出世レースを制したアポロドルチェの今後やいかに!?
文/編集部
このレースの近年の出走馬の中には、次走で
朝日杯を制している
コスモサンビーム(03年優勝)と
マイネルレコルト(04年5着)、
ヴィクトリアマイルを制した
コイウタ(05年3着)らがいる。
さらに遡るとオークス馬
ウメノファイバー(98年1着)、怪物
グラスワンダー(97年1着)がいて、もっと遡ると女傑
ヒシアマゾンの名も見える(93年2着)。なかなかの出世レースである。
2歳戦を見るときには、出走馬たちの未来の姿を想像することも楽しみのひとつだが、果たして今年の出走馬たちはどうだろうか。
まずは勝ち馬
アポロドルチェ。スタートで後手を踏み、後方からの競馬となったが、鞍上の
後藤騎手が手綱をしごくと、すぐに道中大外を回って進出。直線でもその勢いは衰えることなくグイグイ伸びて、2着馬に1馬身4分の3差をつけた。
強引な競馬で他馬をねじ伏せたレースぶりは、他の馬たちとは能力が一枚も二枚も抜けた印象。
力のいる馬場が向いた面もあるだろうが、今後の活躍も期待していいだろう。
血統はというと、父が
米2歳G1・シャンペンS(ダ9ハロン)勝ち馬
Officerで、その父
Bertrandoから
Relaunch~
In Realittyと遡る系統はバリバリの米国血統で、さらに母父が米三冠のひとつ
プリークネスSを勝ったStorm Bird系
Summer Squallというのもバリバリのアメリカン。
適性的には
ダートでも走れそうな印象を受けるだけに、それならそれで、将来的には02年のこのレースの勝ち馬
ブルーコンコルドのようなダートの強豪に育つのも悪くないだろう。
さて、その
アポロドルチェに敗れてしまった馬たちの評価。
2着
ドリームシグナルは内で馬群に包まれる苦しい展開だったが、直線で馬群を捌きながらスルスル伸びた末脚はなかなかのもの。
力のいる馬場が合っていたことはたしかだろうが、オールマイティーだった父
アグネスデジタルと母父
サンデーサイレンスの配合を考えると芝・ダート問わず活躍できそう。
マイル重賞の常連として渋い活躍を見せてくれそうなタイプに育つと見た。
直線でいち早く抜け出す積極的な競馬で3着に粘った
レッツゴーキリシマは、
完成度の高いレース巧者という印象。5戦してまだ掲示板を外したことのない安定株でもあり、今後の重賞戦線でも目が離せない存在だろう。
牝馬で唯一掲示板に載った4着
フォーチュンワードはスタートで出遅れて、後方からの競馬を強いられ、直線で一瞬いいキレを見せたが最後は力尽きた。ただ、自分の競馬ができなくてこの内容なら悪くはない。
このレースで過去10年に掲示板に載った牝馬は3頭いるが、その3頭は前出の
コイウタと
ウメノファイバーと、
関東オークスなど交流重賞7勝を挙げた99年5着の
プリエミネンスと、いずれも出世している。
フォーチュンワードはこの中では
コイウタに近いタイプか。
マイル~中距離が良さそうで、特に
クイーンCあたりでは注意したい1頭と言える。
武豊騎手騎乗もあって最終的には3番人気に推された
ミッキーチアフルは、中団から直線でジリジリと脚の伸ばしたにとどまり、体勢が決した後にようやく伸びる気配を見せたが、いかにも距離が短かった。
シンボリクリスエス×カーリアンという大物配合で、
ロベルト系だけに
叩いて良くなるタイプなのは間違いなさそうで、これからの馬だろう。正直、
シンボリクリスエスの種牡馬としての評価は現段階ではくだしにくいので、来年の中距離以上での重賞で期待、としておきたい。
最後まで
アポロドルチェ(3.7倍)と1番人気を争った
新潟2歳Sの覇者
エフティマイア(2番人気、3.9倍)はまったく見せ場なく
13着に敗れ、デビュー4戦目にして初めて土がついた。
蛯名騎手がレース後に語ったように、
重馬場はカラッ下手のようなので、今回はノーカウント。よって評価は保留にしたいが、
牝馬は連勝していた馬が、理由はどうあれ一度躓いてしまうと復活までに手間取るケースが多いが……。
これは今回が
中央転厩初戦となった
函館2歳Sの覇者
ハートオブクィーン(10着)にも言えること。今後、2頭がどう巻き返してくるのか、注目したい。