本番へ向けて想像が先走るくらい、強い勝ちっぷりだった
文/編集部

出走馬17頭の中で、
G1勝ち馬は
キストゥヘヴン(
桜花賞)、
スズカフェニックス(
高松宮記念)、
G1で2着があるのは
スーパーホーネット、そして、
G1で3着があるのは
アイルラヴァゲイン。
結果は1着
スーパーホーネット、2着
キストゥヘヴン、3着
スズカフェニックス、4着
アイルラヴァゲイン。人気は順に
2、6、1、7番人気だったが、終わってみれば、
G1で馬券に絡んだことのある4頭がそのまま上位を占める結果となった。
さすがは
格がモノを言う重賞、
京王杯スプリングCといったところ。それを知っていた人にとっては、
馬単1万1070円、
3連単2万3040円あたりはきっとおいしかったんでしょうねえ。
2玉250万円で落札された夕張メロンをひと切れ100円で購入して食べたお客さんくらい(笑)。
スーパーホーネット、
キストゥヘヴン、
スズカフェニックスがマークした上がりは
33秒0(メンバー中2位)、
33秒2(メンバー中3位)、
32秒9(メンバー中1位)。G1好走組が貫禄とも受け取れる極上のキレを見せつけた。
道中のラップを見ると、
12.4-11.2-11.1-11.5-11.2-11.9-11.5となっている。2ハロン目からずっと11秒台の速いラップが並んでいて、ペースが緩まずに流れていたことがわかる。
それで終いに33秒前後の上がり勝負になったら、力の足りない馬では紛れに乗じて付け入るスキすら与えらない。
スーパーホーネットと
スズカフェニックスは
58kgを背負い、他の牡馬たちは
57kg。
力が一枚上、ということを見せつける結果となった。
キストゥヘヴンは定量の
55kgを背負って
スズカフェニックスに先着したのだから胸を張れる。
10kg増と馬体を戻していたし、体調も良かったのだろう。
ヴィクトリアマイル除外が悔やまれてならない快走だった。
一方、勝った
スーパーホーネットは行きっぷりが良く、スタート後は先行集団を窺うほど。前走の
高松宮記念が芝1200m初出走だったが、
短距離の速い流れを経験した効果であるなら、前走の敗戦は決してムダではなかったということだろう。
あとは中団でじっくり脚を溜め、馬群を捌いて馬場の中央から鋭く抜け出した。
後方一気の
スズカフェニックスに対し、
中団から
スズカフェニックスと0秒1差の上がりで駆け抜けたのだから
完勝と言っていい。
過去20年、
京王杯スプリングCと
スワンSを制したのは
ニッポーテイオー、
シンウインド、
タイキシャトル。同じ芝1400mのG2でも、両方を制覇するのは案外難しいのだが、
スーパーホーネットはその3頭に続くこととなった。
ちなみに、
ニッポーテイオーと
タイキシャトルは
安田記念を勝っており、
シンウインドは
オグリキャップがレコードで勝利した
安田記念で
4着。
スーパーホーネットは本番に向けて、馬体キープがポイントになりそうだが、期待が膨らんだのは間違いないだろう。
スーパーホーネットはG1で
朝日杯FS(05年)と
マイルCS(07年)で
②着。着差はいずれも
クビ差だった。また、鞍上の
藤岡佑介騎手もG1で
マイルCS(07年)と
阪神JF(07年、レーヴダムール)の②着2回があるが、着差はいずれも
クビ差だった。
馬、騎手ともにビッグタイトルがもう手に届くところまで来ている。
藤岡佑介騎手は同期の
川田将雅騎手が
キャプテントゥーレで
皐月賞を制し、G1初制覇では先を越されることとなった(
中央通算200勝達成は
藤岡佑介騎手が先だったが)。
幸運にも、3月は
藤岡佑介騎手、4月は
川田将雅騎手を取材する機会があったが、二人は同期ということもあって、お互いに意識し合って切磋琢磨している印象が強い(プライベートではとても仲良しみたい)。
なので、
藤岡佑介騎手が
安田記念に賭ける意気込みはおそらく、これまでのG1の中では最高潮に達しているような気がしてならない。
取材時、
藤岡佑介騎手は
昨年のマイルCSを振り返り、
「最後に(ダイワメジャーに)詰め寄ってのクビ差ではなく、差がずっと縮まらないままのクビ差だった。改めてG1の壁の高さを実感しました」と語り、悔しさを滲ませていた。
だが、今年の
安田記念に
ダイワメジャーの姿はもうない。
スズカフェニックスの巻き返し、
チャンピオンズマイル上位3頭の香港馬
グッドババ、
アルマダ、
ブリッシュラックの来襲(予定)…当然ながら気を抜けない一戦であるのは確か。
それでも、
スーパーホーネット&
藤岡佑介騎手が惜敗にピリオドを打つ瞬間が訪れる。
藤岡佑介騎手が安田記念のゴール通過後に、今回より激しい歓喜のガッツポーズを見せる。そんな想像が先走るくらい、強い勝ちっぷりだった。