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サンレイジャスパーの末脚がモヤモヤ、悔しさを吹き飛ばした
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文/安福良直

走る前は、見どころ満載のレースになるんじゃないかと思っていた。昨年の「サマー2000シリーズ」の覇者スウィフトカレントに、小倉大王メイショウカイドウ、夏と言えばヴィータローザ、そして、遅れてきた素質馬ニルヴァーナ

これだけ役者が揃えば、好レースになるのは間違いないと思ったのだが……。結果的に、いま名前の挙がった馬たちはほとんど見せ場がなかった。

1年ぶりのメイショウカイドウは3コーナーで早くも脱落。スウィフトカレントヴィータローザは、それぞれ58キロ57キロのハンデがこたえたのか、末脚不発。でも、この程度の斤量で音を上げる馬ではないから、状態がいまひとつだったのだろう。

一方、53キロのハンデをもらったニルヴァーナは、逃げたものの粘り切れず4着。今日は全兄のゴールドアリュール産駒が東西で新馬勝ちを果たしていて「血の勢い」もあったはずだが、追走してきたアラタマサモンズに捕まるようでは、物足りないとしか言いようがない。

ということで、ガッカリさせられた馬が多かったが、そのモヤモヤを吹き飛ばしたのが、サンレイジャスパーの末脚だった。

道中は馬群の真ん中で手応え良く追走。4コーナーを回ってから外に出し、鋭い末脚で一気に差し切った。夏場の重賞を牝馬が勝つ時の典型的なパターンと言っていいだろう。

重賞初制覇を果たしたサンレイジャスパーだが、その戦績を振り返ってみると、牝馬ながら「苦労人」というイメージがピッタリだ。昨夏のマーメイドSから重賞にチャレンジし続け、今回で12戦連続して重賞に出走。

その間、勝ち馬から1秒以上離されたのはヴィクトリアマイル(1秒3差の14着)のみで、あとは僅差の善戦がずっと続いていた。あと一歩の2着は4回もある。

この一年、これだけ重賞にチャレンジし続け、手が届きそうで届かなかった馬も珍しい。今日の末脚には、いままでたまっていた悔しさを一気に晴らすような爽快感もあったのだろう。

しかも、サンレイジャスパー血統が渋い。父は種牡馬としては超マイナーなミスズシャルダンで、サンレイジャスパーの他には中央で勝ち馬なし。ミスズシャルダンは現役時代に小倉大賞典を勝っていたから、親子で小倉の重賞制覇、という珍記録達成だ。

所属する高橋成厩舎は、いまでこそメイショウサムソンで注目されているが、サンレイジャスパーの他にもメイショウホムラ産駒メイショウバトラーで重賞を勝ちまくったりしていて、マイナー血統の馬を走らせたら天下一品かも。

2着になったニホンピロキースも、いい競馬をした。ここ3走重賞に挑戦し、いずれも先行して見せ場を作っていたが、今回は少し下げて前2頭を差しに行く競馬。前の2頭は捕まえたが、後ろにいたサンレイジャスパーの末脚の餌食になってしまった。

いい内容ではあったが、サンレイジャスパーに言わせれば「重賞チャレンジ4戦目で勝とうというのは、まだ早いわよ」といったところかな?

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