横綱の明暗を分けた要因は、非科学的な要因ではないと思うが……
文/編集部
牡馬クラシック二冠馬にして、
春秋の天皇賞を制したG1・4勝の
メイショウサムソン。
デビューから9戦連続連対中、
牝馬G1で3勝を挙げ、
有馬記念でも
2着に好走した
ダイワスカーレット。
その2頭以外にも、皐月賞馬
ヴィクトリー、菊花賞馬
アサクサキングス、G1で連対経験のある
ドリームパスポート、
インティライミ、
アドマイヤメインと錚々たるメンバーが揃った大阪杯。
その中でもやはり、最大の焦点は
メイショウサムソン、
ダイワスカーレットの
“横綱対決”だったわけだが、単勝オッズもその様相を呈し、
ダイワスカーレットが
2.0倍の1番人気、
メイショウサムソンが
3.0倍の2番人気、
3番人気は少し離されて
ドリームパスポートが
8.3倍で続いていた。
ただ、
「二強並び立たず」というのは競馬ではよく起こることで、過去20年の
大阪杯においても、1、2番人気がワンツーしたことはわずか4回。毎年のようにG1馬が顔を揃え、
波乱が少ない重賞としては少ない数字と言えるだろう。
今年は
ダイワスカーレットが
1番人気に応えて勝利したが、
2着には好位から迫った
7番人気の
エイシンデピュティが食い込み、
4番人気だった
アサクサキングスが菊花賞馬の面目を保って
3着。一方、
2番人気の支持を集めた
メイショウサムソンは直線で伸びを欠いて
6着に敗れた。
そう考えると、優勝争いが、2場所連続で
朝青龍と
白鵬による横綱同士の相星決戦となった
大相撲はすごい。しかも、
初場所は
白鵬が勝ち、
大阪場所は
朝青龍が勝って星を五分にした。盛り上がっていたのも無理はない。
そこへいくと、
ダイワスカーレット、
メイショウサムソンの対決は今回で2回目だったが、
ダイワスカーレットが
有馬記念に続いて先着を果たし、対戦成績を
2戦2勝とした。
メイショウサムソンは
有馬記念が消化不良のレースだっただけに、休場明け2戦目で結果を出した
朝青龍のような奮起を期待したが……またしても不完全燃焼のまま馬群に消えてしまった。いったいどうしたのか。
得意ではないスローペース、上がり勝負になったわけでもない。だが、直線では
ダイワスカーレットに迫るどころか、格下の
ブライトトゥモローにも競り負けてしまい、並んだら強い、勝負根性に秀でた馬らしからぬ競馬だった。どこか、いつもの唸るような覇気にも欠けていたように思う。
逆に、思いがけず(てっきり
アドマイヤメイン、
ヴィクトリーあたりが先手を奪うと思っていた、こちらの勝手な想定の話だが)、ハナを切った
ダイワスカーレットは直線で競りかけてきた
アサクサキングスを抜かせず。
手綱を取った
安藤勝騎手がレース後に
「女の子なんですけど、並んでから抜かせないような根性もありますね」と語っていたが、まさに
メイショウサムソンのお株を奪うような根性を見せ、初めて
56kgを背負ったことを考えても、
これぞ横綱相撲というレースぶりだった。
中間、
目に外傷を負うアクシデントがあり、
フェブラリーSを回避し、
ドバイ遠征も白紙となった
ダイワスカーレットだったが、それらをすべて払拭し、今年に期待を膨らませる勝利となった。
大阪杯のレース前はそれこそ、
大阪場所の千秋楽における、
朝青龍と
白鵬の対決を彷彿とさせるような期待感に満ちていたが、
ダイワスカーレットと
メイショウサムソンは馬体を併せることなくレースを終え、どこか肩透かしの結果となった。残念だがこれも競馬、仕方ない。
過去20年の
大阪杯の人気別成績を見ると、
1番人気[14.1.0.5]、
2番人気[0.5.3.12]。
1番人気の強さも驚異的だが、
2番人気が1勝もできていないというのは
摩訶不思議としか言いようがない。
ダイワスカーレットと
メイショウサムソンの明暗を分けた要因はもちろん、そんな非科学的な要因ではないと思うが……2頭が三度、顔を合わせ、真っ向勝負が拝めることを祈るばかり。