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「07年最優秀短距離馬」の称号はサンアディユにこそ相応しいはず
文/編集部

1着サンアディユ(1分7秒9)から16着タニノマティーニ(1分8秒9)まで、1秒差以内に16頭がひしめくという大混戦。まるで、朝の通勤ラッシュ時の電車内のような状況だった(笑)。

そんな中、単勝1.8倍の断然1番人気に推されたサンアディユ57kgという酷量を背負い、仕掛けが一瞬早いかなとも思ったがそれは杞憂に終わり、後続の追撃を振り切って先頭でゴールした。

さすがは天才・武豊騎手。レース後のコメントで「抜け出すタイミングを計っていた」と話していたけど、終わってみれば2着ペールギュント以下にきっちり半馬身差をつけて快勝。まさに“絶妙のタイミング”だった。

レースのラップを見てみると、12.3-10.6-10.9-11.2-10.9-12.0で前後半3Fは33秒8-34秒1。中間は平均して速いラップが並び、終いに底力を求められる展開。こういう時は前で踏ん張れる先行馬が強く、差し馬は勝負所でなし崩し的に脚を使わされ、差し損ねるケースが多い。

今回はまさにそういう結果となり、3着のカノヤザクラを除けば、上位馬はほとんど前、前で競馬をしていた馬たちが占めた。逆にいえば、この流れで外、外を回りながら3着まで来たカノヤザクラ53kgの軽量とはいえ、かなり強い競馬をしている。

一方、サンアディユが5馬身差の圧勝を飾ったセントウルSのラップを見ると、12.2-10.5-10.7-10.9-11.1-11.7で前後半3Fは33秒4-33秒7京阪杯と比べてもらえばわかるが、数字の並びはかなり似ている。

今回、終い1Fが12秒0とかかったのは、サンアディユ57kgを背負っていたことと無関係ではないはずで、セントウルSでは0秒8差だったカノヤザクラとの差が0秒1まで詰まったのもそのせいだろう。

いずれにしても、横綱相撲とも言えるレースぶりでライバル勢を完封したサンアディユは着差以上に強い。武豊騎手がレース後、「強いですね」と語った言葉は決してリップサービスではないだろう。

86年以降、芝1200重賞で57kgを背負った牝馬フラワーパーク(96年CBC賞2着)、ビリーヴ(03年セントウルS2着)、シーイズトウショウ(06年CBC賞1着)が連対していた。

言うまでもなく、3頭ともスプリント史上に名を残す名馬。今回、その57kgを背負って京阪杯を制したサンアディユは、それらの仲間入りを果たしたことになる。

しかもサンアディユはこれで、アイビスサマーダッシュセントウルS京阪杯と芝短距離重賞で3勝目。サマースプリントシリーズの2代目王者に輝き、スプリンターズSアストンマーチャンに敗れたとはいえ、0秒1差の2着だった。

おそらく、今年のJRA賞・「最優秀短距離馬」安田記念マイルCSを制したダイワメジャーが有力。それに、92年ニシノフラワー以来、3歳牝馬によるスプリンターズS制覇を成し遂げたアストンマーチャンが続く感じか。

だが、スプリンターズSを制したアストンマーチャン高松宮記念を制したスズカフェニックスならまだしも、芝1200mを走っていないダイワメジャー「最優秀短距離馬」でいいのか!?という疑問が湧く。

自分に投票資格がないのを承知で言わせてもらうと、自分だったら間違いなくサンアディユに一票を投じると思う。

57kgを背負って芝1200重賞を勝ったこともその要因になるだろうし、サマースプリントシリーズ2勝を挙げて王者に輝き、G1・スプリンターズSでも僅差の2着に走っている。

今年後半のスプリント戦線をもっとも盛り上げたのは間違いなくサンアディユだし、しかも、芝で挙げた3勝がすべて重賞なんていうミラクルホースが、今後、どれだけ出現するだろう。

そういった諸々の要因を考えれば、「07年最優秀短距離馬」の称号はサンアディユにこそ相応しいはず。

書いていて、ひとりで勝手にエキサイトしてしまいましたが(笑)、サンアディユはそれだけ価値のあることをやって退けたことは事実。そのあたりをご理解いただければ幸いです。

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