人間界では王子がブームだが、これからの競馬界ではマダムが来る!?
文/編集部
NHKマイルCの
ピンクカメオに、
日本ダービーの
ウオッカなど、今年は何かと話題の多い
牝馬だが、
スプリント路線、しかもこの
北海道のスプリント重賞と言えば、昔から
牝馬が定番である。
札幌スプリントSという名称だった頃には、
ノーブルグラスが95&96年と連覇を達成。
函館に場所を移してからも、01年に
メジロダーリングが勝ち、03年以降は、
ビリーヴ、
シーイズトウショウ(連覇)、
ビーナスラインと4連勝中だった。そして、今年も
アグネスラズベリが勝ち、
牝馬5連勝を達成。02年は牝馬の出走がなかったので、これで
出走機会6連勝になった。
このレースは、14年の歴史の中で牝馬が8勝。牝馬が出走した13回の中で、連に絡まなかったのはたった2回。そのうち1回では3着に入っており、つまり、
牝馬が出走していながら馬券に絡まなかったケースは1回だけなのだ。
スプリント戦ということで、
牝馬特有の切れ味を発揮しやすいこと。それと、
滞在競馬で臨めることが、好走の大きな要因となっているのだろう。
「滞在競馬で落ち着いて臨めた」という話は、やはり牝馬の陣営から聞かれることが多い。輸送などでテンションが上がりやすいタイプも、
滞在競馬ではイレ込まずにレースに臨めるケースがよくある。そんな要素が絡み合い、この地でのスプリント重賞では、牝馬の台頭が目立っているのだろう。
しかし、そんな話は戦前から知れ渡っていたようだ。今年出走していた牝馬は3頭だったが、そのうち、
ビーナスラインが
2番人気に推され、
アグネスラズベリも
3番人気。
宝塚記念で3歳牝馬の
ウオッカを1番人気に押し上げたように、
「今年は(も?)女性にはかないませ~ん」と白旗を揚げている男性馬券者が多いのかもしれないが、いずれにしても、牝馬の活躍は戦前からある程度予見されていたと言える。
結果はその通り、牝馬の
アグネスラズベリが優勝したわけだが、この馬は、過去の優勝牝馬と比べると、ちょっとタイプが違っていた。
これまで優勝した牝馬はすべて
4~5歳で、
6歳以上の牝馬は[0.2.0.3]と勝ったことがなかったから。牝馬に限らなくても、このレースでの6歳以上は、
[1.6.2.53]と惜敗するケースが目立っていたのだ。まして、
アグネスラズベリは、
8度の重賞挑戦で1連対と、過去に高齢で好走した牝馬と比べると実績は劣っていたわけで…。
最内を突いて差し切ったレースを目の当たりにし、その直後には、
「スゴイな、牝馬が6歳にして重賞初制覇なんて。滅多にないぞ」と思ったものだ。
ところが、よくよく調べ直してみたら、今年はそんなケースが多かったんですよ。
先月の
マーメイドSでは、
6歳牝馬の
ディアチャンスが重賞挑戦3度目で優勝。4月の
福島牝馬Sを勝った
スプリングドリューは、5度目の重賞挑戦で初制覇した
7歳牝馬。
阪神牝馬Sで
アグネスラズベリを破って1着となった
ジョリーダンスも
6歳牝馬で、重賞挑戦3度目での初優勝だった。
おばちゃんフィーバー? いや、すみません、
お姉さんフィーバーに改めます(笑)。
人間界では
ハンカチ王子やら
ハニカミ王子やらがブームとなっているが、よし、これからの馬の世界では
『マダム』を推進していこうじゃないか!
『マクリマダム』とか
『イン突きマダム』とかでどうだ!? 全然ワクワクしない?(笑)
まあ、冗談は抜きにしても、最近は
牝馬であっても、より長く競走生活を送らせ、焦らずにじっくり育てる厩舎が増えているのは間違いないだろう。
ここ20年で、6歳以上の牝馬が重賞を勝ったケースは
38回あるが、そのうち実に
11回がここ2年(06&07年)のことなのである。
競走馬の世界では、
肉体面でのアンチエイジングが進んでいることを覚えておきたい。