こんな内枠決着は、競馬歴の長いおじいちゃんには超簡単!?
文/編集部

今からもう10年以上前の話になる。
後楽園ウインズで最終レースの馬券が当たり、確定前から払い戻し機の前に並んでいたら、横にいた
見ず知らずのおじいちゃんに声を掛けられた。
確か万馬券近くの高配当だったので、喜んで話しかけてきたのだろう。的中馬券を見せられて、その買い目に至った経緯を解説された。
馬券を見ると、
馬番1番から5番の5頭ボックス(馬連)。おじいちゃん曰く、
「わたしはいつも1~5番の5頭を買ってるんですよ」とのこと。解説でもなんでもありゃしないんですが(笑)、今回の
阪急杯のような結果が出ると、いつもそのおじいちゃんを思い出してしまう。
5位に入線した
マルカフェニックスが進路妨害で
12着に降着になったものの、入線時点では
馬番1~5番の馬が5位までに入り、結果的に4着までを占める形となった。
開幕週の芝では
内を通った馬が有利になりやすく、また、ある程度短い距離でペースが落ち着けば、さらにその傾向に拍車が掛かる。今回の
阪急杯は、典型的なそのパターンだった。
10年以上前におじいちゃんから
内枠ボックスの話を聞かされた時は、正直、
「んな、適当な(笑)」と思ったものだが、今思うと、
あれは競馬を長年やってきた者が辿り着いた境地だったのだろうと納得する。
開催が進めば外差しになるケースも多いわけだが、セパレートされていないコースを走る競馬において、
内をコースロスなく走った方が有利なのは自明の理。おじいちゃんはそれを体得していたのだろう。
勝った
ローレルゲレイロは
2番人気で、2着の
スズカフェニックスは
1番人気。2頭の馬連は
820円で、
5頭ボックス(10点)では
トリガミになっちゃうけど、この馬券をおじいちゃんは獲っただろうか? というか、おじいちゃんは今でも元気に馬券を買っているのだろうか…?
優勝した
ローレルゲレイロは、
重賞連勝を果たしたことで完全復活、というか、
四位騎手のコメントにあったように
軌道に乗ったと見ていいだろう。
1馬身未満の差での重賞2着が4度あった馬が、
東京新聞杯は
クビ差、
阪急杯は
アタマ差で凌ぎ切った。
チークピーシズを着けて、最後まで集中力が途切れずに走れているようだ。肉体的にも精神的にも充実期に入ったのだろう。
ローレルゲレイロの5代血統表内には、3本の
ノーザンダンサーが注入されている。
父キングヘイロー(その父
ダンシングブレーヴ)、
母父テンビー(その父
カーリアン)、
母母母父マルゼンスキー(その父
ニジンスキー)で、
ノーザンダンサーの血が煮えたぎっている。
叩かれれば叩かれるほどに上昇しそうで、
G2、
G1と進んでも楽しみの方が大きそうだ。
ローレルゲレイロの今後は、どうやら
高松宮記念には進まず、
安田記念が最大目標となるようだ。
キングヘイロー自身は
高松宮記念を制しているが、その産駒の
中京芝1200m成績は
[2.7.1.37](勝率4.3%)。一方、
安田記念が行われる
東京芝1600mは
[7.6.4.38](勝率12.7%)で、好走率の差は明らか。
コンゴウリキシオーなど同型の存在は気になるものの、
ダイワメジャーがいなくなった後のマイル王の座に就く可能性も低くはないだろう。
一方、2着に敗れた
スズカフェニックスは、誰の目にも明らかなように、今回は差し届かなかったものの、
高松宮記念に向けては視界良好だろう。
スズカフェニックスはキャリア22戦で2着になったのはこれが3度目だが、過去2度の2着の次走はいずれも勝利している。そのジンクスに、三度乗りたいところだろう。
スズカフェニックスにとって気になるのは、
スプリントG1を連覇するのは非常に難しいということだろう。
芝1200mのG1を連覇したのは93&94年の
サクラバクシンオーだけ。
高松宮記念と
スプリンターズSというG1連勝は
トロットスターなども成し遂げているが、
同一の短距離G1連覇は難易度が高いのだ。
スズカフェニックス以前の高松宮記念優勝馬(G1になった96年以降)が、翌年以降に同レースに出走した場合、次のような成績が残されている。
フラワーパーク96年1着→97年
8着シンコウフォレスト98年1着→99年
3着トロットスター01年1着→02年
5着ショウナンカンプ02年1着→03年
7着オレハマッテルゼ06年1着→07年
5着果たして
スズカフェニックスはこの悪い流れを断ち切れるか。
高松宮記念は、その開催中に
雨が多いと外差しで
外枠有利になり、
晴れが続くと
内枠の先行馬が残りやすくなる。
スズカフェニックスは、来週以降の中京開催で雨が降り、本番でも外目の枠に入れれば言うことないんじゃないだろうか。
今回の
阪急杯で3着以下に敗れた馬たちについては、
平坦巧者もいるし、
1200mがベストなタイプも多い。何より、今回は
枠に泣かされた馬も少なくないだろうから、開催最終日に行われる
高松宮記念で巻き返す可能性も十分ありそうだ。
内枠ボックスという買い方もそれはそれでいいだろうけれど、
馬場を考慮し、
馬それぞれの個性を吟味した上で本番に臨む。馬券界ではまだまだハナ垂れ小僧の私たちは、そのように抵抗を試みましょう(笑)。