アドマイヤオーラの末脚は紛れもなくG1級
ダート変更になっても、ファンは馬券を買わないで回避する手段があるが、出馬登録した側はそうもいかない。今年のフェブラリーSは天気が良いから芝1600mに変更しま～す。とは言わないだろう。ならば、ダート変更をしたら、せめてスクラッチ(出走回避)をしやすくするべきではないのだろうか。いちばん良いのは開催を順延することだろうけど。
今年の京都記念は「曇・良」で行われたが、レース中には雪が舞っていた。京都記念がダート1900mに変更される可能性もなかったとは言えないはずだ。単勝オッズが10倍を切った4頭は、いずれもダートの出走経験がない。想像してゾッとするのは私だけだろうか?
その上位人気4頭は、芝の良馬場で行われた今回のレースで、1着、2着、4着、6着という結果に終わった。着順にバラつきはあるものの、2着アドマイヤフジ・4着ドリームパスポート・6着ウオッカの3頭は0秒1差以内。着差で見れば、アドマイヤオーラが1頭だけ抜け出す形になった。
戦前、アドマイヤオーラについては、これまで通りの切れる末脚を使えるのか、気になった。連続8週目の京都芝は見た目にも荒れており、そんな馬場で行われる京都記念は、例年、上がりタイムがかかっている。
アドマイヤオーラが唯一馬券圏内を外した皐月賞が連続8週目でのレースで、レースの上がり3Fが35秒9。牡馬としては小柄な体(456kg)ということを考えても、荒れ馬場はこたえるのではないかと思われたのだ。
ところが、結果はご覧の通り。馬場を苦にするどころか、上がり3Fでまたも33秒台(33秒9)を叩き出して、他馬を一刀両断した。
アドマイヤオーラがこれほど切れたのは、逃げたシルクフェイマスが1000m通過61秒7というスローペースを作り上げたことが要因と思われる。ただしかし、それだけで33秒台の末脚を繰り出して差し切れるかというと、そう簡単な話でもないだろう。
芝2200m以上の重賞で、上がり33秒台の末脚で優勝した馬がどれくらいいるものか調べてみた。すると、38頭が該当した。ただ、その半数は少頭数での競馬で、15頭立て以上の多頭数競馬では、該当馬は18頭となる。
その18頭のうち、ハンデ戦を除くと15頭になり、その中の14頭がG1馬である(唯一の例外は青葉賞でのハイアーゲーム)。
ペース云々は別にしても、開催後半どころか連続8週目での馬場で上がり33秒台で戴冠したことは、紛れもなく驚異的である。アドマイヤオーラのその末脚は、優にG1級と言って差し支えないだろう。
その末脚は、国内に限らず、海外でも通用するのではないか。ぜひ、雪のない国での豪快な走りも見てみたい。
さて、そのアドマイヤオーラと同じく、今回の京都記念でもう1頭、上がり33秒台を計時した馬がいた。それはウオッカ。ウオッカの上がりは33秒8で、それはアドマイヤオーラを上回るメンバー最速タイムだった。
宝塚記念以降は5戦連続で連対圏を外れているウオッカだが、上がり33秒台を計時したのは秋華賞(33秒2・③着)、JC(33秒6・④着)についで3度目。決して、その剛脚が鈍っているわけではない。
今回はレース間隔が開いた影響か、道中で少し行きたがる面もあったので、悲観すべき内容でもないだろう。ただ、少し気になることもある。一生懸命走っても上位に入れないストレスは幾ばくか。牝馬だけに余計にそんな心配が頭をよぎる。
64年ぶりの偉業が伊達ではないことを、再び証明するのはいつの日か。これも雪のない彼の地であれば、言うことはないのだが……。1ヶ月後の雄姿に期待することにしよう。
文/編集部
ダート変更になっても、ファンは馬券を買わないで回避する手段があるが、出馬登録した側はそうもいかない。今年のフェブラリーSは天気が良いから芝1600mに変更しま～す。とは言わないだろう。ならば、ダート変更をしたら、せめてスクラッチ(出走回避)をしやすくするべきではないのだろうか。いちばん良いのは開催を順延することだろうけど。
今年の京都記念は「曇・良」で行われたが、レース中には雪が舞っていた。京都記念がダート1900mに変更される可能性もなかったとは言えないはずだ。単勝オッズが10倍を切った4頭は、いずれもダートの出走経験がない。想像してゾッとするのは私だけだろうか?
その上位人気4頭は、芝の良馬場で行われた今回のレースで、1着、2着、4着、6着という結果に終わった。着順にバラつきはあるものの、2着アドマイヤフジ・4着ドリームパスポート・6着ウオッカの3頭は0秒1差以内。着差で見れば、アドマイヤオーラが1頭だけ抜け出す形になった。
戦前、アドマイヤオーラについては、これまで通りの切れる末脚を使えるのか、気になった。連続8週目の京都芝は見た目にも荒れており、そんな馬場で行われる京都記念は、例年、上がりタイムがかかっている。
アドマイヤオーラが唯一馬券圏内を外した皐月賞が連続8週目でのレースで、レースの上がり3Fが35秒9。牡馬としては小柄な体(456kg)ということを考えても、荒れ馬場はこたえるのではないかと思われたのだ。
ところが、結果はご覧の通り。馬場を苦にするどころか、上がり3Fでまたも33秒台(33秒9)を叩き出して、他馬を一刀両断した。
アドマイヤオーラがこれほど切れたのは、逃げたシルクフェイマスが1000m通過61秒7というスローペースを作り上げたことが要因と思われる。ただしかし、それだけで33秒台の末脚を繰り出して差し切れるかというと、そう簡単な話でもないだろう。
芝2200m以上の重賞で、上がり33秒台の末脚で優勝した馬がどれくらいいるものか調べてみた。すると、38頭が該当した。ただ、その半数は少頭数での競馬で、15頭立て以上の多頭数競馬では、該当馬は18頭となる。
その18頭のうち、ハンデ戦を除くと15頭になり、その中の14頭がG1馬である(唯一の例外は青葉賞でのハイアーゲーム)。
ペース云々は別にしても、開催後半どころか連続8週目での馬場で上がり33秒台で戴冠したことは、紛れもなく驚異的である。アドマイヤオーラのその末脚は、優にG1級と言って差し支えないだろう。
その末脚は、国内に限らず、海外でも通用するのではないか。ぜひ、雪のない国での豪快な走りも見てみたい。
さて、そのアドマイヤオーラと同じく、今回の京都記念でもう1頭、上がり33秒台を計時した馬がいた。それはウオッカ。ウオッカの上がりは33秒8で、それはアドマイヤオーラを上回るメンバー最速タイムだった。
宝塚記念以降は5戦連続で連対圏を外れているウオッカだが、上がり33秒台を計時したのは秋華賞(33秒2・③着)、JC(33秒6・④着)についで3度目。決して、その剛脚が鈍っているわけではない。
今回はレース間隔が開いた影響か、道中で少し行きたがる面もあったので、悲観すべき内容でもないだろう。ただ、少し気になることもある。一生懸命走っても上位に入れないストレスは幾ばくか。牝馬だけに余計にそんな心配が頭をよぎる。
64年ぶりの偉業が伊達ではないことを、再び証明するのはいつの日か。これも雪のない彼の地であれば、言うことはないのだが……。1ヶ月後の雄姿に期待することにしよう。