フェアリーSは2歳牝馬にとってあくまで通過点
文/編集部
出走馬16頭中、
9頭が
単勝20倍を切り、
15頭が
50倍以内に収まるという混戦状態。1番人気
メイビリーヴ、2番人気
スワンキーポーチは
1200mの出走経験がなく、
波乱の雰囲気がプンプンと漂っていた。
毎年のことながら、
フェアリーSはキャリアの浅い2歳牝馬によるレースだけあって、とにかく未知数、不確定な部分が大きく、そのあたりを予想で考え出すときりがない。
だが、ひとつ確かな(信頼できそうな)ことは、
枠順による有利不利。過去7年で見ると、
馬番1~8番[7.5.5.38]に対し、
馬番9~16番は[0.2.2.52]だった。
先週の
朝日杯FSも
外枠が不利、内枠が有利という傾向が見られ、結果も外枠の人気馬が馬券圏外となり、
1枠1番だった
ゴスホークケンが好枠を利して逃げ切ったばかり。
この印象が強かったこともあるんでしょうね。
内枠の馬からしこたま馬券を買ったら、
8枠15番の
ルルパンブルーが直線一気で差し切るという。競馬の神様は意地悪です(笑)。
好位差しの競馬で実績を挙げていた
ルルパンブルーは、てっきり
外枠を考慮して前に取り付いていくかと思ったが、鞍上の
吉田隼人騎手は最初から決めていたのか、
後方待機策を取った。
結果的にはこれがドンピシャ。前後半の3Fは
32秒9-36秒9という、
前後半で4秒も差がある超前傾ラップとなり、末脚が鮮やかに炸裂したというわけだ。
テン3F32秒9というのは、過去10年でも2番目に速く(もっとも速かったのは
サーガノヴェルが勝った01年の
32秒5)、先行馬にはいかに厳しいペースだったかがわかる。
●フェアリーS全着順と3、4コーナーでの位置取り1着
ルルパンブルー14-15
2着
スワンキーポーチ8-8
3着
マイネレーツェル11-11
4着
エーソングフォー3-3
5着
エフティマイア12-12
6着
ビーチアイドル16-16
7着
フラミニアンウェイ15-12
8着
サマーエタニティ6-6
9着
メイビリーヴ2-2
10着
トラストパープル8-10
11着
サクラカスケード13-12
12着
ハートオブクィーン3-3
13着
ピエナプリンセス1-1
14着
メジロアリス7-6
15着
コスモグラマラス10-8
16着
ミスティフォレスト3-5
この通り、
中団より後ろに位置していた馬が上位を占め、先行したグループでは
エーソングフォーが残っただけ。逃げた
ピエナプリンセス、2番手につけた
メイビリーヴは失速してしまった。
ただ、
メイビリーヴは初めての芝1200mで、この超ハイペースを
2番手につけたスピードとセンスは評価したいし、1番人気らしく勝ちに行っての結果。それで
勝ち馬から0秒5差ならよく走った。
エーソングフォーは後方グループが上位を占めた中、初芝で
3番手につけ、
ルルパンブルーから
0秒2差に踏ん張った内容は素晴らしい。もっとも強い競馬をしたのはこの馬だろう。
2着となった
スワンキーポーチも、道中でジワジワとポジションを押し上げており、そこで脚を使っていたことを考えれば強い競馬をしていた。
キャリア1戦でこれだけ走れるのは素質の高さの証明と言える。
なぜ、負けた馬たちにスポットを当てたかというと、
フェアリーSは
アローキャリー(02年桜花賞1着)、
スマイルトゥモロー(02年オークス1着)、
ブルーリッジリバー(02年桜花賞2着)、
ゴールドティアラ(00年フェブラリーS2着)、
ダイヤモンドビコー(02年エリザベス女王杯2着)など、ここで負けていた中から、のちの重賞好走馬が出ることが多いから。
もちろん、勝ち馬にものちに重賞を勝った
サーガノヴェル、
テンシノキセキ、
ダイワパッションがいるけど、G1好走馬は過去10年では出ていない。
だからといって、
ルルパンブルーがそうなるとはもちろん言わないし、この馬はこの馬で
芝1200mで3戦3勝なわけだから、スプリント戦線で活躍が見込めると思う。
何が言いたいかといいますと(笑)、
フェアリーSは2歳牝馬にとってあくまで通過点であり、このレースの結果だけで能力や適性を決め付けられない、ということ。
今回負けた馬でも、違う条件に行けば見直す機会はいくらでもあるだろう。それこそ、
G1でも好走するような馬がいる可能性も否定はできない。今後も各馬の成長をしっかりと観察したいものです。
ちなみに、勝った
ルルパンブルーの祖母は
スリーフェアリー。
ファンジーSには縁がなかったようだけど、
フェアリーSには縁があった!?
そう考えると、
後方待機策がハマり、直線でも馬場の中央から導かれたようにスルスルと抜けてきたレースぶりにも納得がいくような……こんな締めでスミマセン(笑)。