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今年の関屋記念は、秋への叩き台ではなく、飛躍のステップになる
文/編集部

サマー2000シリーズでもなければ、サマースプリントシリーズでもなく、ましてや世代最初の重賞でもない。関屋記念は、夏のローカル重賞の中にあって、いつの間にか孤独な存在になりつつある。

でも、馬たちには大人気だ。今年も出走馬は18頭が集まり、これで3年連続のフルゲート。02年以降の出走頭数は、14、16、15、18、18、18頭で、毎年「関屋記念その1」「関屋記念その2」をやってもいいんじゃないかと思わせられるほどだ(笑)。

しかも、ただ出走頭数が多いわけではなく、近年はそのレベルも高くなっている。

昨年はテレグノシスが初登場。一昨年はダイワメジャーが走り、3~4年前は安田記念2着の実績があったアドマイヤマックスブレイクタイムが出走した。

G1連対歴のある馬たちが出走を重ね、夏のローカル重賞の中では孤独な存在であっても、一連のマイル路線の中では確固たる地位を築きつつある、と言える。

今年の出走メンバーの中で、G1での連対歴があったのは、ストーミーカフェ(朝日杯FS2着)とアンブロワーズ(阪神JF2着)。ただこの2頭が連対したG1は、2歳限定でのもの。

他にG2を制した実績があるのは、カンパニー(大阪杯)とシンボリグラン(CBC賞)だけで、今年の出走メンバーは、最近の中では比較的小粒と言えた。

だが、どうだろう。シンボリグランは早め先頭から押し切ろうという競馬を見せて2着となり、カンパニーは大外を回って、堂々たる競馬で完勝した。

賞金別定で2頭は斤量が他馬と同じくらいだったこともプラスに働いたのだろうが、まったくもってケチの付けようがないレースぶりで、むしろ『いいものを見せてもらった』ぐらいの清々しい気持ちにさせてもらった。

過去に関屋記念に出走したG1連対馬たちは、ダイワメジャー2着テレグノシス3着になるなど、実力にそぐわぬ成績を収めてきた。

でも、優勝するまでには至らず。図らずも、関屋記念秋のG1戦線への叩き台のような印象を与えるに止まった。

ところが今年はカンパニーが圧勝。しかも9ヶ月ぶりの休み明けであった。今年の関屋記念は、秋への叩き台ではなく、秋への飛躍のステップとなるだろう。

カンパニーが記録した1分31秒8というタイムは、新潟競馬場が新装されてからのレコード記録タイ。01&02年にマグナーテンが樹立し、翌03年も同タイムでオースミコスモが優勝しており、このレース4度目となる1分31秒8だった。

ただ、レースをご覧の通り、今年のカンパニーは抜け出してから追われてないわけで、もし接戦となっていたら、日本レコードの1分31秒5(ゼンノエルシド)にも肉薄していたのでは?と思わせられた。

カンパニーの今後の目標は、当然、マイルCSということになってくるのだろう。

ただ残念なことだが、日本には秋にマイルG1がひとつしかない。というか、2歳G1を除けば、2000mより短い秋G1は、スプリンターズSマイルCSしか存在しない。マイル路線の馬たちは、適距離を求めて海外へ行くか、もしくは仕方なく適性外の距離のレースへ赴くしか選択肢がない。

関屋記念が毎年フルゲートとなるのは、それだけマイル路線を使いたい馬が多く、つまりはマイル路線の層の厚さを物語っている。

出走馬が集まりにくい中長距離路線偏重の傾向は改め、時流に乗った番組編成にした方がいいと思うのだが……。

今回のように、実力がフルに発揮されるコースを有していながら、ここでの重賞は年間2鞍だけというのは、非常にもったいない話である。

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