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「雨の良馬場」はレースの前も後も扱いに困る
文/編集部

田村裕(麒麟)著『ホームレス中学生』の中で、雨がパラつく空に向かって、「降るなら降る! 降らないなら降らない!」と怒る一節があるが、競馬でもそう叫びたくなる日は多い。

今年の日経新春杯当日もまさにそんな天気で、昼頃まではなんとか持っていたものの、午後から降り始め、かといって本降りにはならないで馬場発表は「良」のまま。

ただ、「良」といっても「パンパンの良」ではないのは明らかで、「不良」ほど悪さをするわけじゃないけど、学級委員を務めるほど「良」でもない中学生みたいで、本当に扱いに困ります(苦笑)。

結果を見た後なら何とでも言えるが、馬場は見た目以上に悪かったようだ。

優勝したアドマイヤモナークの父は、仏愛ダービー馬ドリームウェル。その父サドラーズウェルズを考えても、重い馬場に適性があるのは間違いないだろう。

3着に粘って波乱を呼んだテイエムプリキュアは、雨の阪神JF勝ち馬。その阪神JFも、レースの数時間前から雨が降り始めて、発表は「雨の良馬場」だった。テイエムプリキュアは、扱いに困る馬場に適性があるということか?

アドマイヤジュピタをはじめ、馬券圏外に敗れた馬たちの中には馬場にノメッた馬が何頭もいたようだ。今回は、万引きや人を傷つけたりはしないけど、「カンニングぐらいはしちゃう良」だったのかもしれませんね。

優勝したアドマイヤモナーク重賞挑戦11度目での初制覇となったが、レースぶりを振り返ってみると、どうしてこれまで勝てなかったのか?と不思議になるくらいの完勝だった。

道中はいつも通り後方に控えたものの、4コーナー手前の坂の下りで徐々に進出を始め、直線半ばでは安藤勝騎手が持ったままで先頭を射程圏に捕らえていた。

その手応えの良さには、アドマイヤモナークを軸にしていた人は「やればできるじゃないか」と思っただろうし、2~3着付けで馬券を買っていた人たちは「こ、これはやばい」と感じたはず。

仕掛けられてからもしっかり伸びて快勝したわけだが、果たしてこれは同馬の本格化を表すことなのか、それとも「小雨の良馬場」だったからできたことなのか。どっちなのでしょう?

これが普通の良馬場だったら、「本格化」とポーンと判を押すのだが、今回のような馬場だと躊躇してしまう。

微妙な馬場状態の時は、馬券を買う段でも判断に迷うし、こうしてレース後に各馬の評価を下す時にも魚の小骨のように引っかかる。もう本当に「降るなら降る! 降らないなら降らない!」とお願いしたい…。

1番人気に推されていたアドマイヤジュピタは、これまで馬券圏内を外したことが一度もなく、今回も死角らしい死角が見あたらなかった。

ただ、AR共和国杯勝ち馬はその次走があまり芳しくなく、95年以降に限ると[0.0.2.9]と連対馬が出ておらず、その点だけが気にはなっていた。

芝2400~2500mのハンデ重賞は、AR共和国杯日経新春杯目黒記念と3レースあるが、調べてみると、その3レースの勝ち馬は次走が振るわないケースが少なくなく、95年以降では、AR共和国杯勝ち馬[0.0.2.9]目黒記念勝ち馬[0.1.2.8]日経新春杯勝ち馬[2.1.1.7]となっている。

日経新春杯に限っては連勝する馬が出ているが、次走も勝利を収めたのは、次走が父内国産馬限定戦(中日新聞杯)だったゴーゴーゼットと、日経新春杯6馬身差勝ちをしていたシルクフェイマス

アドマイヤモナークが次走をどこで走るかは分からないが、本格化したかどうかの判断は、次走以降を見てからすべきかもという気がしてくる。

ちなみに、95年以降のAR共和国杯勝ち馬は、次走で連対できた馬がいないと記したが、次々走は[2.2.1.6]と巻き返す馬が多い。

アドマイヤジュピタ自身も、今回は「降るなら降る! 降らないなら降らない!」と言いたかったかもしれないし、次の機会(できれば生徒会長並みの良馬場)での巻き返しに期待しよう。

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