依然として、来年のクラシック戦線の展望は「混戦模様」
文/編集部
牡馬も
牝馬も、
現2歳世代は傑出馬が不在。
朝日杯FS、
阪神JFが終わってもその評価は変わらなかったが、
クラッシクの登竜門として名高い
ラジオNIKKEI杯2歳Sだけは違うと思っていた。
ところが、
京都2歳S2着の
ダノンイサオ(2番人気)が
7着に敗れ、
萩Sを制して
2戦2勝の
フローテーション(3番人気)も
8着に敗退。
7番人気に甘んじた
札幌2歳Sの覇者
オリエンタルロックも見せ場なく
11着に沈んだ。
そして、勝ったのは
朝日杯FSで
大外枠という不利があったにせよ、
13着に負けていた
サブジェクト(4番人気)。2着は
1戦1勝ながら
1番人気に支持された
サダムイダテン。3着には
ダートで
1戦1勝だった
メイショウクオリア(6番人気)が入った。
実績馬があっけなく掲示板外に沈み、
前走で大敗していた馬、
キャリア1戦の馬があっさりと上位に食い込むという。その要因には
道悪や
ペース、
位置取りなども関係していると思うが、それにしても、だ。
だって、過去7年、
前走で3着以下だった馬は[0.0.0.23]だし、
キャリア1戦の馬は[1.1.2.10]ですよ。
キャリア1戦で馬券圏内となっていたのは、
サンデー産駒か
ブライアンズタイム産駒だった。
サダムイダテンは
フォーティナイナー産駒、
メイショウクオリアは
マンハッタンカフェ産駒であり、クラシックで抜群の実績を誇る
サンデー産駒や
ブライアンズタイム産駒と、同列に見ることはできないはず、だった。
サンデー産駒がいなくなり、今年は3連勝中の
母父サンデー産駒も不在ということで、
「これまでの常識で計ってはいけないレース」になると想定していたが、頭ではそう考えていても、
馬券という形では反映できていなかった。反省。
勝った
サブジェクトは、
フジキセキ産駒は2歳時に芝2000mで[1.7.10.31]という不振データを覆したわけだが、これまでの
追い込みの競馬から一転して
先行策を取り、これが奏功した。
池江泰郎調教師から
ペリエ騎手に
「前にも行ける」というアドバイスがあったようだが、
フジキセキ産駒らしい器用さをいかんなく発揮した。こういう競馬ができれば、今後のクラシック戦線でも大きな武器になるはず。
直線大外一気で
クビ差の2着となった
サダムイダテン。初戦は持ったまま突き抜けたので、追ってからどうかと思ったが、直線での脚は強烈だったし、もっとも強い競馬をしたのはこの馬だろう。つくづく出遅れが痛い。
サダムイダテンは
ハギノトップレディに繋がる
華麗なる一族の出身だが、血統内には強烈な
ナスルーラのクロスを内包。そういう血統馬は
コスモバルクのように、突然変異的に強い馬が出ることがあるのだ。
だから、
サダムイダテンを
フォーティナイナー産駒という先入観で見ると、今後も痛い目に遭う気がする。
ラジオNIKKEI杯2歳Sの失敗だけで済めば、
「傷は浅かった」と思う日がいずれ訪れんことを。
3着となった
メイショウクオリアは
ダートで初勝利を挙げており、
重馬場で
2分7秒0とダート並みに時計を要した馬場に助けれた印象もあるが、上がりは
35秒2を記録していた。芝はまったく問題ない。
今回の
メイショウクオリアを見ていて、
父マンハッタンカフェが
不良馬場だった
弥生賞(キャリア3戦目、走破時計は2分6秒8)で4着となったことを思い出したが、2歳時にこれだけ走れるのは素質の高さの証明だろう。
というわけで、
ラジオNIKKEI杯2歳Sを終えても、来年のクラシック戦線の展望は
「混戦模様」という印象。むしろ、難解さが増したような気さえする。
だって、今回負けた
ダノンイサオや
フローテーションにも、挽回の余地は十分に残されていると思うから。この1戦だけで、各馬の評価は決めきれない。
来年、まだデビューしていない組から
「超新星」が現れるのか。いずれにしても、個々人の馬券力や馬を見極める力を試されるクラシック戦線になりそうだ。