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古馬になって本格化したゆきやなぎ賞勝ち馬はG1まで突っ走る!?
文/編集部

重賞だろうと条件戦だろうと、ハンデ戦はいつも物議を醸す。なんでこの馬が●kgで、この馬が▲kgなんだとか、ハンデ戦なのに全然ハンデ差がないじゃないかとか。

今回も、なんで?と思うことが多々あった。その最たるものがアドマイヤジュピタ斤量だ。

アドマイヤジュピタは、前走1000万勝ち馬54kg。同じ斤量には、前走オールカマーで4着チェストウイングや、2走前の京都大賞典で4着ダンスアジョイがいて、前走で準OPを勝ったリキアイサイレンス52kg、同レースの3着カゼノコウテイ52kg

アドマイヤジュピタ前走・鳴滝特別勝ちは、いったいどれだけ評価されているんだよ、と思わずにはいられなかった。

芝ではまだ馬券圏内を外したことがないから? 前走は5馬身差の快勝だったから? 3歳春には若駒S2着やすみれS3着のOP好走実績があったから?

どう考えても、前走で準OPを勝った馬より2kgも重いというのはおかしいだろう。

おそらく、アドマイヤジュピタが今回の接戦を制したことで、「このハンデキャップは正しかった」と判断されるのだろう。

でもそれは、あくまで結果論。同じ結果論を使うなら、8着以下に敗れたネヴァブショントウショウナイトはハンデが重すぎたんじゃないかと言いたくなる。

何を基準にハンデが決められているのか、もはや説明をしたほうがいいんじゃないか。勝ったから、接戦になったからなんでもいい、では済まないと思われるが。

優勝したアドマイヤジュピタは、54kgの斤量を背負い、自分より実績上位で斤量も同等だったリキアイサイレンスダンスアジョイヤマニンアラバスタの追撃を凌ぎ、さらには内から伸びたトウカイトリックをも抑えたのだから価値があるだろう。

前記したように、もともと3歳春OPクラスで好走していたので、格負けすることはないと感じていたが、勝ち切るとまでは想像できなかった。

OPではあと一歩で終わった過去があるからというのがその理由のひとつだが、もうひとつ気になったのは、ゆきやなぎ賞勝ち馬だから。

ゆきやなぎ賞とは、3歳3月に阪神芝2200mで行われる500万特別だが、このレースの勝ち馬は後にいい味を出すタイプが非常に多いのだ。

過去5年の勝ち馬を列記してみると、マーブルチーフストラタジェムイブキレボルシオンアドマイヤジュピタヒラボクロイヤル。なんとなく、言わんとしていることが分かりませんか? その昔には、ユウキャラットドングリなどもいる。

90年以降、ゆきやなぎ賞芝2000~2200mで行われたケースは17回を数えるが、その勝ち馬の芝重賞成績は[20.14.13.59]

すごくよく勝っているように見えるけれど、これは、芝重賞12勝テイエムオペラオーと、同6勝マーベラスサンデーがいるから。2頭を除くと[2.7.9.56]という成績で、2勝はマーブルチーフ京都新聞杯ヒラボクロイヤル青葉賞。つまり、3歳夏以降に限れば[0.4.4.39]なのだ。

ゆきやなぎ賞は、3歳春に位置する芝中距離の登竜門でありながら、その勝ち馬は芝重賞でもうひと押しが利かないケースが多い。頭の中にそうインプットされていたのである。

それがどうだ。アドマイヤジュピタはこれまでと同じ先行策で歴戦の重賞実績馬を退け、見事に優勝してみせた。ゆきやなぎ賞勝ち馬としては、マーベラスサンデーテイエムオペラオーに次ぐ古馬重賞制覇である。

こうなると、アドマイヤジュピタに関する評価を書き換える必要が出てくる。

テイエムオペラオー皐月賞馬だが、本格化したのはマーベラスサンデー同様、古馬になってから。「古馬になって本格化を示したゆきやなぎ賞勝ち馬は、その後、G1まで突っ走る」との評価をアドマイヤジュピタに与えてもいいのかもしれない。

テイエムオペラオーマーベラスサンデーの共通項と言えば、「宝塚記念優勝」がすぐに頭に浮かぶが、「有馬記念連対」も該当する。

ゆきやなぎ賞勝ち馬は、阪神2000mで行われていた頃の覇者も含めて、その後に2200mや2500mの重賞で活躍するケースが多い。今回のアドマイヤジュピタも含めると、芝2200&2500m重賞で[6.5.2.10]で、23戦中、掲示板を外したのは4回だけ。

アドマイヤジュピタが目指す次なる芝2200&2500m重賞は、有馬記念宝塚記念か。どちらにしても、ハンデ戦ではない今度こそ、真価が問われることになりそうだ。

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