上位3頭にはきっと、はなばなしい未来が待っている!?
文/編集部

先週の
アーリントンCは
1000m通過58秒4の
ハイペース。
チューリップ賞は
1000m通過61秒3の
スローペース。流れはまったく違ったが、
9月29日の新馬戦で1、2着だった
ダンツキッスイ、
エアパスカルがいずれも
逃げ切りで、しかも
新馬戦と同じ舞台で2週続けて重賞を勝つとはビックリ。
サンデーサイレンス産駒が不在となった重賞では、前に行く馬に注意しなければいけないなと改めて思うところあり、
外回りの阪神芝1600mは、コース実績のある馬がリピーターになりやすいのかなと思うところもあり。レース後はそんな思いが交錯した。
まあ、終わってからはなんとでも言えるのだが、
母父がサンデーサイレンスであり、
外回りの阪神芝1600mで連対実績があったのは、今回のメンバーでは
エアパスカルと
トールポピーだけだったりして。レース前からそれらに着目していた人にとっては、すごく簡単な馬券だったのでしょうね。
なお、今年の3歳重賞で
母父サンデー産駒が2頭以上出走したレースは
シンザン記念、
きさらぎ賞、
クイーンCに続いて4回目だったが、4レースすべてで2頭が馬券圏内に入ったことになる(
弥生賞は
スズジュピターが
6着、
フサイチアソートが
12着となって崩れてしまったが)。
それはさておき、直線で逃げ込みを図る
エアパスカル、それを許すまいと猛追する2歳女王
トールポピー、大外から33秒5という強烈な末脚で急追する
オディール。道中ではバラバラの位置取りだった3頭が、馬体を重なり併せてゴールを駆け抜けた。
チューリップ賞のひとつ前の阪神10R、
武庫川S(準OP、外回り阪神芝1600m)の勝ち時計が
1分34秒5だったので、その比較からいえば、3頭の
1分35秒8という走破時計は平凡かもしれないが、直線での攻防は数字からは計れないほどの見応えがあった。
エアパスカルのレースぶりは、
「差し馬のトールポピーを負かすにはこれしかない」というもの。ペースが遅いと見るや、スタート後にハナを主張していた
ユキノサッシュを早々に交わして主導権を取り、マイペースに持ち込むことができた。
エアパスカルに騎乗した
藤岡佑介騎手は勝利ジョッキーインタビューで、
“気分良く”という言葉を再三使っていたが、
折り合いがポイントの馬だけに、気持ちを損なわずにレースを進められたことが最大の勝因だろう。今年好調の
藤岡佑介騎手らしい、見事な手綱捌きだった。
トールポピーは
エアパスカルにハナ差及ばなかったものの、
2歳女王としての面目は保った。
休み明けで
スローペース。道中では行きたがる素振りを見せたが、
ハイペースだった
阪神JFとは真逆の流れで勝ち負けに持ち込めたことは大きい。
チューリップ賞はあくまで
前哨戦。本番へ向けて修正すべき課題を見出すことのほうが重要な場合もある。その点、
流れに左右されない自在性を見せた
トールポピーはひと叩きされた上積みも見込めるし、
桜花賞へ向けて死角は少なくなっただろう。
トールポピーに関して気になるのはその着差くらいか。
新馬戦は出遅れて勝ち馬に2馬身離されたが、
未勝利以降はハナ、クビ、クビ、ハナと僅差ばかり。抜け出すとソラを使う面が解消されてくればいいが、
仕掛けのタイミングが本番での最大のポイントかもしれない。
オディールは好位からレースを進めるものだと予想していたが、スタートで出遅れてしまい、後方からの競馬を余儀なくされた。
安藤勝己騎手は前哨戦だからと腹を括ったのか、押して行こうとはせず、そのまま後方に待機することに。
トールポピーより後ろからの競馬。これが
安藤勝己騎手の予測の範囲内だったのかは分からないが、沈着冷静な対応はさすがと思えたし、また、
スローペースで直線大外一気という厳しい展開の中、上位2頭と同タイムまで持ち込んだ
オディールも立派だろう。
ちなみに、過去20年の
チューリップ賞1~3着馬からは、桜花賞馬と同レース2着馬が8頭ずつ出ている。昨年、
チューリップ賞で1、2着だった
ウオッカ、
ダイワスカーレットが、
桜花賞で
ワンツーしていたことは記憶に新しい。
チューリップ賞が
桜花賞へ向けての最重要ステップであることは周知の通り。というわけで突然ですが、
桜花賞とかけて、
チューリップ賞の結果と解く。その心は、上位3頭にはきっと、
はなばなしい未来が待っていることでしょう。ナイスファイトでした。