叩いて叩いて、桜の季節にヒマワリが満開!
文/編集部
季節の変わり目は体調を崩しやすく、それは馬も同じなのか、
3月(マーチ)に行われるこのレースはとかく荒れやすい。
3連単が発売されるようになった05年以降は、配当がすべて10万円オーバー。
15万円、
25万円、
30万円と、年を追うごとに爆発力も高まっていた。
そんな結果を受けて、週末の馬券検討時には、
プリ園長も
イジリー岡田並みに高速で舌なめずりをしていたが、周囲からは
今回ばかりは平穏に収まるのでは?と少々いさめられていた。それもなにも、
フィフティーワナーの存在があったからだ。
フィフティーワナーはご存じの通り、
ダート戦が7戦6勝で、デビュー戦以外はすべて勝利を収めていた。長期休養明けをひと叩きされただけで一変できるのか不安視された前走の
仁川Sも、トップハンデを背負いながら完勝。
斤量がそこから500g増なら特に問題ないだろうと思われた。
レースはいつも通りの先行策で、向こう正面を過ぎた辺りからジワッと上がっていき、4コーナーを回った地点で先頭。いつも通りの動きに見えたが、ここから伸びを欠くと
ナナヨーヒマワリや
マコトスパルビエロに交わされ、最後は4着
レオエンペラーに
クビ差まで迫られた(2着
マコトスパルビエロとは
3馬身差)。
自力で動いていって最後に交わされたので、ペースが速かったのかと思ったが、調べてみると、前半の入りこそ速かったものの、
1000m通過は61秒1でほぼ平均。
06年は
61秒0で
59kgを背負った
ヒシアトラスが先行抜け出しで完勝していて、
03年には
60秒1で
58kgだった
スマートボーイが逃げ切っている。
フィフティーワナーは
06年のアンタレスSで、前走でマーチSを完勝した
ヒシアトラスに2馬身半差を付けて快勝している。それを考えると、
今回はまだ全盛時の力には戻っていなかったということか…。
もしかしたら、伏線は前日の土曜日にあったのかもしれない。同じ
中山ダート1800mの
3R(未勝利戦)で、3頭が落馬し、そのうちの1頭に騎乗していた
横山典騎手が負傷して
フィフティーワナーに騎乗できなくなった。
代わりに騎乗したのが
柴田善騎手で、関東のトップジョッキー同士の乗り替わりなら問題ないように思われたが、
柴田善騎手は
これまでのダート1800m重賞が[0.1.3.15]で未勝利だった。それが直接の敗因ではないことは明白だが、小骨が刺さったような感じも受けた。勝負事とはそういうリズムも大事なのかもしれませんね…。
優勝した
ナナヨーヒマワリは
通算6勝目で、今回が初の連勝。初勝利を挙げるまでに
10戦を要し、
40戦目の
6歳春に
1000万を突破した馬が、
7歳春にして最盛期を迎えた。
これまでの5勝は、初勝利が
1月、2勝目が
10月、3勝目が
8月、4勝目が
4月、5勝目が
2月で、どうやら
季節に関係なく咲き誇るヒマワリのようです(笑)。
ただ、前記したように、今回はそれほど強烈なハイペースではなかった。6歳までに記録した4勝はすべて
良馬場だったが、前走を
不良馬場で差し切り、そして今回の快勝と、想像以上に力を付けているのだろう。
ナナヨーヒマワリの母
ナナヨーウイングは、
メジロドーベルが優勝した
97年オークスで
2着になった馬。その母
ナナヨーアトラスは
ライトカラーが優勝した
89年オークスで
4番人気に推されている(11着)。
母
ウイングは
秋華賞を最後に引退し、祖母
アトラスは
オークスがラストラン。母
ウイングの姉にあたる
ナナヨーストームも、
96年オークス(3番人気15着)を最後に引退している。
この一族には
ダート実績馬もいて、
ストーム&ウイングの弟にあたる
ナナヨーウォリアーは
5歳時に
ブリリアントS(OP)を勝ち、その弟
ナムラモンスターも
ダート1000万を3勝している。ただ、
ナナヨーウォリアーは
5歳で、
ナムラモンスターは
6歳でラストランを迎えている。
ナナヨーヒマワリは丈夫な体を授かり、そして大事に使われてきたからこそ、
7歳にして大輪を咲かせることができたのだろう。
昨年優勝した
クワイエットデイも
7歳で、
35戦目にしての重賞初制覇だった。遡ると、
01年の
アイランドオオジャは
31戦目での優勝で、
96年の
アミサイクロンは
44戦目。いずれも、
叩いて叩いてさらに叩いて、初めて重賞を勝った馬たちで、たまにはこんな重賞制覇もいいものですよね?