豊作ぶりを大いにアピールした父ミスプロ系は今年、ひと味違う!?
文/編集部
出走馬15頭の父を見ると、
ミスプロ系が
8頭、
サンデー系が
4頭、その2系統以外が
3頭。昨年までで、
京王杯2歳Sにおける
父ミスプロ系の最多出走頭数は、
99年の
5頭だった(ちなみに、その年に勝利したのは
カーソンシティ産駒のミスプロ系
ダイワカーソン)。
最多出走頭数を大幅に更新することとなった
父ミスプロ系。1番人気
フィフスペトル、3番人気
エイシンタイガー、4番人気
ダブルレインボーなど、8頭の中には上位人気馬も含まれていた。レース史上初となる
「父ミスプロ系が馬券圏内を独占」も決して夢ではない。そんな雰囲気が漂っていた。
それは現実のものとなり、1着
ゲットフルマークス、2着
フィフスペトル、3番人気
エイシンタイガー。
父ミスプロ系が馬券圏内を独占することに。そして、4着は
父サンデー系の
トップカミングだったが、5着にも
ダブルレインボーが入り、
父ミスプロ系が他系統を圧倒する結果となった。
今年の
父ミスプロ系は元気がいい。そんな兆しは早くから見られていた。先週の
ファンタジーSこそ、
父ミスプロ系の出走はわずかに
2頭だったが、
フィフスペトルが制した
函館2歳Sも、
出走馬14頭中7頭が
父ミスプロ系だった。また、
京王杯2歳Sと同じように、2着
ナムラミーティアを除くと、掲示板は
父ミスプロ系が占めていた。
兆しというのは、
函館2歳Sの前にまで遡る。今年の2歳新馬戦がスタートしてから、
父ミスプロ系がとにかくよく勝ち上がっていたからだ。過去10年、父ミスプロ系の芝の2歳新馬勝ち星を見ると、
98年20勝、
99年19勝、
00年19勝、
01年19勝、
02年25勝、
03年23勝、
04年20勝、
05年11勝、
06年10勝、
07年30勝。
そして今年はというと、
11月16日を終えた時点で
30勝を挙げている。08年の競馬も残すところ、あと1ヵ月少々となったが、昨年にマークした
30勝がこれまでの最多だったから、
記録更新は目前まで迫っている。
仕上がりの早さと
短距離向きのスピード。
ミスプロ系の代名詞とも言える長所だが、それを思う存分に発揮できる舞台、そのひとつが
京王杯2歳Sだろう。だから、過去10年で99年
ダイワカーソン、00年
テイエムサウスポーと勝ち馬が2頭しか出ていないのは、少し解せない印象があったのも確か。
いずれにしても今年、その
ミスプロ系の長所をいかんなく見せつけたのは、
単勝61.9倍の14番人気という人気薄の
ゲットフルマークスだった。ポンと好スタートを切り、道中では後続を少し離し気味に飛ばしてそのまま逃げ切り。1000m通過は
58秒9で、ペース自体は速すぎず遅すぎず。そして、上がり3Fを
34秒1でまとめてみせた。
勝ち時計
1分21秒6は、
2歳戦のコースレコードタイ。前週に行われた
マレーシアカップ(準OP)のそれが
1分21秒7だから、その比較からいっても、決して展開に恵まれた勝利ではなく、自分の力で掴み取ったものだ。
ゲットフルマークスの馬名の意味は
『満点を取る』らしいが、個人的には満点をあげてもいいと思います(笑)。
フィフスペトル、
エイシンタイガーは内ラチ沿いを通り、
33秒8の上がりで追いかけたが、
ゲットフルマークスに
34秒1で上がられては差し届かずもやむを得ない。直線で外を回ったグループは見せ場なく掲示板外に終わったが、
計算上、32秒台の脚を使わないと届かない状況であり、2歳馬にそれを求めるのは酷な話である。
ゲットフルマークスの父である
マイネルラヴは、デビュー3戦目の
百日草特別(東京芝1800m)で
2勝目を挙げたのち、
東京スポーツ杯3歳S2着、
朝日杯3歳S2着、
京成杯5着、
アーリントンC2着、
ニュージーランドT4歳S3着、
NHKマイルC7着となった。
秋の
スプリンターズSでは
シーキングザパール(2着)、重賞8連勝中で1.1倍の断然1番人気だった
タイキシャトル(3着)を退け、
7番人気で
大金星を挙げることになるのだが、2歳秋から3歳春の間は重賞で勝ち切れないレースが続いた。
京王杯2歳S以降、2~3歳戦の芝重賞は
1600m以上が主体となってくるが、その距離ゾーンは
父サンデー系を中心とした、
父ミスプロ系以外の父系が管轄する領域に入ってくる。
父ミスプロ系の中にも
NHKマイルC、
ダービーを制した
キングカメハメハなどがいるが、どちらかと言えばそれは少数派だ。
ゲットフルマークスはこの後、暮れの
朝日杯FSを目指すことになるだろうが、父が突破できなかった
他の父系が強さを見せる領域でどんな走りを見せるのか。もちろんそれは
ゲットフルマークスに限った話ではなく、
父ミスプロ系のすべての産駒が向き合うことになる課題と言っていい。
今年の
京王杯2歳Sは、
父ミスプロ系の豊作ぶりを大いにアピールした。それは、
「今年の父ミスプロ系はひと味違うぞ!」という意味も含まれているのか。当面は、
現2歳の父ミスプロ系の動向から目が離せないことになりそうだ。