今年の桜花賞を時計で予測するのは不可能かも!?
文/編集部

4月13日の
桜花賞へ向けて、
フラワーCが残されてはいるものの、
トライアルレースはこれにて終了となった。ところが、昨年の3強(
ダイワスカーレット、
ウオッカ、
アストンマーチャン)のような存在は見られず、牡馬戦線同様、牝馬もかなりの混戦となりそうだ。
先週の
チューリップ賞は3頭(
エアパスカル、
トールポピー、
オディール)が同タイムで入線する接戦だったが、
フィリーズレビューはそれに輪を掛けて、
5頭が横に並ぶ大接戦になった。
逃げ馬が勝った
チューリップ賞とは異なり、
フィリーズレビューは追い込み決着。1着から4着までの4頭(
マイネレーツェル、
ベストオブミー、
レジネッタ、
ラベ)は、4コーナーでの位置取りがいずれも
10番手以下だった。この結果をどう読んで、どう
桜花賞に活かすか。その作業はかなり難解と言えそうだ。
というのも、
追い込み馬が上位4着までを占める結果ではあったものの、ペース自体はそれほど速くなかったからだ。
今年の
フィリーズレビューは、前半が
34秒8-46秒7という入りで、1000m通過が
58秒3。それに対して、過去7年はこのようなラップになっている。
01年:
33秒6-44秒9-57秒202年:
34秒0-45秒7-57秒503年:
34秒6-46秒2-57秒904年:
34秒2-46秒1-58秒105年:
34秒4-46秒1-57秒606年:
34秒8-46秒5-58秒307年:
34秒8-46秒5-57秒9ラップとしては、
ダイワパッションが優勝した
06年に近いが、
06年は
稍重馬場だった(03年も稍重)。それを考えると、金曜日に雨が降ったとはいえ、
今年は流れが緩めだったと言える。
では次に、それぞれの
上がり3Fも見てみよう。今年、追い込み馬が上位入線したのはレースの上がり3Fが
35秒8と掛かったからでもあるだろうが、過去と比べるとどうなのか。
01年:
36秒802年:
35秒903年:
36秒5(*)04年:
35秒205年:
35秒106年:
36秒6(*)07年:
35秒3(*)は稍重やはり、近年で
良馬場だった時に比べると上がりが掛かっている。
流れが緩く、上がりも掛かっているので、当然、走破時計は過去に比べると遅め。
01年:
1分21秒702年:
1分21秒603年:
1分22秒7(*)04年:
1分21秒305年:
1分21秒206年:
1分23秒1(*)07年:
1分21秒8(*)は稍重今年は
1分22秒5で、
良馬場で決着タイムが
1分22秒台となったのは、
フィリーズレビューという名称になった01年以降では初だった。
ここまでを読むと、
今年はレベルが低かったんじゃないかと感じることだろう。しかし、ここまで書いておいてなんですが、あくまでこれは
芝1400mでの話。
芝1400mをハイラップで飛ばして押し切ったとしても、
マイル戦の
桜花賞につながるとは言い切れない。去年の
アストンマーチャンを思い出してもらえば理解しやすいだろう。
01年以降、
フィリーズレビューで1~3着になった馬の桜花賞成績は
[1.0.1.17]で、近年は通用しないケースが多い。ただこれは、
芝1400mを淀みない流れで先行して押し切っている馬が多いからだろう。
唯一、
桜花賞を勝っているのは
05年の
ラインクラフトで、同馬は
フィリーズレビューを
4コーナー9番手から差し切っている。
フィリーズレビューを
4コーナー5番手以下から差し切ったのは
ラインクラフトと
01年の
ローズバドだけで、
フィリーズレビューを差して好走した馬はG1でも好戦できる、とも言い切れなくはないか。
もちろん、
ラインクラフトと
ローズバドは、速い時計の決着を差したからこそ価値があると見ることもできる。だからこそ、今年のフィリーズレビュー上位馬の扱いが非常に悩ましいのだ。
勝った
マイネレーツェルは
ステイゴールド産駒で、2着
ベストオブミーは
ブライアンズタイム産駒。3着
レジネッタは
フレンチデピュティ産駒だが、兄に芝2000m以上で3勝をしている
アエローザがいて、どの馬も
芝1400mがベストとは思えない血筋をしている。
桜花賞が
底力を問われる流れになるなら、台頭しておかしくない感じだが…。
ちなみに、
エアパスカルが逃げ切った
チューリップ賞は、
ダイワスカーレットが引っ張って2着に残った昨年よりラップが遅く、1000m通過は
61秒3だった(昨年は59秒8)。
昨年の
桜花賞の1000m通過は
59秒8で、
トールポピーが優勝した昨年の
阪神JFは
58秒1。
今年のフィリーズレビュー以上にペースは緩かったと言える。
チューリップ賞の勝ち馬(
エアパスカル)こそ
逃げ馬だったが、同レースの2着
トールポピーと3着
オディールは
差し。
アネモネSで1&2着となった
ソーマジックと
シャランジュも
追い込みで、
クイーンC1&2着の
リトルアマポーラと
ライムキャンディも
4コーナー6番手以下からの差しだった。そして今回の
フィリーズレビューと、こんなに差し馬ばかりで
桜花賞はどうなっちゃうんでしょうか!?
ラップの分析は、本番でのラップの予測が付きやすい時こそ威力を発揮するもので、これだけ有力馬が控えそうなタイプばかりだと、どんな流れになるか、皆目見当が付かない。
ミルコ・クロコップ選手の対戦相手じゃないが、いっそのこと、
「桜花賞の前半1000mを59秒台で引っ張ってくれる娘さん、募集」と言いたくなるところです…。