後からやって来る波乱の使者は、本番でも任務を遂行するのか!?
文/編集部

桜花賞馬
レジネッタ、オークス馬
トールポピーが参戦し、注目を集めた
ローズSだったが、結果は
レジネッタが
3着、
トールポピーは上位争いに加わることができず
6着に敗れた。2頭の対戦成績はこれで2勝2敗の五分となったが、
立ち合いのかみ合わない相撲の取り組みのような、すっきりしない結果となったことは残念だ。
2頭が対戦したレースを振り返ると、
阪神JFは
トールポピーが3番人気1着、
レジネッタが7番人気6着、
桜花賞は
レジネッタが12番人気1着、
トールポピーが1番人気8着、
オークスは
トールポピーが4番人気1着、
レジネッタが5番人気3着だった。
そして今回は、
レジネッタが1番人気3着、
トールポピーが2番人気6着。初めて1、2番人気に推されたが、またしてもワンツーはならず。お互いに好き同士なのにモジモジして、なかなかカップルになろうとしない男女に、周囲の人間が
「もぉ、早くくっついちゃいなよぉ」と言っているのと似た感覚が、個人的にはありました(笑)。
それでも、
レジネッタは上位争いに加わり、
上位2頭から0秒1差で走っている。直線では外から持ったままの手応えで進出し、
小牧騎手が満を持して仕掛け、外2頭の目標になってしまった展開は痛かったものの、
G1馬の看板に恥じないレースぶりだった。
トールポピーはスタートで出遅れてしまい、コースロスなく内、内で立ち回っていたが、流れに乗り切れなかった印象。直線での反応もひと息だっただけに、
いかにも休み明けという競馬だった。
14kg増は回復&成長分だろうが、本番でどこまで変われるかだろう。
一方、
フィリーズレビューに続き、波乱を演出した
マイネレーツェル。手綱を取った
川田騎手はレース後のインタビューで、
「思ったより前の方の位置取りになりましたが、結果的には良かったです」と話していたが、
18頭立ての大外枠だったことを考えると、
中団で流れに乗れたことがひとつの勝因と言えそう。
また、いつもより前で競馬をしながら、突き抜けるだけの脚を使えたことは馬自身の成長もあるだろうが、
川田騎手の
「道中は馬の行く気に任せて、気分良く行かせて終いに賭けようと思っていました」という言葉に集約されていると思う。押して行ったわけではなく、あくまで馬任せでその位置になったと。
ただ、夏を越して、今回の結果を見て改めて感じることは、
現3歳の牝馬戦線はそれほど実力差がないということだ。実際、
マイネレーツェルは
フィリーズレビューでも
レジネッタに先着を果たしているわけで。
レジネッタや
トールポピーが
1、2番人気に推されたのは、
G1馬という実績が大きく評価されていると思うが、成績の安定感も無関係ではないはず。
ローズSを終えた時点で、
レジネッタは
複勝率が80%、
トールポピーは
連対率&複勝率が75%と高いのに対し、
マイネレーツェルは
複勝率58.3%と落ちる。実力以上に人気面で差が出るのは、その差もあるだろう。
それにしても、
マイネレーツェルが馬券に絡んだレースはよく荒れる。荒れたレースを列挙すると、
新馬戦(4番人気1着)は3着に
11番人気の
オペラセリアが入り、3連複で
5万馬券。
フェアリーS(4番人気3着)は
11番人気の
ルルパンブルーが1着に激走し、3連単は
16万馬券。ここまでは自身がそれなりの人気になっている。
フィリーズレビューは
11番人気で1着となり、2着に
7番人気の
ベストオブミーを連れて来て、3着は4番人気だった
レジネッタが入り、3連複は
6万馬券、3連単は
46万馬券。そして
ローズSは
7番人気で1着、2着に
9番人気の
ムードインディゴを連れて来て、3着はまたしても
レジネッタで、3連単は
15万馬券となった。
マイネレーツェルにキャッチフレーズを付けるなら、終いを活かすレースぶりも加味して
「後からやって来る波乱の使者」といったところか。
『笑点』だったら
座布団なし、別にうまくもなんともありませんけど(笑)。
マイネレーツェルは
桜花賞が
9番人気6着、
オークスは
9番人気9着。今回の勝利を受け、
秋華賞でどのあたりの人気に落ち着くかは、はっきり言って分からない。3度目の正直で
「後からやって来る波乱の使者」としての任務を本番でも遂行するのか。
ちなみに、馬名の
レーツェルとは、ドイツ語で
“謎”という意味らしい。任務を遂行するかどうか、謎の種明かしは、本番までのお楽しみだが、ひとつヒントになりそうなのは、
ステイゴールド産駒の芝重賞成績だろうか。その成績は
ローズSを含めても
[11.0.8.57]となっている。
父
ステイゴールドは
芝重賞で
[2.7.7.20]。
G1での2着は
4回を数え、
シルバーコレクターとの異名もとっていたが、子供たちは
ゴールド&ブロンズコレクターばかり。
体型は似ている馬が多いのに、いまのところ、キャラクターはまったく異なるという。
そのデータはあくまで参考程度にしていただきたいと思いますが(笑)、
レジネッタと
トールポピーの5度目の対決(ワンツーの成否)、
マイネレーツェルの本番での走りなど、前哨戦の
ローズSを終え、
秋華賞の楽しみが増したのは間違いなさそうだ。