地力の高さを証明した上位2頭の未来は明るい!?
文/編集部

3月に入ってからの3歳重賞では、
父ロベルト系と
父ミスプロ系が3勝ずつを挙げ(前者は
ダンツキッスイ、
マイネルチャールズ、
スマイルジャック、後者は
エアパスカル、
ダノンゴーゴー、
ブラックエンブレム)、
父サンデー系は
ステイゴールド産駒の
マイネレーツェルが制した
フィリーズレビューの1勝のみ。
完全に
父ロベルト系と
父ミスプロ系(厳密には
ウォーエンブレムという感じだけど)の押せ押せムード。また、
エアパスカルと
スマイルジャックは
母父サンデーサイレンス産駒であり、この世代の重賞戦線を通して存在感を示している同母父の勢いにも変化は見られない。
毎日杯には、
父ロベルト系が
3頭、
母父サンデー産駒が
3頭出走していた。一連の流れを考えれば、その6頭が1頭も馬券に絡まないというのはちょっと考えにくい…はずだった。
ところが、
父サンデー系の
アグネスタキオン産駒、
ディープスカイと
アドマイヤコマンドがワンツーを果たし、
父ロベルト系は逃げた
ロードバリオスが
5着、
テイエムチーターが
8着、
リヴザルトは
13着、
母父サンデー産駒は
ヤマニンキングリーが
4着、
マイネルスターリーが
7着、
ロスペトリュスが
12着。
財宝が眠る島に向けて、もっとも早く着く船に乗ったつもりだったけど、この潮の流れは完全に想定外……漂着したのは、
馬券不的中という名の無人島だったという。同じ境遇に置かれた方がいたら、ひと声かけてほしいところです(笑)。
という与太話はさておき、勝った
ディープスカイは圧巻。道中では中団やや後ろに控え、直線で外に持ち出すと弾かれた矢のように鋭進してゴールを駆け抜けた。いままでの惜敗が嘘のような鮮やかな勝ちっぷり。
道中のラップを見ると、
12.7-11.0-11.3-12.1-11.9-11.7-11.8-11.3-12.2となっていて、最初の1Fこそ
12秒7だったが、その後はゴールまでペースが緩むことなく流れている。こうなると、各馬の地力が明確になりやすく、ごまかしは利きづらい。
そういった展開で、
ディープスカイは2着以下に2馬身半差をつけての完勝。勝ち時計
1分46秒0は、
古馬OP特別の
大阪城S(1回阪神5日目)で
オースミグラスワンがマークしたそれを0秒1上回る。3歳春の時点で考えれば、
破格の時計と言えるだろう。
ディープスカイは今後、
皐月賞ではなく
NHKマイルCを目標にする模様。混戦の
皐月賞に向けて強力な新星が名乗りを上げたと思っただけに、その選択を残念に思うところもあるが、また一方では
賛成と思うところもあったりする。
というのも、
ディープスカイは
小回りコースより、今回のように
コーナーが少ないコースのほうが高いパフォーマンスを発揮できる気がするから。また、
毎日杯から
NHKマイルCに直行した馬は
[4.0.0.2]と抜群の成績で、
勝ち馬に限れば3戦3勝となっているから。
ちなみに、
毎日杯→
NHKマイルCと連勝した3頭は
タイキフォーチュン(96年)、
クロフネ(01年)、
キングカメハメハ(04年)。そして、もう1頭の勝ち馬は03年の
ウインクリューガーで、
毎日杯8着から巻き返して勝利していた。
現3歳世代において、
24頭目の重賞ウイナーとなった
ディープスカイ。
デビュー9戦目での重賞制覇は、
フィリーズレビューを制した
マイネレーツェルと並んでもっともキャリアを要したものだった。遅れてきた新星の今後に注目したい。
一方、直線で仕掛けが遅れながら、持ち時計を一気に
2秒4も短縮して
2着を確保した
アドマイヤコマンドも立派だろう。前述したように、今回は地力が問われる展開。その中で、キャリア1戦でこれだけの競馬ができるのだから未来は明るい。
毎日杯で名を上げたアグネスタキオン産駒2頭。レース後に調べてわかったが、同産駒はこれで、
外回りの阪神芝1800mの重賞で[2.1.2.1]となり、出走した4レースすべてで馬券に絡んだことになる。
昨年、
ローズSでは
ダイワスカーレットが勝利し、暮れの
鳴尾記念では
アドマイヤオーラが3着に食い込み、
毎日杯でも
ニュービギニングが3着だった。そう言われればそうだったなあ。
ここはアグネスタキオン号に乗船するのが正解だったという。まさに灯台下暗し(笑)。