レース前の検証は、いつしか願望にすり替わってることがある
文/編集部
実は、戦前、最初に気になったのは
「ミヤビランベリは逃げ粘れるだろうか?」だった。なぜそう思ったかと言えば、
単騎逃げが見え見えだったからだ。
有力各馬は、
カネトシツヨシオーが
追い込み、
キャプテンベガや
マイネルキッツ、
グラスボンバーは
差しで、
アルコセニョーラや
トウショウヴォイスも
控えるに違いない。
ミヤビランベリは
単騎逃げが見込める上に、
有力馬が控えることで展開的にも恵まれるのではないか、と考えたわけだ。
しかし、
馬場が荒れやすい福島開催の最終週で、いくら
前残りになりやすい芝2000m戦とはいえ、最後まで押し切るのは難しいのではないか。
ミヤビランベリが逃げることは誰もが想定しているだろうし、楽なペースにもなりづらいのでは、とも考えた。
つまり、今回のメンバーを吟味すると、逃げる
ミヤビランベリには
追い風が吹いているようだが、過去の経験を思い起こすと、最後の直線では
ミヤビランベリに
アゲインストの風が吹いても不思議ない。そう思ったのだ。
どちらを信じて進むべきか。無類の
ミヤビランベリ好きなら迷うことなどないのだろうが、関西圏で多く走っている同馬に対して、あまり多くの思い入れはなかった。
特に
オペラハウス産駒好きでもないし、母父の
ホリスキーに対しても
「猫大好きホリスキー」と口ずさむくらいで、申し訳ないが、特別な感情はない。
こうなってくると、
馬個別の能力の比較よりも、
歴史の重みを重視する方向に傾き始めた。つまり、
「福島最終週の荒れ馬場をそう簡単に逃げ切られてたまるか」という、
福島の馬場を見続けてきた防人のような心境になってきたのだ。
しかし、単なる感情論では説得力に欠ける。そこで、いろいろと調べてみた。まず、
七夕賞を逃げ切った馬なんているのか!?だ。
これは意外にあっさりと見つかった。01年に
ゲイリートマホークが逃げて1馬身1/4差の快勝をしているのだ。
調べてみて思い出したことだが、一昨年も
コンゴウリキシオーが逃げて2着に粘っていた。3年前も4角先頭の
トーセンダンディが2着に粘っていたっけ。
う~ん……しかし、
コンゴウリキシオーも
トーセンダンディも
重賞勝ち馬だし、
ゲイリートマホークも
準OPを逃げ切って勝ち、前走の
吾妻小富士OPでは3着に粘っている。
準OPも勝っていない
ミヤビランベリとは違うだろう。そう結論付けることにした。
続いては、
吉田豊騎手が福島の重賞で活躍したことってあるのか!?について。
吉田豊騎手が福島競馬場で大活躍している図って、あんまり記憶にないな、というのが発端だった。
これまで、
七夕賞は
[0.0.1.8]で、
福島記念は
[0.0.0.3]、
ラジオNIKKEI賞(旧ラジオたんぱ賞)は
[0.1.1.5]、
福島牝馬Sは
[0.0.0.1]。トータルすれば
[0.1.2.17]なので、やはり相性が良いとは言い切れない。
これはやっぱり難しいな、と思った矢先、
福島競馬場での芝重賞成績を調べたら、
吉田豊騎手は
[1.1.2.16]となっていた。
あれ?おかしいな、と思って確認したら、なんと改修工事で
新潟競馬場が使えなかった時の
新潟大賞典(01年、芝2000m)を
サイレントハンターで制していたのだ。しかも、その勝利が
開催最終週での逃げ切り。
見なかったことにしようと思ったのだが、そんな思いが沸き上がってる時点で、
「ミヤビランベリは逃げ粘れるか」を検証しているのではなく、
「ミヤビランベリよ、逃げ切らないでください」との願望に基づくデータ探しに移っていたのだろう。
典型的なダメ予想だ(笑)。
最終的には、
七夕賞の過去10年で
昇級挑戦馬が[2.2.2.30]ながら、その内訳は、
前走①着が[2.2.1.9]で、
前走で負けている馬は[0.0.1.21]、というデータを見つけて、安心して
ミヤビランベリを切ったわけだが、結果的には、ものの見事に自分自身が
福本清三さんばりの斬られ役になりました(笑)。
競馬は、
検証がいつしか
願望にすり替わってることが多いから、本当に恐いです。
ゲイリートマホークや
コンゴウリキシオーの存在を見つけ、
サイレントハンターでの逃げ切りVに辿り着いた時に心を転換できていれば良かったんでしょうが……もはや短冊に願い事をしたためた後のような心境でした。
七夕賞だからと言って、
スケベ心満載の願い事をしても聞いてはもらえないということなんでしょう。
「メインレースの考え方」でも記されていたが、近年の
七夕賞の連対馬は、その
次走成績があまり良くない。昨年までの近10年での連対馬20頭の次走成績は、
[1.1.0.18]。
連続好走をしたのは、98年に
七夕賞→
新潟記念→
天皇賞・秋と
重賞3連勝を決めた
オフサイドトラップと、04年に
七夕賞②着→
さきたま杯②着と走った
ストロングブラッドだけ。
ミヤビランベリは次走での走りで真価が問われるのかもしれません(別に負け惜しみで言ってるわけではありませんよ・笑)。