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勝ち馬の能力を誉めるべきだが、2、3着馬の走りも立派なもの
文/安福良直

それにしても、エフティマイアは強かった。桜花賞でも残り50mのところまでは「勝ったか!」と思わせる惜しい2着だったが、今回もまた惜しかった。

4コーナーで外から先頭に並びかけ、東京の長い直線にもバテることなく、最後までしっかりまっすぐ伸びていた。文句なしの王道のレース運びで、13番人気馬のやることではない。というか、たぶん蛯名騎手をはじめ関係者たちは、堂々と勝つつもりでレースをしていて、周りの評価が低すぎただけなんだろうな。

エフティマイアは、母父がニホンピロウイナーだからこの距離はどうか、という不安もあっただろうが、考えてみればニホンピロウイナー東京は合う。今日見せた息の長い末脚は、ヤマニンゼファー(父ニホンピロウイナー)の秋天を思い出したくらいだ。

と、最初に2着馬について長々と書かせていただいた。というのも、おそらくこのレースは「勝ち馬が斜行したけどセーフだったレース」として人々の記憶に残り、秋になったらエフティマイアの走りをまたみんな忘れてしまうんじゃないかと思ったからだ。

桜花賞オークスも、勝ちに行っての2着。でもなぜか印象が薄い。秋華賞では果たして何番人気になるのか? 寒い時期はイマイチのようだが、人気がなかったら多少気温が低くても、買わなきゃダメだな。

そして、ようやく勝ち馬トールポピーの話。道中はエフティマイアの直後につけ、直線でエフティの外に出そうとしたら他の馬に押さえ込まれたので、やむなく内に。このあたりは、カワカミプリンセス降着になったエリザベス女王杯と同じパターン。

しかも、内からレジネッタが渋太く食い下がってきたので、トールポピーとしては引くに引けず、長く斜行して何頭かの進路を塞いでしまった。後味の悪い勝利ではあるが、逆に言えば能力がありすぎるからこそ起きてしまったこと、とも言える。

外を塞がれ、内から迫られ、それでも抜け出す力強さ。思えばカワカミプリンセスの時も、斜行とはいえあまりにもすごい脚だなあ、と感服したのを憶えている。

長い審議だったが、セーフという判定が下った以上は堂々たる勝利。絶体絶命のピンチを切り抜けたトールポピーの能力を誉めるべきだろう。2歳女王の貫禄を見せたし、兄フサイチホウオーの無念も晴らした。兄もこの舞台でこそ、と言われていた馬だけに、嬉しい勝利のはずだ。

3着のレジネッタトールポピーに渋太く食い下がり、斜行の騒ぎを大きくしたとも言えるし、逆にトールポピーが斜行してこなかったら、この馬が内から突き抜けていたとも言える。桜花賞馬の力は今回も示せたから、こちらも秋に評価が落ちていたら、狙うべきだな。

結局、混戦と言われていながらも、終わってみればG1連対経験のある3頭が上位を占めた。それで3連単44万円か。馬券が上手な人ならカンタンに獲れるんだろうなあ…。

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