インティライミが前走以上のパフォーマンスを見せるのは自明の理だった!?
文/編集部
今年の
京都大賞典は出走馬が10頭。そのうち7~9月に出走歴があったのは3頭だけ。例年通り、
休み明けの馬が多かった。
しかし、今年は夏に
馬インフルエンザが発生し、入退厩が制限された影響か、休み明けの馬たちの成績がいまひとつ。調教では動いていても、本番では期待以上の成績を収められない馬が多く目に付いた。
そんな中、9月8日の
朝日CCで一足早く復帰した
インティライミは、そのレースを快勝して好スタートを切った。一度使われている強味もあるので、
京都大賞典でも、当然、
1番人気に推されるものだと思っていた。
ところが前日の土曜日に前売りが始まると、
単勝2.5倍前後で推移し、
ポップロックとほぼ同じ感じ。17時半での前日売り終了段階では、
ポップロック2.5倍に対して、
インティライミは2.7倍で2番人気だった。
まあ当日になったら
「やっぱりポップロックは休み明けだから」と考える人が多く出てきて、この人気は逆転するだろうと思っていた。
真夜中も仕事をしながら2頭の単勝オッズをチェックしていたら、4時くらいまでは変化がなかったのに、4時半過ぎに、突如
インティライミの単勝オッズが下がった。
それまでは
2.8倍ぐらいだったが、気づいたら
2.0倍になり、一時は
1.9倍をも記録。結局、朝8時を迎えた時点では、
インティライミ2.0倍、
ポップロック2.8倍で、完全に逆転していた。
誰かが大量に投票したようなオッズの動きだったが、まあ、それぐらいが妥当に思われた。
ところが、当日の午後になったら2頭の単勝オッズはまたも逆転し、結局、最終的には
ポップロックが
2.1倍で1番人気。
インティライミは2番人気で
2.4倍だった。
大量に投票した(と思われる)人は、ほくそ笑んだことだろう。最後は
クビ差という接戦ではあったが、外から差した
インティライミは完勝であった。
インティライミが1番人気になるだろうと考えていた理由には、
一度使われ、それを勝っていることがあったが、もうひとつ、
その勝利が阪神競馬場だったことが挙げられる。
有名な話かどうか分からないけど、
スペシャルウィーク産駒は
阪神芝よりも
京都芝が得意だ。
前週終了時点で、
京都芝では
27勝をマークしているが、
阪神芝では
18勝。勝率も
11.0%(京都)と
8.0%(阪神)の開きがある。
インティライミの朝日CC優勝は、
スペシャルウィーク産駒として阪神での芝重賞初勝利であったが、そればかりでなく、
準OPクラス以上に限っても初の優勝だった。
時計がそれほど速くなく、朝日CC優勝に対する評価は分かれていたようだが、実際に勝利した事実は大きな価値があると思われた。
ちょっと面白いのは、
阪神芝で勝利を挙げたスペシャルウィーク産駒のその後である。
その次走成績は
[3.1.1.10](芝のみ)で、勝率
20.0%。特に、次走が
京都芝だった場合は
[2.1.0.3]と好成績を残している。
産駒全体として苦手な競馬場で勝利を挙げたのはそれだけ好調な証で、次走で得意な競馬場に替わってさらにパフォーマンスを上げる、という図式だ。
実はこの図式は、父が発祥とも言える。
スペシャルウィークは、4歳春の
阪神大賞典でデビュー戦以来となる
阪神芝での勝利を挙げると、次走の
天皇賞・春を完勝した。
父は
G2→G1で息子は
G3→G2という違いはあるものの、
インティライミは得意条件に替わってさらにパフォーマンスを上げた。
朝日CCで
インティライミが記録した上がり3Fは
33秒3。今回は
33秒4と0秒1遅かったものの、直線で前が詰まってきっちり追えたのが実質200mだったことを考えると、
レースぶりとしては京都大賞典の方が上だったと思われる。
2戦続けて33秒台の脚を使えたのは自身初。もうこれで
完全復活と言っていいだろう。
インティライミが2連勝を飾ったのは、3歳春以来2度目となるが、実は前回も
阪神芝1着(500万)→京都芝1着(京都新聞杯)という流れだった
その時は次走で
東京競馬場へ乗り込み、
日本ダービーに挑んだものの、
ディープインパクトの前に涙を呑んだ。
今回は、
天皇賞・秋か
ジャパンCか流動的なようだが、いずれにしろ次走はまたも東京競馬場だろう。
ディープインパクトがいないターフで、果たして
インティライミはどれほどのパフォーマンスを見せてくれるのだろう。
ちなみに、
京都芝で優勝したスペシャルウィーク産駒の次走成績(芝)は、
[3.5.6.13]で勝率は
11.1%。
京都以外の競馬場に参戦した場合は
[2.3.5.9]で勝率
10.5%となっている。
父が4歳秋に
天皇賞・秋、
ジャパンCと連勝した時は、その前走で
京都大賞典で
7着に敗れている。息子はどうだ!?