何度やっても勝てると感じさせる、堂々たる強さだった
文/長岡伸治
西高東低が常となって久しい日本競馬界。
今年の牡馬クラシック2レースの出走馬を見てみると、延べ36頭の比率は
「東12:西24」。これだけでもかなりの差だが、その中身に至っては、5番人気以内の延べ10頭の比率が
「東1:西9」、5着までに入ったのは
「東3:西7」と、出走馬の比率以上に
関西馬が圧倒している。
こういう状況だけに、
関東の菊花賞トライアルである
セントライト記念にクラシック経験馬2頭しかいない(
ゴールデンダリアがダービー6着、
メイショウレガーロが皐月賞5着)のも、仕方がないところなのか。
そんな中、勝ったのは関東・堀厩舎の
ロックドゥカンブ。
無傷の4連勝で菊獲りに大きく前進した。
前走、
ラジオNIKKEI賞の時もそうだったが、今回も、レースぶりが実に堂々としていた。
好位でスッと折り合い、直線はどこを割ろうかという手応え。追われてからもしっかり伸びて、直線半ばで先頭に立つと、そのまま押し切った。
ゴール前、外から
ゴールデンダリアが強襲し、4分の3馬身ぐらいまで詰め寄ったが、そこからまた突き放し最後は1馬身4分の1差。
おそらく、今日のメンバーなら、アクシデントさえなければ、何回やっても勝てるのではないだろうか。それぐらいの実力差が見て取れた。
馬体もひと回り大きくなり、
充実一途という雰囲気も頼もしい限り。
母系をたどれば、同じように無敗で4戦目にトライアルを勝ち、次走で
秋華賞、
エリザベス女王杯を制した
ファインモーションの名が見えてくる(曾祖母が同じ)。
春は、
皐月賞、
ダービーともに大波乱決着で、しかも、そのうちひとつは
牝馬が勝っているということもあって、最後の一冠をめぐる勢力図は例年になく混沌としている。
次週の
神戸新聞杯を見てからの最終ジャッジということになるだろうが、
ダービー6着の
ゴールデンダリアを寄せ付けなかったこともそうだし、騎乗した
柴山騎手がレース後
「距離は延びても大丈夫」とコメントしたことからも、チャンスは十分とみるが、どうだろう?
本番でもこの日のように、堂々とした競馬ができれば、01年の
マンハッタンカフェ以来、
6年ぶりの関東馬優勝ということも現実味を帯びてくる。10月21日が楽しみだ。