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古牝馬同士の戦いは、過酷になるほどに序列が表れる!?
文/編集部

牝馬といえば桜花賞。つまりマイル戦でのスピードを競う舞台がいちばん華やぐ。競馬ファンの多くがそう思うんじゃないだろうか。

このレースも、京都牝馬特別という名称だった頃からずっとマイル戦で行われ、桜花賞ほどのきらびやかさではないものの、一種独特の雰囲気を醸し出してきた。

それは、キャリアを何戦も積んできた馬たちが集い、中にはそろそろ競走馬としてのキャリアを終えようとしている馬も含まれるからだろう。

ここで重賞タイトルをひとつ加えることは、もちろん自分自身の勲章になるし、後に母となった時にも違ってくる。その一方で、次の仕事も待っているから無事に走り終えてほしい。そんな微妙な感情を持つ関係者も少なからずいるからだろう。

今年は、同レースとしては02年以来となる道悪で行われた。02年は、牡馬相手にセントウルSスワンSを制していたビハインドザマスクが、58kgという重斤量を背負いながら、力の差を見せつけるように追い込んで優勝した。

今年のアドマイヤキッスは先行策からの押し切り勝ちだったが、斤量は56kg56kg以上の重量を背負ってこのレースを優勝したのは、ビハインドザマスク以来だった。

前走の愛知杯でも感じさせられたことだが、古牝馬の戦いは、ちょっとやそっとの斤量差では序列は崩れない印象を受ける。

むしろ、道悪ハンデ戦など、過酷な状況になればなるほど、その序列の堅さが際立つ気さえする。

今回優勝したアドマイヤキッスは、3歳時に桜花賞オークス秋華賞1番人気に推された馬で、結果は2着4着4着。その桜花賞を競り勝ったキストゥヘヴンが今回の3着だった。

キストゥヘヴンフラワーC3着に敗れ、桜花賞に出走できなかったブルーメンブラットは、2年近くの歳月を掛け、「キッス&キス」の2頭を人気面で逆転したものの、結果は2頭の後塵を拝する4着までだった。

4歳勢ではオークス馬ローブデコルテ5着で、そのオークス2番人気10着だったザレマ2着に入ったが、2頭の斤量差は4kgもあった。むしろ58kgの重量を背負ったローブデコルテが、近走好調だった他の馬たちを抑えて5着となったところに、牝馬の序列を感じたのだが、どうだろうか?

今回優勝したアドマイヤキッスは、チューリップ賞ローズS愛知杯に続き、4つ目のタイトルを手中にした。実績は申し分なく、後に母となってもいい仔を出すに違いない。

しかし、牧場に戻って母となるのはもう少し先のことだろう。なぜなら、G1タイトル奪取という大目標が残されているから。

今回の結果を見ても、現役牝馬の中で、アドマイヤキッスの序列が上位なのは明らか。昨年のヴィクトリアマイル外枠の不利に泣かされたので、今年こその意気込みもあるだろう。

02年にこのレースを優勝したビハインドザマスクは、それが引退レースだった。今から6年前のことだから、当然、ヴィクトリアマイルは存在していなかった。6歳3月で引退するというクラブホースとしての規定があったとはいえ、当時にヴィクトリアマイルがあったらどうしていたのだろう?

同じ道悪重い斤量を背負い、ともに1分36秒0という勝ちタイムを計時したのを見て、ふとそんなことを思った。

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