波乱は妄想通りだが、天気も予想も、当てるのは簡単ではない
文/長岡伸治
今年は異常気象のせいなのか、気象庁の天気予報の的中率が例年よりも1割程度悪いという(8割台が7割台に落ちているそうだ)。
「え、今日、降らないの?」なんていうことが今年は多いような気がするのも、そのためなのだろうか。
しかし、この時期の福島は、照ろうが降ろうがそれほど関係ない。まず間違いなく、芝は荒れているからだ。映像で見ていても、直線はボコボコになっているのがはっきりわかる。そして、
「こうじゃなきゃ福島じゃない!」となぜか安心する。
この
福島記念、
馬場同様に、
オッズも乱れに乱れていた。単勝1番人気は、5、6頭が7倍前後で接戦、見るたびに人気順が変わるほど。3連単は、いちばん安い組み合わせでも万馬券から。高配当が飛び出しそうな予感がビンビンで、ある意味、
福島記念らしい。
そしてレースも、直線で馬群が横に広がった時、画面にアップになった各馬は、いかにも走りづらそうにしている。これもよくある
福島記念の光景である。
ところが、ここからは驚きの連続だった。
先行していた
ヤマニンメルベイユが抜け出したところを、あろうことかその内をすくって最低人気の
ナリタプレリュードが伸びたかと思えば、なんとその直後、さらに内を突いた3歳牝馬の
アルコセニョーラが差し切ったのだった。
この荒れた馬場で、内のさらに内を突いた馬が勝つとは……。そして、3着までの馬番がすべて5番以内なんて……。
内を突いたかはともかく、馬番に関しては、調べてみたら、過去10年で一度だけあった。98年がそれ。
オーバーザウォール、
インターライセンス、
スノーエンデバーの順に入って、当時は発売していないが3連単でいうと
3-5-2で決まっていた。
一度でもあったことに驚いたのだが、さらに
オーバーザウォールは
牝馬で(勝ったのは過去10年でこの一度だけだった)、しかも鞍上は
アルコセニョーラと同じ
中舘騎手だった。ちなみに
オーバーザウォールは、今回、最終的に1番人気だった
サンバレンティンの姉にあたる。
今年の勝ちタイムは
2分0秒6。
雨は降っていたが発表は
良馬場だった。
見た目は荒れていても良は良ということか。内を突いた馬が伸びてこられたのも、そういうことだったのだろう。
勝手にイメージをふくらませて、勝手に驚いていただけだった。ただ、
63万円台という3連単の配当だけは妄想通りだったが。
天気も予想も、当てるのは簡単ではない。