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ジャイアンツが優勝すると、こちらのジャイアンツも勢力を増す?
文/編集部

エイシンアポロンは日本に派遣されたその尖兵か。全世界を版図に「ジャイアンツコーズウェイ系」大繁栄の時代がやって来るのか。

00年、12週間に英愛G1を5連勝し、その後、米ダートのBCクラシックでも2着した“鉄の馬”ジャイアンツコーズウェイ。その産駒が、今年5月の京王杯SCにおけるスズカコーズウェイに続き、日本の重賞2勝目を記録した。

米国で供用されている父ジャイアンツコーズウェイは、今年、BCを終えた段階で自身初となる北米リーディングサイアーの座がほぼ確定的となっている。英愛のランキングでも、米国供用馬としては最上位の16位につけており、一方ではその後継馬である05年の仏二冠馬シャマーダルが、今年平地のリーディングファーストクロップサイアーとなっただけでなく、総合でも父より上の9位という、種牡馬として華々しいデビューを飾っている。ちなみに、このシャマーダルは、シャトルサイアーとしてアイルランドオーストラリアを行き来しており、オーストラリアではこの11月、欧州に先駆けてG1馬を出したばかりである。

まだ12歳という若さにも関わらず、ジャイアンツコーズウェイの勢力拡大が急速な理由は明白だ。まず、前述のとおり、競馬場を問わない。次に、ダート、そして近年話題の各種オールウェザーなど、馬場を問わない。そして、距離を問わない。活躍する年齢を問わない。それでいて大レースにも強い。要するに、産駒全般の傾向としては「何でもアリ」だからである。

産駒の成績から具体的に紹介すると、今年もっとも華々しく活躍したのは、3歳牝馬限定の英マイル芝G1、英1000ギニーコロネーションSを連勝したガナーティ。これに米国の古牝馬G1で、ダート8.5FのラフィアンHを制した5歳牝馬スウィフトテンパーが続く。

また、新興戦のためまだG外戦だが、プロライド(オールウェザー馬場の一種)の14Fという、米国では異質な長距離戦BCマラソンというレースでは、3歳牡馬マンオブアイアン(カジノドライヴの半弟に当たる)が優勝した。

そのプロライド9Fで2勝、さらに芝のマイルでも1勝と、今年だけで馬場の違うG2を計3勝したカウボーイキャルという4歳牡馬もおり、これに日本調教馬のスズカコーズウェイと、2歳重賞での勝ち星を記録したエイシンアポロンが加わる。

なお、直仔ではないが、前述したシャマーダル産駒の豪G1馬は、フェイントパフュームという3歳牝馬で、芝2500mのVRCオークスを制している。

汎用性の高さが魅力である一方、産駒の活躍条件にまったく一貫性がないというこの側面は、調教師が適性条件を計りづらいという点では弱点と言えるかもしれない。スズカコーズウェイの場合、芝1600mで勝ち上がってから約1年は、芝1600~2200mが主戦場で、芝1400~1600mにシフトしてから成績が安定し、先の重賞勝ちに至っている。

エイシンアポロンもまた然り。母父サドラーズウェルズという長距離血統もあってか、デビューから3戦連続して使われたのは芝1800mだったが、前走で芝1600mデイリー杯2歳Sを走って2着、そして今回の芝1400mで1着と、距離短縮によりその成績は向上した。もしかすると、ダートではさらに強いという可能性もなきにしもあらずだが、2歳秋という早い段階で、適性らしき条件を発見できたということはポジティヴに捉えたい。

また、脚質という面でも、今回は17頭立ての中団8~9番手から差す競馬を見せたが、勝ち上がった未勝利戦や前走で見せたのは、2番手からの競馬だった。5着に終わったデビュー戦では後方から追い込む競馬にも挑んでおり、デビューから3戦手綱を取った小牧太騎手による「追い込み→先行→差し」という素早い模索も、2歳中の重賞勝ちには強く貢献したように思う。

距離、そして脚質と、ひとまずは自分の“型”を見つけたエイシンアポロンだが、これが完成型であるかはまだわからない。奇しくも京王杯2歳Sの歴代勝ち馬には、先日引退したブルーコンコルドという、やはり規格外だった先輩もいる。

日本におけるジャイアンツコーズウェイ産駒の旗手となっていくのかどうかなど、この馬の完成像は、今の段階から想像して楽しいものがある。


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