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サイレントプライドは「目標」に注力することで「目的」を達成した
文/編集部

脳外科医の林成之氏の著書『<勝負脳>の鍛え方』(講談社現代新書)によると、日本人は「目的」よりも「目標」に向かって全力を注いだ方が良い結果を得られやすいという。

その理由を知りたい方は著書を読んでいただくとして、みなさんは、日頃から「目的」「目標」を区別して考えているでしょうか?

テストで言えば「100点を取る」が目的で、そのためには「毎日1時間勉強する」が目標。野球のピッチャーで言えば「バッターを打ち取る」が目的で、そのためには「腕を振ってキャッチャーミット目がけて投げ込む」が目標。そんな感じだ。

先日、『めちゃイケ』「オファーシリーズ」で、松岡修造が岡村隆史にテニスを教えていたが、その中で、コーナーに球を打とうとするのではなく、ネット上に仮想の目標を立てて、それを通すように打てと指導していた。ボウリングと一緒で、ピンを狙うんじゃなく、レーンに存在するスパット(「▲」←こんなヤツ)のどこを通して投げるかに集中しよう、というわけだ。

これらの場合は、「コーナーに打つ」とか「ストライクを取る」が目的で、それぞれ「どこを通過させて球を打つ(投げる)か」が目標。言い換えれば、結果を求めるのではなく、その経過に力を注げ、ということだ。

富士Sサイレントプライドにとって、今回の「目的」は何だったのか? 半年ぶりの出走だった同馬にとって、是が非でも勝ちたいという欲求はそれほど高くなかったと思われる。

それよりも、来たるG1のマイルCSに向けて、いいスタートを切りたい、ということの方が強かったのではないか。

鞍上の横山典騎手は、レース後のインタビューで、「逃げるコンゴウリキシオーの後ろに付けようと考えていた」と話した。サイレントプライドにとって正攻法の戦い方である先行策を取り、きちんとしたレースをすること「目標」として設定されていたように思う。

結果的には、「目標」に力を注いだことで、重賞連勝という成果も得られ、「目的」も達成できた。いや、最終目的はマイルCS制覇だろうから、あくまで「通過目的」ではあるのだろうが、芝1600mでの持ち時計を更新し(今回は1分32秒7で走破)、「(今秋の)目的」にもグッと近づいたのではないだろうか。

では、他の馬たちの「目的」「目標」は何だったのだろうか?

1番人気エイシンドーバー休み明け(4ヶ月半ぶり)で、昨春の京王杯SC以来勝ち鞍がないとはいえ、こちらもある程度はマイルCSを見据えていたように思う。

サイレントプライドと異なったのは脚質で、エイシンドーバーはこの馬本来の差す競馬に徹していた。差し届かず4着に惜敗する結果にはなったが、悲観する内容ではなかっただろう。

エイシンドーバーの上がり3Fは、昨年2月の阪急杯を勝った時から常に安定している。少々長くなるが、各レースの上がり3Fと着順を記すと、阪急杯(34秒4、①着)、マイラーズC(33秒8、⑦着)、京王杯SC(34秒0、①着)、マイルCS(34秒8、⑦着)、阪神C(34秒6、④着)、京都金杯(34秒5、⑦着)、中山記念(34秒2、②着)、マイラーズC(34秒0、③着)、安田記念(34秒3、③着)、富士S(34秒4、④着)。

ほとんどが34秒台前半で、いちばん遅いものでも34秒8昨年のマイルCSで記録されたものだ。あの時は、安田記念以来5ヶ月半ぶりでの実戦だった。今回のレースをひと叩きされたことで切れ味が増すのであれば、今年のマイルCSは昨年以上の成績を収めることも可能だろう。次走で「目的」に近づくこともできるはずだ。

エイシンドーバーと人気を二分する形だったマルカシェンクも、マイルCSを想定しながらの出走だったと思うが、こちらの結果はまさかの13着となった。

マルカシェンクは、3走前の中山記念での上がり3Fが34秒2(④着)で、ダービー卿CT33秒6(⑧着)、関屋記念32秒3(①着)と切れ味を見せていたのだが、今回は後方追走のまま見せ場なく馬群の中でゴールした。レース後の福永騎手が首を傾げる敗戦で、「目的」ばかりか「目標」も達成できなかったことだろう。

マルカシェンク一昨年のマイルCS12着に敗れていて、今回はその時以来2度目のふた桁着順。好走と凡走の差が激しいタイプであれば、次走以降での一変も期待しやすいのだが、マルカシェンクの場合はそうとも言いづらい。

サンデーサイレンス産駒は、前走でふた桁着順に敗れた後での芝G1が[3.5.6.67]で、ジェニュイン(96年マイルCS)、チアズグレイス(00年桜花賞)、マツリダゴッホ(07年有馬記念)が勝ち鞍を挙げているが、果たしてマルカシェンクはこれに続くことができるだろうか…。

ショウナンアルバは、明確な目的のレースを立てず、距離短縮で持ち味が活かせるかが今回のテーマだったと思われる。その点では収穫があっただろう。最後の直線で内を突き、前が詰まり気味になりながら差を詰めていた。

ショウナンアルバのこれまでの8戦は、すべてふた桁馬番での出走だ。枠順で言えば、1~4枠での出走が一度もない。

それが良いのか悪いのか判断が難しいところはあるが、同じウォーエンブレム産駒ブラックエンブレムは、先週の秋華賞も含めて過去4勝をすべて馬番5番以内の内枠で挙げている。ショウナンアルバも内で溜める競馬ができるようになれば、今後の大成も期待できるのではないだろうか。

競馬ファンの視点で考えると、「馬券を当てる」目的という人が多いことだろう。しかし、「目的」「目標」の関係で考えるなら、当てるためのプロセスをもっと重視するべきなのかもしれない。

3連単が当たらないという人は、まずは1&2着を当てる馬単での的中を目指すべきで、もっと言えば勝ち馬を探すことから始めるべきなのかもしれない。いや、それ以前に、レースの流れがどうなるかを考えることに集中するべきか。

『<勝負脳>の鍛え方』によると、訓練すれば、「目的」よりも「目標」を重視する姿勢を取れるようになるという。心の機能を高める習慣を作ることで、脳は必ずいきいきと働き始めるそうだ。さっそく今日から実践してみたいと思います(笑)。

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