サトノプログレス&横山典弘騎手は何が大切かを示したような気がする
文/編集部
昨年、3年ぶりにワールドシリーズ制覇を成し遂げた
ボストン・レッドソックス。
松坂大輔投手が在籍するMLB屈指の名門チームだが、その
レッドソックスには、FA権を行使し、
北海道日本ハムファイターズから移籍した
岡島秀樹投手がいる。
移籍に際し総額1億ドルを要した
松坂大輔投手から比べれば、移籍当時、いや開幕直後も現地の認知度は
ゼロといっても過言ではないほど、周囲の期待も薄かったはず。
ところが、
岡島秀樹投手はチェンジアップを武器にセットアッパーとしてフル可動。
オールスターにも選出され(残念ながら出場機会はなし)、レギュラーシーズン、ポストシーズンを通じて大活躍し、ワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。逆の意味で期待を大きく裏切ったわけだ。
一方、シーズン途中に
レッドソックスに移籍してきた
エリック・ガニエ投手。過去にクローザーとしてサイ・ヤング賞を受賞し、鳴り物入りで入団したものの、
レッドソックスではまったく良いところがないままシーズンを終えた。シーズン終了後にはあっさりと放出され、
ブルワーズへ移籍していった。
とまあ、前置きが長くなりましたが(笑)、今年の
ニュージーランドTは、
サトノプログレスが
岡島秀樹投手、
ゴスホークケンが
エリック・ガニエ投手と重なって見えたと言いたかったわけです。
サトノプログレスは今回が重賞初挑戦であり、
芝1600mで[2.1.1.0]、2走前の
若竹賞では
ショウナンアルバ、
アサクサダンディ、
スマイルジャックと僅差で走っていたものの、重賞戦線においては
無名の新人という存在だった。
6番人気に甘んじたのも納得がいく。
ゴスホークケンは
朝日杯FSを制して
2歳王者に輝き、名実ともに現3歳世代を代表する存在。舞台設定はその時と同じ
中山芝1600mなのだから、オッズで
2番人気の
アサクサダンディ(4.7倍)を引き離し、
単勝2.3倍の1番人気に推されるのも無理はない。
結果は
サトノプログレスが勝利。大逃げを打った
ダンツキッスイに惑わされることなく、
エーシンフォワード、
アサクサダンディの追撃を振り切り、好位から測ったように抜け出した。
初勝利は
逃げ切り、2勝目は
後方から差し切り、そして今回は
好位差し。
横山典弘騎手の
ポジション取り、
ペース判断、
仕掛けのタイミング…すべてが完璧だったと思うが、7戦中6戦の手綱を取ってきた鞍上の指示通りにレースを進めた
サトノプログレスも素晴らしい。
ゴスホークケンは道中、
サトノプログレスのすぐ前、
4番手につけていた。内の
ダンツキッスイ、
ロードバリオスがハナ争いをするというのが大方の予想であったから、この位置取りは想定通り。被されない外につけたことを考えても、
内田博幸騎手に落ち度はないだろう。
それでも、4コーナー手前で早々に手応えが怪しくなり、直線で見せ場を作ることもなく、そのまま馬群に消えた。過去8年、
休み明けだった馬は[0.1.1.12]と勝てておらず、
ゴスホークケンは
朝日杯FS以来で12kg増。不安視していた休み明けが、悪い形で現実となってしまった。
現3歳世代で
重賞2勝馬は
マイネルチャールズだけ。
サトノプログレスは晴れて、
25頭目の重賞ウイナーとなったわけだが、
混戦が叫ばれる今年の3歳戦線においては、実績という看板以上に重要視しなければいけないものがある、ということを
サトノプログレス&
横山典弘騎手が示したような気がする。
念のため。
サトノプログレスと
ゴスホークケンを、
岡島秀樹投手と
エリック・ガニエ投手に重ね合わせたのは、あくまで
ニュージーランドTに限った話。それこそ本番の
NHKマイルCでは、まったく違う結果が待っているかもしれない。
松坂大輔投手は横浜高校時代、
甲子園の決勝戦でノーヒットノーランを演じ、
第1回ワールド・ベースボール・クラシックで優勝に貢献し(MVPに選ばれた)、
レッドソックスに移籍した1年目に
ワールドチャンピオンに輝いた。
彼の野球人生を見ていると、既定事項として、最初からそうなる運命だった気すらしてくるから恐ろしい。間違いなく
“何か”を持っていると思うが、それが何なのかは分からない。ただ、
G1も同じで、
偶然では決して勝てない、というのが持論である。
今年の
NHKマイルCで勝利に導かれるのはどの馬か。
サトノプログレスか、
ゴスホークケンか、2頭以外のニュージーランドT組か、それとも別路線の組か。
“何か”が目に見えれば、その悩みはあっさり解決するのだが…馬券バカな私は、本番でも迷える子羊と化すでしょう、間違いなく(笑)。