「母父サンデーサイレンス」の凄さを改めて実感させられる
文/編集部
昨年暮れの愛知杯で2着、桜花賞馬ニシノフラワーの娘
ニシノマナムスメが
1番人気。秋華賞2着馬
レインダンスが
2番人気。例年このレースを最後に引退する馬とヴィクトリアマイルを目指す馬が出走し、しかも
ハンデ戦のため
混戦模様になりやすいレースだが、今年の上位人気はフレッシュな4歳馬が占めた。
スタートから5番人気
イクスキューズがハナに立ち、
レインダンス、
ニシノマナムスメなどの有力どころが前につける。
1000m通過が60秒8とさほど速いペースではなかったが、この前がかりの展開が人気馬にとって悪いほうに働いた。残り600mで各馬が一斉に仕掛けるが、
ニシノマナムスメ、
レインダンスに伸びがない。
これは前と後ろが一気に入れ替わる展開か……と思いきや、逃げる
イクスキューズを終始1馬身後ろから追走してプレッシャーをかけ続け、先行勢が総崩れになる中、唯一
道中2番手から粘り込んだのが、勝った6番人気
ヤマニンメルベイユだった。
レース後の
柴山騎手の
「意識して早めに仕掛けた」のコメント通り、残り4ハロン~2ハロンまでが
11秒台、最後の1ハロンが
12秒5。まさしく
“一杯になって”の押し切りだった。
2着は最後方から追い込んだ
マイネカンナ、
3着は3コーナーで置かれながら、直線で盛り返したトップハンデの3番人気
キストゥヘヴン。1番人気
ニシノマナムスメは
4着、2番人気
レインダンスは
15着に沈んだ。これが引退レースとなった
コスモマーベラスは
6着だった。
それにしても改めて思うのは、
「母父サンデーサイレンス」の凄さだ。勝った
ヤマニンメルベイユの祖母
ティファニーラスは
ケンタッキーオークスなどを含め、アメリカで8連勝を記録した名牝。
直仔は
ヤマニンメルベイユの母でもある
ヤマニンアリーナが
クローバー賞を勝った程度で、目立った成績は残せなかったが、
ヤマニンアリーナの姉
ヤマニンジュエリーが
阪神JFや同じ
中山牝馬Sを勝った
ヤマニンシュクルを出し、
ヤマニンアリーナからはこの
ヤマニンメルベイユと、今年の
きさらぎ賞で
3着した
ヤマニンキングリー(父アグネスデジタル)が出ている。
ヤマニンメルベイユの父は
メジロマックイーン。他に
エイダイクインなどを出してはいるが、それほど大きな実績を残した種牡馬ではない。となるとやはり
母父サンデーサイレンスが
ティファニーラスの眠れる血の力を引き出したと考えるのが自然だろう。
また、
ヤマニンシュクルの父
トウカイテイオーも然りで、その母父は
ニジンスキー。これも
ダンスパートナー、
ダンスインザダーク姉弟の例を出すまでもなく
母父として大きな実績を挙げている馬だ。
そういえば、
中山牝馬Sのひとつ前に行われた10R
サンシャインSでも同じ
父メジロマックイーン、母父サンデーサイレンスの組み合わせの
ホクトスルタンが勝利した。
こちらは
2500mを勝ったことで、
メジロアサマから繋がる
天皇賞親仔4代制覇の夢が広がったことになる。現役続行すると言われている
ヤマニンメルベイユとともに、
サンデーサイレンスの力を借りてこの春さらに飛躍してほしいものだ。
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