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今年のマイルCSは、日本競馬史に残る名マイラーが誕生した一戦だった
文/浅田知広

競馬を始めたばかりの頃、「なんかヘンな名前だなあ」と思っていたのがこのマイルCS

そんな印象と同時に、もうひとつ感じたのが「同じ馬が何度も来るレースなのかなあ」というもの。第1回、第2回はニホンピロウイナーが連覇。そして第3回で2着だったニッポーテイオーが翌年に圧勝という結果である。

その後もそういった傾向は続き、今に至ってもそれに変わりない。これまでこのレースで2回にわたって連対した馬を列挙すると、バンブーメモリーダイタクヘリオスシンコウラブリイタイキシャトルエイシンプレストンデュランダルダンスインザムードと、さすがに名馬ばかり。

しかし、これほどまでに2回も連対する馬が出現するレースは、ほかにそうそう見当たらないものだ。

ただ、どういうわけか。これだけの馬が居ながら、創設以来24回、いまだ「3度連対」を果たした馬は登場していなかった。今年、そんな偉業に挑戦したのが、一昨年2着、そして昨年優勝したダイワメジャーだ。

一昨年は直線で内から抜け出し、ほぼ「勝ったか?」というところで、外から急襲したハットトリックにわずかハナだけ交わされての2着惜敗。

一方、昨年は、荒れた内を避けて馬場の中央を通り、ダンスインザムードが並びかけてからもう一度突き放すという堂々の完勝劇。

ほぼ「連覇に等しい」と言っても良いような走りを見せていたのが、マイルCSダイワメジャーである。

筆者がレースを予想するに当たって、重視するポイントはいくつかあるが、もっとも気にしているのは「前年の結果を尊重する」というもの。コース相性のみならず、前年の「同時期」に好走していた、というのは重要なこと。

体調面や馬場状態も含め、「同時期」であれば大いに参考になるはず、という理由だ。そんな発想に至ったのは、冒頭に触れた通り、このレースの過去の結果に影響された部分も非常に大きいはずである。

とはいえ。1年経てば変わるものもある。年齢的な衰え、そして相手関係、レース時の体調。「前年の結果を尊重」しつつ、こういった要素はもちろん考慮すべきものだ。

今年のダイワメジャーはというと、連勝で挑んだ昨年とは違い、毎日王冠3着に敗れ、前走は大きな不利もあったとはいえ9着大敗

6歳という年齢(90年代の感覚=旧表記なら7歳だ!)、そして前走で他馬と接触した影響も気になり、いくらレースとの相性が良いとはいっても、不安を感じる一戦だった。

ところが、そんな不安はどこへやら。今年のダイワメジャーの走りも完璧なものだった。

好スタートから3番手に控え、そのままじっくり待機。4コーナーで先頭に並びかけると、直線は楽な手応えで抜け出して先頭へ。さらに、スーパーホーネットが並びかけると、まるで昨年のリプレイのようにもう一度突き放すというまさに横綱相撲。

見事なまでの「連覇」、そして初の「3連対」だ。

これでG1は、マイルCS連覇安田記念、そして天皇賞(秋)皐月賞。ノドに不安を抱え、一時は「もう終わったか」と思われたところから、さらに4勝を積み重ねてのG1・5勝は素晴らしい、というほかにない。

マイルCS史上のみならず、日本競馬史に残る名マイラーが誕生した一戦だった、と言っていいだろう。

これが最後か、それとも昨年見せ場十分の3着に好走した有馬記念に駒を進めるのか。できることならもう一度、この名馬の走りを見てみたいものだ。

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