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父内国産馬限定の冠が外され、総合力が問われる重賞に変わった
文/編集部

カペラSは正真正銘の『第1回目』の重賞だが、こちらの中日新聞杯も、ある意味で『第1回目』だった。父内国産馬限定競走から混合競走へ。門戸が広く開放されることとなった。

その甲斐あってと言うべきか、今年は1着ヤマニンキングリー、2着フサイチアソートマル父ではない馬がワンツーを決め、4着にもオペラハウス産駒(オペラブラーボ)が入った。掲示板内の過半数をマル父以外が占めたのだから、マル混への移行はひとまず成功したと言えるのかもしれない。

父内国産馬限定競走が廃止された背景には、言わずもがな、サンデー2世種牡馬の活躍がある。

“サンデーの長男”であるフジキセキの産駒がデビューしたのが1998年。それからすでに10年が経過し、数々のG1を父内国産馬が勝つようになった。今年はアグネスタキオンが、1957年のクモハタ以来となる内国産リーディングサイアーにならんとしている。最近の活躍を見れば、確かにマル父だからと言って保護する必要はないのが事実だろう。

しかし、今年の中日新聞杯を終えて、今度は別の問題が浮上してきたようにも感じられた。

上位に入った馬の父を見れば外国産が多いものの、母の父に目を転じると、1着、2着、3着、4着がサンデーサイレンスで、6着と7着もサンデーサイレンス。なんのことはない、マル父の冠がなくなり、母父サンデーの独壇場へと姿を変えたのである。

近い将来、『父も母父もサンデーサイレンス系以外の限定競走』でもできるんじゃないだろうか。そんな悪い冗談が頭に浮かぶほど、今回の『第1回目』の結果は強烈だった。

今回、ヤマニンキングリーで優勝したデムーロ騎手は、昨年のサンライズマックスに続いて2年連続の中日新聞杯優勝だが、他にもいくつか『連続』した事象があった。

サンライズマックス京都で3勝を重ねた後、中日新聞杯で初重賞制覇を遂げており、一昨年優勝のトーホウアラン京都&東京で3勝を挙げていた。

今年のヤマニンキングリー札幌・京都・中京で合計4勝をマークしていて、前2年の優勝馬と同じく、『急坂コース以外で勝ち鞍を重ねてきている馬』だった。

さらに言うと、中日新聞杯12月に施行されるようになった00年以降、05年までは3歳馬の成績が[1.2.3.18]だったが、ハンデ戦に変わった06年以降は3連勝。3歳馬の成績は[3.2.1.6]と一変している。

平坦コースで切れ味を発揮できる3歳馬が、比較的軽目のハンデも利して快勝する。そんなパターンが続いているのである(ついでに言えば外国人騎手が3連勝中)。

トーホウアランは今年の京都大賞典を制し、サンライズマックスエプソムCで優勝した。前2年の覇者は、古馬になっても切れ味を活かす競馬で活躍を見せており、もちろんヤマニンキングリーも今後が楽しみだと言えるだろう。

一方で、この3頭を合わせての中山&阪神での成績は[0.2.1.6]最後に急坂のあるコースでも切れ味を落とさずに走れるかどうかが、これからの課題となってきそうだ。

なお、今回のヤマニンキングリーの優勝で、アグネスデジタル産駒の中央重賞制覇3度目となった。シンザン記念ドリームシグナルが勝ち、ユニコーンSユビキタスが制している。

今回の優勝が、アグネスデジタルの種牡馬としての評価にどのような影響を与えるのか、馬産地ライター兼旅人の村本浩平氏に聞いてみた。すると……あまり変わらないんじゃないか、という返答だった。

誤解のないように補足をすると、すでにアグネスデジタル日高で高い評価を得ており、言ってみれば「これぐらいやって当然」ということなのだ。

クラフティプロスペクター(ミスプロ系)×チーフズクラウン(ダンチヒ系)という配合で、サンデーの血を持つ肌馬などにも付けやすく、気性的にも素直でまったく問題なし。生まれてくる産駒の出来も悪くないし、デビューした後も芝・ダート問わず活躍しているので、とにかく「種付けしやすい」との評価を得ているという。

言われてみれば、ユビキタスのようなダート活躍馬を出す一方で、今回のヤマニンキングリーのような芝で切れるタイプも輩出しているのだから、種牡馬としての奥が深いのだろう。アグネスデジタルは、競走馬時代にオールマイティな活躍を見せたが、種牡馬としてもオールマイティな能力を備えているようだ。

種牡馬として一時代を築いたサンデーサイレンスは、「母父の良いところを引き出す種牡馬」とも言われていた。

母父サンデーの馬が上位を独占したことに目を奪われた今年の中日新聞杯だったが、実は上位に入った馬の父は、母父の力を上手く引き出す種牡馬でもあるのかもしれない。

これからの芝重賞は、父と母父の総合力で勝負する時代になる。そんな風にも感じられた。

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