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今年の結果を受けて、シリーズのレース選択を再考しても…
文/編集部

昨年このレース2着カノヤザクラが先行策から力強く抜け出し、アイビスSDに続いて重賞を連勝。今年のサマースプリントシリーズのチャンピオンに輝いた。小牧騎手はこの勝利でサマージョッキーズシリーズ優勝を決め、年末のWSJS出場権を獲得。管理する橋口師スリープレスナイト北九州記念も制しており、シリーズ5戦中3勝という素晴らしい成績を残した。

昨年の高松宮記念優勝馬で、1番人気スズカフェニックスは出遅れて早めに外をマクって差を詰めたが、やはり開幕週の馬場では前が止まらず8着に敗退。今年の高松宮記念勝ち馬2番人気ファイングレインは先行集団からやや後ろで追走したが、これも直線では伸びず9着

個人的な感想だが、秋競馬の開幕戦であるこのレースが“サマー”シリーズの最終戦でもあるということに、以前から違和感を感じていた。第1回となる06年のシーイズトウショウ函館SS2着キーンランドC2着セントウルS1着で優勝。07年のサンアディユアイビスSD1着北九州記念7着セントウルS1着。そして今年のカノヤザクラアイビスSD1着セントウルS1着。当然だが、シリーズ優勝馬は夏の間も結果を出し、そしてセントウルSを勝って優勝を決めている。

とはいえ、スプリンターズSのトライアル的役割も持っているレースなのだから、夏の間は休んで鋭気を養い、このレースにスプリンターズSの出走権を賭けて出走してくる馬も多数いるだろう(実際、今年はそのセントウルSでさえ、昨年のオークス馬であるローブデコルテが除外されている)。そういう馬にとっては、夏の間も走り、優勝を賭けてここに出走してくる馬と戦って権利を勝ち取るのはやはり難しい。結果論ではあるが、ここ3年はそういう結果が出てしまっている。

となるとやはりセントウルSサマースプリントシリーズから外し、夏に結果を残した馬が前哨戦のセントウルS夏の間に休んだ実績馬と激突し、序列がはっきりしたところで本番のスプリンターズSに向かう方が流れが分かりやすいと思う。具体的には、セントウルSの代わりにCBC賞(今年は6月15日)をシリーズの初戦に組み込む方が収まりがいいと思うのだが……どうだろうか。

もうひとつの問題は、スズカフェニックスの出遅れだ。レースVTRとパトロールフィルムを改めて見直してみると、スタート直前に馬がチャカついて若干出負けした上に、外の馬に被せられて完全に行き脚を失っている。

これを見て、半年前の“あの事件”を思い出した人も多いだろう。オーシャンSで出遅れ、その翌日に亡くなったサンアディユである。出遅れと死亡の因果関係は分からないので、そこを問題にする気はないが、問題なのは1番人気馬がスプリント戦では致命的な出遅れをした事実だ。

ゲート難の馬にもっとも効果的なのは、ゲート内でそれぞれの馬に付き添い、発送の補助を行うスタッフ、通称ゲートボーイだろう。実際、アメリカシンガポール香港ドバイなどではすでに導入されていて、馬のスタートの改善ゲート内の安全性向上に役立っているといわれている。

もちろん現状日本では認められておらず、その理由としては「公平さを欠く」「経験が必要な職種であり、人的な問題がある」「ゲートをさらに広げる必要があるため、フルゲート頭数が減る」などがあり、導入には様々な問題や障壁があるとされる。前述の国では事前に希望した馬にゲートボーイが付くことになっているのだが、以前そういう国で騎乗した騎手に話を聞いた時、「自分は慣れていないので断った」と話していたように、現場の問題もある。

しかし、地方競馬ではゲート内の馬に別の人間が補助をすることが一部の行為に限り認められているが、JRAは一切を認めていない。ゲートボーイを導入することは難しくても、補助すれば正常なスタートを切ることができる馬からその機会を奪う方が、よっぽど「公平さを欠く」と思うのだが……。ゲートが命スプリント戦だからこそ、全馬が揃ってゲートを出られるように、関係者は一層努力してもらいたいと思う。

ところでシリーズといえば、このレースはグローバル・スプリント・チャレンジの第5戦でもあるはずだが……。あれ、外国馬は?

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