ワイルドワンダーよ、星座ダート重賞で三冠を目指せ!?
文/編集部
海外のプロスポーツにおいて、
ホームと
アウェイでは天と地ほど待遇の差がある。ひとたび
アウェイの地に踏み入れば、敵チームは
ホームのファンから徹底的なブーイングをお見舞いされる。
ブーイングくらいならまだかわいい。以前、
スペインサッカーの
レアル・マドリード対バルセロナ戦においては、
フィーゴという選手がコーナーキックを蹴ろうとした際、ホームのファンから
豚の頭が投げつけられたこともあるほどだ。
プロキオンSにおいて、
ワイルドワンダーは
関東馬としてただ1頭参戦していた。周囲は
関西馬だらけで、完全にアウェイ状態。
しかも、
プロキオンSが重賞となった96年以降、
関西馬が11連勝中で、
関東馬は0勝。連対自体も、01年2着の
レイズスズランだけしかいなかった。その意味でも、完全にアウェイ状態。
そんな背景があることを知ってか知らずか、
ワイルドワンダーは
単勝1.7倍という断然の1番人気に推されることに。
関東のファンがこぞってワイルドワンダーの単勝を買い漁った? もちろん、それはないでしょうね(笑)。
ただ、
追い込み脚質だけに展開に左右されやすく、先行馬に比べてリスクは大きい。それでも
ワイルドワンダーは、
1400以下のダート重賞で5勝を挙げている
リミットレスビッドをも差し置いて、圧倒的な支持を集めた。
そこには関東馬も関西馬も関係ない。純粋に
ワイルドワンダーの強さを信じ、期待した数字が表れていた。そして、レースでもその期待にしっかりと応える。メンバー中最速となる
上がり36秒3の豪脚を繰り出し、2着
リミットレスビッド以下をゴボウ抜き。
レース後、
蛯名騎手は
「ちょっと掛かると聞いていたんで、道中は前に壁を作って進めたいと思っていましたが、思いのほかペースが速かったので、それほど苦労せずに折り合うことができました」と語っていた。
その言葉通り、前半1000m通過は
57秒4。これは過去11回のプロキオンSと比べても、もっとも速い通過タイム。
超がつくハイペースだ。今回の
ワイルドワンダーには、展開さえも味方していたのだ。
レッドソックス・松坂大輔投手が投じた外角低めの直球に手が出ず、三振を喫したメジャーリーガーが呆れた表情をすることがよくある。それと似た感覚だった。
「あんなボールを投げられたら打てません」=
「あんな脚を使われたら敵いません」という。
こうして、
ワイルドワンダー2、3着固定3連単は
ハズレ馬券に早変わり。
頭荒れを期待した男のスケベ心を軽く一蹴し、さらにその強さによって感服させてしまった。敵いません……。
今年のダート重賞は
プロキオンSで9レースを消化。そのうち、
関西馬7勝、関東馬は
ワイルドワンダーによる
2勝となっている。
このことからもわかるけど、
ワイルドワンダーは現在のダート界において、
関東期待の星なのだ。星だけに、
星座の名前が付いたレース(アンタレスS、プロキオンS)で強い!?(笑)
9月29日には、
シリウスSが控えているが、重賞連勝で輝きを一層増した
ワイルドワンダー。星座ダート重賞で
三冠をぜひとも達成してください(笑)。