体も期待感も走るたびにボリュームアップ
文/編集部

単勝は
未勝利、500万と2連勝中の
リーチザクラウンが
1.3倍の1番人気、
新馬、札幌2歳Sとデビューから2連勝中の
ロジユニヴァースが
5.8倍の2番人気。
3番人気は
ファミリズムで
17.0倍と大きく離されていたので、オッズ的には3連勝がかかった2頭に支持が集中した今年の
ラジオNIKKEI杯2歳S。
レースでも、
リーチザクラウンが飛ばして逃げ、
ロジユニヴァースが2番手から追いかけ、3番手以下は大きく離される展開だったため、4コーナーで3番手以下が詰め寄るシーンもあったが、視点はほぼ前を行く2頭に絞られ、マッチレースを見ているような様相だった。
その戦いを制した
ロジユニヴァース。レース後は思わず
「強いなあ」と声が出てしまった。前後半の1000mのタイムを見ると、前半は
59秒9、後半は
61秒8。
ハイペースの前傾ラップとなり、最後はスタミナ、根性比べとなったが、
ロジユニヴァースは2番手から抜け出して4馬身差の圧勝。
逃げた
リーチザクラウンは上がり3Fが
38秒2。直線で脚色が鈍ってしまったが、
ロジユニヴァースはそれを1秒1上回る
37秒1の上がりを使って突き放した。離れた後方で脚を溜めていた
マッハヴェロシティ(4着)がメンバー中最速となる
37秒0の上がりを使ったが、位置取りの差を考えれば、
ロジユニヴァースがいかに優秀だったかが分かる。
レース後、手綱を取った
横山典弘騎手が
「競馬が本当に上手ですね。この先が本当に楽しみですし、このまま無事にいってくれれば頑張ってくれると思う」と
ロジユニヴァースを褒めていたのも納得の勝ちっぷりだ。ゴール直後のガッツポーズも、期待通り、いや、それ以上の走りに喜びがこみ上げたのだろう。
ロジユニヴァースのパフォーマンスも然ることながら、
馬体重がまた増えていたのにも驚いた。
3ヵ月ぶりだった前走の
札幌2歳Sは
26kg増、そして、今回も同じ
3ヵ月ぶりだったが、そこからさらに
10kg増。デビューからの馬体重は
468kg→
494kg→
504kgと推移し、
デビューから半年の間に
36kgもボリュームアップしている。
05年の勝ち馬
サクラメガワンダーは、
ラジオたんぱ杯2歳Sが
472kg、今月の
鳴尾記念を制した時がデビュー以来、最高馬体重となる
492kg。
約3年の歳月を経ても
20kg増である。04年の勝ち馬
ヴァーミリアンも、
ラジオたんぱ杯2歳Sが
496kg、今月の
ジャパンCダートに出走した時が
524kg。
約4年をかけても
28kg増ですよ。
和製ビヨンセとして名を馳せた
渡辺直美も、テレビで観かけるたびにボリュームアップしていると感じたが、それでも、
『笑っていいとも!』のレギュラーになってから(今年の3月31日)、
10数kg増えた程度らしく。まあ、人間で1年もかからずに10kg以上増えればたいしたものですけど(笑)。
横山典弘騎手は
「若駒なのですごい成長力があると思います。中間の攻め馬にも乗ってますから、体重が増えていても(10kg増)、上背が伸びたという感じでしたから、何も心配はしていませんでした」と話していたが、
半年の間に36kgも体が増えて、重賞2勝を含めてデビュー3連勝を飾る馬なんて、見た記憶がない。
逆に、
リーチザクラウンは今回が
ロジユニヴァースと同じ
504kgだったが、デビューから
520kg→
518kg→
508kg→
504kgとレースを走るたびに体が減ってきていた。絞れたという感じではないだけに、直線で追われてから反応がひと息だったのは、そのあたりと無関係ではないかもしれない。
ロジユニヴァースは97年
ロードアックス以来、
11年ぶりに
関東馬として勝利を挙げた。久々に関東からクラシックで主役を張れる大物が誕生したが、
ロジユニヴァースはデビュー前もこのレースの前も
栗東に滞在し、
栗東の坂路で鍛えられていただけに、純粋な関東馬とは思えない印象もある(関東と関西のハーフ?)。
阪神JFで
2着に好走した
ダノンベルベールもそうだったが、最近は
栗東で調整してレースに臨む関東馬が目立つようになってきている。今後も
“栗東効果”を期待して、栗東で調教する関東馬が増えそうだが、
施設格差が結果を通して証明されればされるほど、競馬場の改修より先に、その是正が急務と言えるだろう。
いずれにしても、
ロジユニヴァースは体のボリュームアップとともに、今後の期待感は増すばかり。父である
ネオユニヴァースも、初年度産駒から楽しみな馬を送り出したものだと感心しきり。その父は
皐月賞で
4連勝、
ダービーで
5連勝を飾り、
牡馬クラシック二冠を制したが、果たして息子は!?