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馬体重は見ない方がいい時もあるようで…
文/編集部

春から夏への移行期ということも影響したか、馬体重がふた桁増減していた馬が18頭中5頭もいた。中でも驚いたのがマイネルキッツヒカルオオゾラだった。

休み明けのマイネルキッツ14kg減(484kg)で、1番人気で中5週のヒカルオオゾラ12kg増(514kg)。増減が逆ならまだ分かる気がしたが、レース直前にこの馬体重を知らされ、予想に迷いを生じた人も少なくなかったのではないか。

ヒカルオオゾラの過去7戦は、京都&阪神の関西圏が4戦4勝で、東京&中山の関東圏に遠征した3戦が7着、7着、2着。関東遠征時の馬体重は、ホープフルS増減なしゆりかもめ賞8kg減卯月S8kg減で、関東遠征では体が減るケースの方が多かった。

それが今回は12kg増。2走前に卯月Sに出走した時は、栗東→美浦→中山と移動したことが影響したとも伝えられ、それを考慮して、今回はレース2日前の金曜日に東京競馬場に入ったという。その効果で減らなかったと見るべきだったのだろうが、増加幅がふた桁で過去最多体重というのはいいのか悪いのか、なんとも判断に迷った。

レース前には発汗も目立っていたヒカルオオゾラは、レースでも驚きの戦法が取られた。序盤で他馬にこすられてペースを乱されたようで、掛かり気味に3~4番手を追走。そのまま4コーナー手前では早くも先頭に立ち、押し切る構えを見せた。

末を活かす形を取っていた近走とは明らかに異なるレースとなったが、それでも、直線半ばではショウワモダンを競り落とし、最後の最後まで渋太く先頭をキープした。最後にサンライズマックスに差されはしたものの、今日のこの時点でのできる限りの走りはできたのではないか。

むしろ、ふた桁の馬体増で、他馬と接触した上にスローペースで掛かり気味になりながら2着をキープしたことに、改めてこの馬の潜在能力の高さを見た思いがした。

おそらくは、G3レベルのペースがベストではないのだろう。幸いにも、秋のマイルG1は関西圏で行われる。その檜舞台に立てるだけの賞金を加算できるかが、今後の焦点になってきそうだ。

一方、最後の最後で差し切って優勝したサンライズマックスは、馬体重が増減なしの444kgだった。小柄なタイプなので体重が安定しているのは良かったが、そもそもエプソムCでは小兵なタイプが上位に来づらい。ハナからそう思っていたのが間違いでした(笑)。

連続開催最終週に行われるエプソムCで、馬体重が450kgを切る馬が制したのは、87年ダイナフェアリー(434kg)以来、21年ぶりのことになる。ただし、当時はハンデ戦で、別定戦になってからはサンライズマックスが初優勝になる。

今回のラップを見ると、2F目からずっと10~11秒台のラップが続き、最後の1Fだけ12秒6とかかっている。この分だけ、サンライズマックスは差し届いたと言えそうだが、実はこのラップの刻み方は例年のエプソムC通り。

最後まで同じラップでは押し切れないのが「府中の1800」で、それを考慮しながら掛かった馬のことも考えてギリギリの線で押し切ろうとしたのが武豊騎手で、先に仕掛けた馬は最後に脚が上がることを見越して末脚勝負に徹したのが横山典騎手だったのだろう。

ちなみに、出走馬18頭の騎手の中で、東京での重賞勝利数がいちばん多いのが武豊騎手で、連対数が2番目に多いのが横山典騎手だった(連対数1位は武豊騎手)。まあ、今頃言われても遅いですよね(笑)。

この勝利で横山典騎手JRA重賞通算100勝となった。その内訳を見ると、中山44勝を挙げていて、東京では21勝。意外な数字の差があるが、もっと驚くのは、東京競馬場での重賞で「横山典騎手1着-武豊騎手2着」となったのは、実は今回が初ということ。区切りの勝利は、ちょっと珍しいワンツーでもあったのだ。

横山典騎手はJRAを通じて次のようなコメントを発表している。「重賞100勝というのはまだ実感がわきません。まだまだ騎手生活は長いので、もっともっと頑張って武豊騎手に追いつきたいと思います」

08年後半戦の競馬も、きっとこの名手ふたりが沸かしてくれるに違いない。

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