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ローレルゲレイロの鮮やかな復活劇・父子制覇と相成った
文/浅田知広

東京新聞杯、といって思い出すのはホクトヘリオス朝日杯3歳S以来1年2ヶ月ぶりの重賞連対を果たした88年のことである。前走のオープン特別に続き、「追い込んでくる芦毛のヤツ」はかなり印象深いものだった。

その2年後、90年の優勝は88年の京王杯AH以来約1年半ぶりの重賞制覇。競馬を始めたばかりの頃の結果は「刷り込み効果」が高く、なんとなく「復活」がありそうなレース、という印象が強い。

その「復活」の最たる例といえば、02年に朝日杯3歳S以来約3年ぶりの勝利を手にしたアドマイヤコジーンだろう。99年に1年3ヶ月ぶりの勝利を飾ったキングヘイローも、そんな中の1頭に数えられようか。

今年、見事にこのレースで復活を果たしたのはそのキングヘイローの息子、ローレルゲレイロだった。

重賞2着は5回を数えていたものの、勝利は一昨年6月の新馬戦以来で、昨年秋は「いったいどうしてしまったのか」という大敗続き。

前走・阪神Cはチークピーシーズを装着してハナに立ち、勝ち馬から0秒2差の4着と立ち直りの気配を見せていたとはいえ、やはり「復活」と言っていいだろう。

とはいえ。この「刷り込み効果」がそのまま馬券に結びつくか、といえばそれはまた別のお話だったりする。

この日は、中山の連続開催を挟んで秋以来となる東京の開幕週。第5レースの芝1800mの新馬戦では1分48秒5…というのはペース次第では出る時計だが、上がりの2ハロンは11秒3-11秒2

続く3歳500万・芝2400mでは2分25秒7と、ちょっと時計が遅い年のダービー並みのタイムが記録され、さらにクロッカスS京王杯SCくらいは勝てそうな1分21秒3。とにかく速い時計での決着が続いていた。

ここで、「復活」+ダンシングブレーヴ(キングヘイローの父)ならこういう競馬も良いだろう、という発想になればローレルゲレイロ、なのだろうが、ふと昨年の結果を見てみると、勝ち時計が1分32秒7で、スズカフェニックス以下上位馬はみな差し馬だらけ。

そもそも近年のこのレースは差し馬有利の傾向が続いており、エイシンデピュティあたりに突っつかれる展開を考えると少々手を出しづらい感があったのだ。

ところが、終わってみれば2番手抜け出し。ゴール前では本来のこの馬らしい粘り腰、そして以前は見られなかった根性も発揮してのタイトル獲得。鮮やかな復活劇・父子制覇と相成った。

冒頭に挙げたホクトヘリオスマイルCS2着が最高で、残念ながらG1タイトルに手は届かなかったが、アドマイヤコジーンはこのレースでの勝利をきっかけに完全復活を果たし安田記念を制覇。

そして父キングヘイローは、1年置いた翌年春に高松宮記念で初のG1タイトルを手中にした。

このローレルゲレイロも、朝日杯FSとNHKマイルC2着の実績が示す通り、本調子さえ取り戻せば再びG1で勝ち負けを繰り広げる力は持っているはず。

あれこれと注文がつく現状ではあるが、なにせまだ成長の余地を大いに残す4歳馬。この先のさらなる活躍はもちろん、父子G1制覇の可能性も大いにありそうだ。

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