アドマイヤドンにも匹敵するパフォーマンスで“流れ”は変えられた
文/編集部
「ぶっちゃけ」という言葉はもうあんまり使わないのかもしれませんが(笑)、レース前は、
「この単勝人気はぶっちゃけどう思います?」と
メイショウトウコンに聞いてみたかった。
メイショウトウコンの最終単勝オッズは
3.7倍で2番人気。1番人気は3歳馬の
ロングプライド(
3.1倍)に譲り、3番人気の
マコトスパルビエロにも
4.8倍で肉薄された。その上、
牝馬でダート未勝利の
フサイチパンドラにも
5.5倍で迫られるほど。
JRAのダート重賞を制しているのは、出走馬の中で
メイショウトウコンと
ロングプライドの2頭で、2勝を挙げているのは
メイショウトウコンだけなのに。
しかも、そのうちの
平安Sは、次走で
フェブラリーSを勝つ
サンライズバッカスを破っての勝利でもあった。
札幌のダート1700mコースも3戦2勝・2着1回で得意にしていて、実績的には抜けた存在として扱われても不思議はなかったはずだ。
それが蓋を開けてみたら、実にビミョーな人気……。
もちろんこれには理由もあった。
まず、
メイショウトウコン自身はこのコースで好走歴があったものの、
過去のエルムSで父ロベルト系が不振([0.1.1.12])であったこと。
前走で
ブリーダーズゴールドCを予定していながら、
馬インフルエンザの余波で出走できず、結果的に
4ヶ月ぶりの休み明けとなったこと。しかも馬体重は、
前走比10kg増の458kgであった。
さらに、主戦の
武幸四郎騎手が負傷して騎乗できなくなり、
池添騎手が
テン乗りで参戦することになったこと。
実力や実績は認められるが、勝負事で大切な
“流れ”が悪いのではないか。そう思われ、人気が伸び悩んだのだろう。
しかし結果はご覧の通り。
3~4コーナーで外を回って先行集団を射程圏に入れると、直線では一気に突き放して圧勝してみせた。
札幌競馬場には、
「3歳ぃ? 牝馬ぁ? そんなものにはオレ様のマクリ差しをお見舞いしてやる~!」との叫び声がこだましたとか、していないとか(笑)。
出走馬中、
3番目に小さい体(458kg)で、
もっとも重い斤量(58kg)を背負いながら、この圧勝劇を見せられたら、嫌が上にも今秋は
G1での活躍を期待したくなる。
というか、
メイショウトウコンがダート戦で大きく崩れたのは今年の
フェブラリーSだけなのだから、今後はG1獲りに照準を絞ってローテーションが組まれていくことだろう。
ブリーダーズゴールドC除外の鬱憤も晴らして賞金上積みにも成功し、
メイショウトウコンは自らの力で
“勝負事における悪い流れ”を断ち切ってみせた。
かつてのこのレースからは、ここを起点に3連勝を飾って飛躍した
アドマイヤドンなどが出ており、今度はその良い流れに乗りたいところだろう。
そういえば、
メイショウトウコンは今年の
フェブラリーSで
11着に敗れたが、
アドマイヤドンも同年の
フェブラリーSで
11着に敗れた後にこのレースを勝ち、その後、
南部杯優勝、
JBCクラシック優勝、翌年の
フェブラリーS優勝とつなげたんだっけ。
アドマイヤドンがこのレースを制した時は、今回の
メイショウトウコンと
同じ馬体重(458kg)で
59kgの斤量を背負い、
9馬身の圧勝を飾ったが、パフォーマンスとして引けは取らない。
メイショウトウコンの今後にも、
アドマイヤドンと同レベルの活躍を期待してもいいはずだ。
さて、今回のレース前に、
単勝オッズのことや
ロベルト系不振のこと、
乗り替わりのことを聞いたとしたら、
メイショウトウコンはなんと答えたか?
圧勝のパフォーマンスが示す通り、
「でもそんなの関係ねえ」だったんでしょうね(笑)。