朝青龍と白鵬と休み明けとひと叩き
文/編集部

昔、
日本の競馬と相撲はよく似てると言う人がいた。どっちも
“朝早くから稽古をする”だろう、と。確かにそう言えば、競走馬の順位付けをする時も、相撲の番付方式を採用して
『横綱』とか
『大関』と言うことが多い。まあ、番付方式は日本人に馴染み深いので、競馬以外でも使われていますが。
天皇賞・春の前哨戦として長く定着している
阪神大賞典は、
『横綱』が出走して、その力を存分に見せつけることが多いレース。
ディープインパクトや
テイエムオペラオー、
スペシャルウィークや
メジロマックイーンなどなど、そのレースぶりはいちいち思い出せないくらい、あっけなく勝っていくのが
阪神大賞典の主流だった。
今年、そんな期待を一身に集めたのが
ポップロックだった。同馬の単勝オッズは
1.9倍。
武豊騎手が阪神大賞典で相性良いことに加えて、
このレースで1番人気の成績が良いことが人気に拍車を掛けたのだろう。
ポップロックの単勝オッズは、午前中は
2.2~2.5倍で推移していたものの、午後になって徐々に上がり、15時過ぎに
1倍台に突入した。
人気が人気を呼んで単勝オッズを押し下げたと考えないと、このオッズは説明できない気がする。
ポップロックは500kgほどある大型馬で、確かに
休み明けで勝ったことはあるものの、それは
500万下での話。
休み明けでの通算成績は[1.1.2.3]で、崩れる可能性はかなり低そうで
1番人気は納得できたが、
単勝1倍台ほどの信頼感まではないと判断するのが自然だったろう。
今回対戦したメンバーを見渡しても、
アドマイヤフジと
トウカイトリックと
アイポッパーは
中3週での臨戦で、
アドマイヤジュピタは
中8週だったが、
休み明けだった前走(
16kg増)よりも体がかなりシェイプアップされていた(
10kg減)。休み明け同士の対決だったならいざ知らず、
状況的にはポップロックが割り引き材料を抱えていたと言える。
果たして前哨戦は終わり、
ポップロックは地力を見せたものの3着までで、1&2着には
休み明けを叩かれて10kg以上体重を絞ってきた馬が占めた。
これを見て、
大相撲の1月場所を思い出した。
謹慎明けで出場した
朝青龍と、
2場所連続優勝をしていた
白鵬が
千秋楽で相星決戦を戦い、ずっと場所を守ってきた
白鵬が意地を見せて優勝した一番だ。
言ってみれば、休み明けで出てきた
朝青龍に対して、
白鵬は休むことなく出場していて、負けるわけにはいかなかったはずだ。
ポップロックは別にサッカーをして休んでいたわけではないけれど、同馬を迎え撃つ厩舎関係者に期するものがあっても不思議ではない状況だった。
さて、こうなると、面白くなってくるのが
本番(天皇賞・春)だ。一矢を報いた
アドマイヤジュピタと
アイポッパーが評価を上げたのはもちろん、今度は
ポップロックも上積みが見込めるに違いない。
他にも
大阪杯や
日経賞組が控えているし、
昨年の覇者で、
本当の横綱と言えるかもしれない
メイショウサムソンの存在もある。
大相撲は
朝青龍と
白鵬の
2強時代に突入しているが、現在の
古馬長距離路線は
群雄割拠で、複数いる上位馬はどれにも優勝のチャンスがありそうだ。
近2年の
天皇賞・春は、
ディープインパクト、
メイショウサムソンと連勝で盾獲りを果たしているけれど、それ以前の
01~05年は、
前走で敗戦を喫した馬が巻き返して優勝している。
近年の
天皇賞・春は、90年代のような連勝での優勝ばかりではないので、前哨戦で敗れた馬にもまだまだチャンスがあるはずだ。
大相撲の3月場所は、先場所に続いて
白鵬と
朝青龍の相星千秋楽決戦になったが、今回は
“休み明けをひと叩きされた”朝青龍が優勝をもぎ取った。果たして、古馬の長距離路線で横綱に就くのは何なのでしょう?