若武者&若駒のしたたかさを見習いたいものだけど……
文/編集部
前日発売オッズでは
1番人気に推されていた
メジロチャンプが
出走取消となり、
14頭立てで行われた今年の
函館2歳S。最終的には
ラベンダー賞勝ち馬の
ナムラミーティアが
単勝3.4倍の1番人気に落ち着いたが、実績を考えれば当然と言えるだろう。
ただ、レースの流れは落ち着かず、
ルシュクル(6着)、
ラインブラッド(9着)、
ベルシャルル(11着)、
アイアムカミノマゴ(13着)、
ディーズハイビガー(14着)などが激しい先行争いを繰り広げた。
前半3Fは
33秒6で、前日の
立待岬特別(1000万)のそれよりも
0秒2も速く、後半3Fは
37秒1とダート並みの上がりを要した。上記した先行グループがバタッと失速し、掲示板外に終わったのも納得できる。
直線では先行馬と差し馬がガラッと入れ替わったわけだが、2着となった
ナムラミーティア&
四位騎手はその先行争いを前に見る位置につけ、直線でスッと外目に持ち出し、満を持して追い出す。的確なタイミングで仕掛け、
四位騎手もその瞬間は勝利を意識したかもしれない。
だが、道中は後方に控え、
ナムラミーティアの進路をなぞるように追い上げてきたのが
フィフスペトルだった。直線では1頭だけ違う脚色で、結果的には2着
ナムラミーティア以下に
2馬身半差。
芝1200mと考えると
圧勝と言ってもいいだろう。
フィフスペトルの鞍上は今年デビューしたばかりの
三浦皇成騎手。
「控えろ」という指示が出ていたのか、流れが忙しくて自然と後方の位置取りになったのか。いずれにしても、そのレースぶりを見ていて、
初重賞制覇がかかったレースで、2番人気馬に騎乗しているルーキーとは思えないほどの落ち着きを感じた。
寝ていた時についたシワがなかなか消えなくなり、
三十路を実感する男は、
平成生まれの18歳のしたたかさに感心しきり。
朝青龍や
白鵬が自分より年下というのもいまだに受け入れがたい今日この頃ですが(笑)、
三浦皇成騎手も同じ印象を受ける。
もちろん、若駒
フィフスペトルのレースぶりも評価されてしかるべきだろう。初戦は2番手から抜け出し、同じように2着以下に
2馬身半差をつける完勝だったが、前後半3Fは
36秒1-
35秒7。
函館2歳Sは
33秒6-
37秒1だったのだから、同じ
函館芝1200mでも流れはまったく異質。
その2レースでいずれも
メンバー中最速の上がりを使って勝利を収めた。レースセンスは非凡。
フィフスペトルもまたしたたかだ。それにしても、キャリア1戦だった
フィフスペトルの素質を見抜いていたのか、
しっかりと2番人気に推しているファンの目も素晴らしいと思います(笑)。
終わってみれば、上位3頭
フィフスペトル、
ナムラミーティア、
アイアンデュークの人気は
2、1、5番人気。難解を極めたこの2歳重賞で、3連複
4500円、3連単
2万5780円は少し安い気もするのが、的中した価値はその配当の倍以上でしょう。
ちなみに、
1番人気は
ダートで行われた94年を除くと、85年の
ダイナアクトレスの勝利を最後に今年で
22連敗となった。
ナムラミーティアを責める気は毛頭ないが、このままいくと、
七夕賞の
26連敗という、
中央重賞1番人気最多連敗記録を抜いてしまうかもしれない。
2歳最初の重賞であり、
キャリアの浅い2歳馬同士で、
ほとんど未対戦という組み合わせ。馬券的中の突破口が見出しにくいだけに、1番人気の馬がなかなか勝てないということが、
函館2歳Sというレースの難解さを如実に表している。
だから、馬券を外したってめげることはない。自慢じゃないが、競馬を始めて10数年経過しても、
函館2歳Sの馬券を的中した記憶がない。
「少しは若武者&若駒のしたたかさを見習いなさい」と、心の中で天使が囁く。一方では
「30を超えた男が信念を曲げてどうする」と悪魔が囁く。
10番人気という人気に目がくらみ、スケベ心丸出しで
ラインブラッドから馬券を買った男はきっと、来年も同じように
函館2歳Sで人気薄から馬券を買うことでしょう。
「スケベ心がなくなったら男じゃない」という信念に基づいて(笑)。