ジンクスを破るのはサンデー産駒の中でも上級の証
文/編集部
あれだけ勝ってきた
●●●●産駒だが、今回の関屋記念優勝は、
■■■■の
▲▲▲▲以来
4ヶ月半ぶりの重賞勝利。
さて、
●(馬名)、
■(馬名)、
▲(レース名)に入る言葉は何でしょう?(文字数は4文字とは限りません)
正解は、
●が
サンデーサイレンス、
■が
マツリダゴッホ、
▲が
日経賞でした。
02年に死去した
サンデーサイレンスは、
現5歳世代がラストクロップ。当然、重賞への出走頭数も減ってきており、あれだけ毎週のように勝ってきた姿も、今となってはちょっと懐かしい気すらするようになっている。
最終世代である
現5歳のサンデーサイレンス産駒では、
マツリダゴッホが昨年の
有馬記念を制してG1馬となり、今年に入ってからは超良血の
キャプテンベガが軌道に乗って好走を続けている。
しかし、それら2頭に加え、
フサイチパンドラや
アドマイヤキッスらを含めた同世代の中で、もっとも早くから将来を嘱望されたのが
マルカシェンクだった。そう言っても過言ではないだろう。
デビュー戦は
フサイチリシャールらを相手に
3馬身差、2戦目の
デイリー杯2歳Sでは
スーパーホーネットらに
2馬身差、3戦目の
京都2歳Sでは
ドリームパスポートに
半馬身差。いずれも完勝で3連勝を飾ったのだが、今改めて振り返っても凄い相手を連勝していたものだ。
今回はその
デイリー杯2歳S以来となる重賞制覇となったわけだが、この間には
二度の骨折があり、
開腹手術も施されている。
よくぞここまで復活した、との思いは、誰もが感じるところだろう。
だが、正直なところ、この
関屋記念が復活勝利を挙げる舞台になるとは思わなかった。
新潟芝の外回りのマイル重賞では、
サンデーサイレンス産駒はこれまで
未勝利だった([0.2.2.20])。
その内容も、G1馬である
ダイワメジャーや
アドマイヤマックス、
ショウナンパントル、
スティンガーらが出走して敗れているのだから、単なる巡り合わせとも思えない。
まして今回は、
フサイチアウステルが出走していた。
どうして
フサイチアウステルが問題なのかと言えば、復活の連勝を遂げた
都大路Sと
米子Sを思い出してもらえば分かるだろう。
両レースとも
フサイチアウステルはハナを奪い、そのまま逃げ切っているが、
差し届かず2着に惜敗したのが、
都大路Sが
ブラックタイドで、
米子Sが
マチカネオーラ。そう、どちらも
サンデーサイレンス産駒なのだ。
これは偶然ではないはずだ。
都大路Sと
米子Sは、
京都と
阪神の違いはあるものの、どちらも
外回りのマイル戦だった。そこで淀みなく逃げることで、
サンデーサイレンス産駒特有の切れ味を封じ込めたわけだ。
同じことが今回の
関屋記念で起こっても…。そう思ったのだ。
結局、ハナを奪ったのは
フサイチアウステルではなく
タマモサポートだったが、道中のペース自体は
都大路Sや
米子Sよりやや遅いくらいで、後方に位置した
マルカシェンクは果たして届くのか?と思われた。
ところが、
マルカシェンクは直線に向いて持ったままで徐々に進出を開始すると、他馬を次々に交わし、先に抜け出そうとした
リザーブカードを力でねじ伏せてみせた。自身の上がり3Fは
32秒3。先週の
小倉記念の
ドリームジャーニー同様、まさに
力の違いを見せつけるようなレース運びだった。
サンデーサイレンス産駒のマイナスジンクスは、これまでにいくつ見つけ、そして、いくつ覆されてきたことだろう。
もう、そういう機会も減ってきていることもあり、ここで勝たれても何か心地いい気すらするが(笑)、同時に忘れてはならないのは、
サンデーサイレンス産駒のジンクスを破る馬は、やはり同産駒の中でも上級であるということだ。近年で言えば、
ダイワメジャー然り、
スズカフェニックス然り。
相手がどうであれ、形がどうであれ、
関屋記念を完勝した
マルカシェンクは、
改めてその能力がG1級であることを証明したと言えるだろう。
サンデーサイレンスが死去したのは、
02年8月19日。人間的に言えば、もうすぐ
七回忌を迎えることになる。もうそんなになるんですね。
今秋、
マルカシェンクは
G1級の能力を見せるにとどまらず、
実(G1タイトル)を得ることができるだろうか。天国の父も、その走りを見守っているはずだ。