチャンスの勝利は単に勢いだけとは言い切れない
文/編集部
ショウナンパントル…
11番人気(39.5倍)、
ライラプス…
10番人気(23.9倍)、
ヤマトマリオン…
9番人気(20.5倍)、
スプリングドリュー…
7番人気(18.3倍)、
ソリッドプラチナム…
6番人気(13.6倍)。
出走していた重賞ウイナーは悲しくなるほど人気がなく、重賞で好走経験のない
ディアチャンスが
2番人気(4.4倍)、3歳馬の
ミスベロニカが
4番人気(6.5倍)と上位人気に推されていた。
重賞ウイナーの中には、近走で不振に喘いでいる馬がいるとはいえ、
「いくらなんでもその人気はやりすぎでは!?」と首を傾げたくなる単勝人気だった。
かつては
エリモエクセル(99年)、
ヤマカツスズラン(02年)、
アドマイヤグルーヴ(04年)、
ダイワエルシエーロ(05年)など、勝ち馬にはG1馬たちが名を連ね、レースでも
G1馬の威厳、貫禄を見せつけていたものだが……。
ヴィクトリアマイルが新設され、
ハンデ戦となってからは、
マーメイドSは
近走で好調期にある条件馬の出世レースへと変貌。レースがまったく異質のモノになってしまった。ちょっと残念……。
そうは言っても、馬券好きは馬券を買うわけで(笑)。結局、
サンレイジャスパーを軸に3連単を買ったものの、
ディアチャンスを頭で買えず撃沈。
「重賞好走馬をナメるな!」と誰に向けるでもない主張をして、重賞好走馬を1着で買ってみた。
その主張は儚く空を切り、終わってみれば、単勝人気は正しかったという結果に。
ディアチャンスを2番人気に推し上げたみなさんは、見る目がありますね(笑)。
1分58秒4で走破した
ディアチャンスは、芝2000の持ち時計を一気に
6秒6も短縮! 5、6番手あたりで流れに乗り、ラチ沿いから
上がり34秒5(メンバー中2位)の脚を使い、きっちりと抜け出した。
タイキシャトル牝馬は
マーメイドS以前で、
芝2000で
[1.2.1.34]という成績だったのだが、反論の余地もないほどの完勝だった。
53キロとはいえ、6歳でこれだけのパフォーマンスを発揮するとはビックリ。
シェルズレイ(4着)が大逃げを打ち、1000m通過は
58秒0。ただ、2着に好走した
ローズSの1000m通過が
58秒3だったことから、それはマイペースであり、
休み明けでも力は出し切ったと見れる。
サンレイジャスパー(2着)は
佐藤哲騎手が3~4コーナーで早めに仕掛け、上がりは
34秒6(メンバー中3位)。外、外から長くいい脚を使い、自分の長所をしっかりと発揮していた。
ソリッドプラチナム(3着)は直線一気で上がり
34秒2(メンバー中1位)。連覇は成らなかったが、
昨年のマーメイドSを彷彿とさせるレースぶりで、自分の競馬はできていた。
というふうに見ていくと、重賞で好走経験もあった上位馬たちは、きちんと能力通りに走っている。それらを寄せつけず、勝利を収めた
ディアチャンスは、単に勢いだけとは言い切れないというわけだ。
03年10月の新馬戦で
3着だった
ディアチャンス。その時の1着は
スイープトウショウ、2着は
アグネスラズベリだった。重賞戦線で名を馳せるまで、2頭と比べるとずいぶん遠回りをしてしまったが、青春はこれからかもしれない。
レースの質が変わった
マーメイドSに、自身の好調期が重なり合った千載一遇の機会。そのチャンスを見事にモノした
ディアチャンスの今後を、同馬に対する認識を改めて見守ってみたい。