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セニョールの風に乗って好走した馬と呑み込まれた馬
文/編集部

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「ロドリゴデトリアーノ」と言われて、人はどんなことを想起するのだろう?

「ああ、あの船乗りね」

そんなことを言うのは15世紀の人だけか(笑)。いや、その当時、ロドリゴデトリアーノの名前が広まっていたのかどうかも怪しいけど。

ロドリゴデトリアーノとは、1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見した時の船乗りの名前で、大陸を最初に発見したのは彼だと言われてるんですよね。で、その名前を拝借して命名されたのが、競走馬だったロドリゴデトリアーノだった。

まあ、そんなことはどうでもいいですね(笑)。普通の競馬ファンの反応を考えてみよう。

「ああ、エリモエクセルの父ね」

そう思う人は、もう十分、競馬ファンのベテランですね。

ロドリゴデトリアーノ産駒エリモエクセルがオークスを制したのは98年。今から9年前だ。鞍上は的場騎手でした。「勇人」ではなく「均」の的場騎手です。

エリモエクセルはその翌年に中京記念マーメイドS府中牝馬Sという3つの重賞を制した。

ロドリゴデトリアーノ産駒でG1を制したのは彼女だけで、複数の重賞勝利があるのもエリモエクセルのみ。「ロドリゴデトリアーノ」と言われて彼女の名前を思い出すのは、競馬ファンの正道と言える。

「ああ、穴をよく出すよね」

競馬ファンでも馬券好きな人は、そう思うかもしれない。確かに人気が低い時の激走が多い。

エリモエクセルのオークス制覇時は7番人気で、他にも99年札幌3歳Sマイネルコンドルが優勝した時が8番人気01年京都牝馬Sグレイスナムラが勝った時が5番人気、同年の福島記念ミヤギロドリゴが制した時も8番人気だった。

後方からの追い込み一気をする産駒がなぜか多く、その脚質が人気薄での激走と関係が深い気がする。

余談ですが、今回のスワンSでのスーパーホーネットも含めて、ロドリゴデトリアーノ産駒の重賞制覇は9度あり、そのすべてがメンバー1~2位の上がりで制している。まさにハマッての一発!という感じ。

「ああ、セニョール・グループだよね」

そう考える人は明らかに「金満ラー」です(笑)。確かに、ロドリゴデトリアーノの父はエルグランセニョールで、セニョール・グループ(命名・金満血統王国王様)の中核を成す存在だ。

「サラブレモバイル」内には「金満DB(データベース)」があって、種牡馬の特徴を検索できるが、残念ながらロドリゴデトリアーノの項目はない。

その代わり「セニョール・グループ」で項目が作られていて、そこには同グループの特徴が記されている。

「展開がハマッただけでそんなに強かったわけじゃねえだろうと思ってると、上のクラスに行っても同じ事をやり続ける」とか、「高齢になっても一発ある。なんか知らない間に強くなってる(笑)」とか。

なんか、物凄く今回のスーパーホーネットのことを言っているようです(笑)。まあ、3番人気だったし、まだ4歳でもあるから「高齢」とか「知らぬ間に」という感じではないかもしれないけど。

ただ、「セニョール・グループ」の格言の中には、「激走した後、人気になってたら消し」というものもあるんですよね。

だから、こんなことを思う人もいるかもしれない。

「ああ、連勝が少ないよね

今回のスーパーホーネットは、前走のポートアイランドSに続く連勝だったが、実は2戦続けて勝ったのは自身初。

というか、ロドリゴデトリアーノ産駒としては、連勝したケースが今回で19度目なのだ。通算233勝を挙げていながら連勝は19回しかないのだから、確かに少ない。

連勝が少ないかわりに、前走でふた桁着順に敗れていた馬38勝を挙げている。「おお、セニョ~ル」という感じですよね(笑)。

そんな調子だから、3連勝をした産駒なんていないんじゃないか!?と思ったが、調べてみると、マチカネトリスタン(500万→900万→900万)、コスモフライト(500万→900万→1600万)、イブキヤマノオー(500万→900万→900万)という3頭が3連勝を成し遂げていた。

3連勝を達成し、エリモエクセルでも為し得なかった重賞連勝という偉業を決められるか。スーパーホーネットは、おそらく次走で挑むであろうマイルCSが注目される。

なお、今回のスワンSで他に人気を背負いながら敗れた馬たちは、次走以降どうだろうか。

スイープトウショウ4着ながら実績上位の力を見せ、もう一花咲かせても不思議ない印象を残した。

同馬はこれまでG1で6度の連対歴があるが、そのすべてが前走で2~5着に敗れ、そのうち4戦が距離延長された時でもある。

あとは調教をマジメにやるかどうかだが……さすがにこればっかりは彼女自身にやる気になってもらうしかないだろう。

キングストレイルは前走に続いて伸びを欠く結果となったが、スプリンターズSスワンS開催最終週での道悪

開幕週の良馬場だった京成杯AHを快勝した内容を考えれば、パンパンの良でこそ真価を発揮するタイプなのかもしれない。

1番人気で14着と大敗を喫したアストンマーチャンは、実に「らしくない」走りだった。距離馬場も実績があり、そんなに競り掛けられたとは思えなかったが…。

調べてみると、今年、古馬混合のOPクラスの芝短距離戦(1000~1400m)は21レースが行われ、その勝ち馬は次走成績が[0.3.4.11]。つまり、連勝できた馬が1頭もいないのだ。

浮き沈みの激しい芝短距離戦線の波に、アストンマーチャンも呑み込まれたということか……。

現在の芝短距離路線にこそ、セニョールの風が吹いているのかもしれない。

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