きさらぎ賞がその年のクラシック戦線を映す鏡だとすると!?
文/編集部

過去10年、
きさらぎ賞出走馬の牡馬三冠成績を見ると、
皐月賞[2.3.2.22]、
ダービー[3.6.2.14]、
菊花賞[2.2.4.12]。
ダービーは
勝率12.0%、
連対率36.0%、
複勝率44.0%で、数字は三冠の中でもっとも高い。
98年は
きさらぎ賞1、2着だった
スペシャルウィーク、
ボールドエンペラーが
ダービーでもそのまま
1、2着。
06年は
きさらぎ賞1、2着だった
ドリームパスポート、
メイショウサムソンが
ダービーで
3、1着。
03年には
ネオユニヴァースが
きさらぎ賞も
ダービーも勝っていたし、昨年も
きさらぎ賞を制した
アサクサキングスが
ダービーで
2着となり、そののちには
菊花賞を勝っていた。
きさらぎ賞の歴史を紐解いていくと、
ダービーを筆頭に
牡馬三冠といかに繋がりが深いのか。そのことを改めて実感させられるし、その年のクラシックを占う意味でも、注目度が高くなるのは自然な流れ。
今年のメンバーに重賞勝ち馬は不在だったが、今回が
重賞初挑戦だった
ブラックシェル、
アルカザンが、
朝日杯FS2着馬の
レッツゴーキリシマを押さえ、
1、2番人気に推されていた。
そのあたりにも、まだデビューから連対を外していなかった2頭に対して、
クラシックの主役を期待するというファンの心理が馬券に反映されていたのかもしれない。
だが、
ブラックシェルは
7着、
アルカザンは
6着に敗れた。馬券圏内は
8番人気、
5番人気、
7番人気と人気薄が占め、3連単は
21万馬券が飛び出した。
ブラックシェルはスタートで出遅れながら、メンバー中最速の上がり(34秒5)を使い、外ラチ沿いから急追して勝ち馬から0秒3差。
アルカザンは馬場の中央を突いて勝ち馬から0秒2差。
上位馬と僅差で走り、素質の片鱗は示したものの、
きさらぎ賞を終えた段階では、
「牡馬クラシックの主役」という看板を背負うまでには至らなかった。
現3歳世代は
函館2歳Sから
きさらぎ賞まで、重賞は
16レースを消化したが、牡馬の重賞ウイナーは
きさらぎ賞を制した
レインボーペガサスで
11頭目を数える。
重賞を2勝した馬は1頭もおらず、2回連対したのも
ドリームシグナル(京王杯2歳S2着、シンザン記念1着)、
サブジェクト(札幌2歳S2着、ラジオNIKKEI杯2歳S1着)、
タケミカヅチ(デイリー杯2歳Sと共同通信杯で2着)の3頭しかいない。
性別を問わず、今年のクラシック戦線は
混戦と表現されるが、クラシックの登竜門である
きさらぎ賞を終えても、その評価に変化なし。このまま行くと、本番までその流れが続く可能性が現実味を帯びてきた感じだ。
勝った
レインボーペガサスは、
デビュー戦(札幌芝1800m、勝ったのは5番人気だった
ヤマニンキングリー)で
単勝1.7倍の断然1番人気に支持されていたように、早くからその素質を評価されていた。
芝では
4、2、3着と勝ち切れず、
ダートに進路変更した途端、トントン拍子に出世し、
もちの木賞では
レコード勝ち、
全日本2歳優駿でも
3着と好戦していた。
その過程で馬が成長していったのかもしれないが、急激に強くなったという印象は受けない。今回も
馬場の荒れた京都で
1分48秒8という決着。力のいる馬場や遅い時計に助けられた面もあるだろう。
きさらぎ賞が
その年のクラシック戦線を映す鏡だとするなら、今年は
レインボーペガサスのような
意外性を持つ馬が台頭してくるのかもしれない。そんな予感が頭を過ぎった。