サンデー産駒にデータを覆されたのは、これで何度目だろう?
文/編集部
どれだけ過去のデータを集めても、未来はそれとは関係なくやってくる。これは、
あるギリシアの哲学者が残した言葉、とかではなく、
競馬場にいた馬券オヤジが
「データなんて役に立たねぇよ」と言ったものをかっこよく意訳したものだが(笑)、今年の
京成杯AHはまさにその言葉を思い知らされた。
このレース未勝利だった
サンデーサイレンス産駒の
キングストレイルが優勝。いや、
優勝というよりは
完勝の方が当てはまる勝ちっぷりだった。
どんだけサンデーサイレンスにデータを覆されりゃ気が済むんだよ、と言われれば、確かにその通り。
94年の産駒デビューから、
早熟説だとか
真のステイヤーは出ないだとか、
スプリントG1は勝てないとか、いっぱい語ってきたものの、赤子の手を捻るようにことごとく覆されてきた。
それでも、
新潟芝外回りのマイル重賞や
オールカマーなど、
サンデー産駒が苦手なレースは存在している。それを見つけると、ついすがりたくなってしまうのだ。まるで砂場の中でキラリと光るモノを見つけて、スッと手が伸びてしまうがごとく。
「汚いからやめなさい!」との制止の声も振り切って拾ったら……ホントに
単なる汚いモノでした。なんだか、そんなことを繰り返してる気がする。
内枠有利の
中山芝マイルコースで、
2番枠に
キングストレイルが入った時点で、なんとなく
「データを信じるのはやめなさい」と言われてる気はしていた。
サンデー産駒は東京芝マイルG1を勝てない、とのジンクスを破ったのが
ダイワメジャーで、
キングストレイルはそのダイワと同じ
サンデー×ノーザンテーストという配合。
しかも、
キングストレイルの母系からは
シンコウラブリイなど
マイル戦を得意とする馬が多数輩出されている。芝マイルの重賞を制しても、なんら不思議はない。
しかし。幸か不幸か(いや不幸に決まってるんだけど)、
サンデー産駒は京成杯オータムハンデが未勝利([0.2.2.11])というデータを見つけてしまったのだ……。
データに踊らされて悲劇を見た人間は、この先をやっていくには、ふたつの方法しか残されていない。
金輪際、データは無視するか。
データだけで突き進むか。
そりゃあもちろん、
後者ですよね(←懲りてない)。
86年以降の京成杯AH勝ち馬の次走成績は[2.3.1.14]となっている。しかし、連勝したのは
87年毎日王冠の
ダイナアクトレスと、
97年府中牝馬Sの
クロカミだけ。
牡馬&セン馬に限れば[0.2.1.14]で、連勝できた馬がいないのだ。
00年以降の京成杯AHの勝ち馬はすべて
牡馬だが、その次走成績は次の通りになっている。
00年
シンボリインディスプリンターズS(
7人⑭着)
01年
ゼンノエルシドスプリンターズS(
1人⑩着)
02年
ブレイクタイム天皇賞・秋(
9人⑨着)
03年
ブレイクタイム関屋記念(
2人⑤着)
04年
マイネルモルゲン富士S(
3人⑫着)
05年
マイネルモルゲンシリウスS(
2人③着)
06年
ステキシンスケクンスプリンターズS(
9人⑯着)
00年以降に限れば連対できていないばかりか、
単勝人気を上回る着順でゴールした馬すらいない状況なのだ。
え?
でも、次走でマイル戦を走ってる馬が少ないって?
確かに、次走もマイル戦だったのは03年の
ブレイクタイムと04年の
マイネルモルゲンだけで、しかも
ブレイクタイムの次走は
翌年の関屋記念ですからね。
え? そもそも、次走も優勝したのは
87年(ダイナアクトレス)と
97年(クロカミ)だから
「10年周期」で連勝するかもしれないって?
た、確かに。
要は、
データは使い方次第ってことですね(笑)。
競走馬は成長するし、
騎手や
厩舎関係者も弱点を克服しようと努力を重ねている。だからこそ、過去のデータは覆される。
馬券オヤジはそこまで見通してて、
「データは役立たねぇ」と言ったのかもしれませんね(笑)。