ローズキングダムはイメージや思い込みを覆す馬となるか?
文/編集部
イメージや思い込みが先行していたせいで、結果を見て驚かされたり、意外に思ったりする。そういったことは普段の生活でもよくあることだが、競馬の世界では特に多い気がする。
「この馬が買えるのはG3まで」、
「この騎手がG1を勝つのはまだ早い」、
「この種牡馬の産駒を長距離戦で買うなんて……」などなど、馬券を買う際に冷静な分析結果よりそういったイメージを優先させてしまうことは多いのではないか。私はそうです(まあ、そのせいで馬券をハズすことが多いわけですが……)。
この東京スポーツ杯2歳Sもそんなイメージ先行型のレースだったような気がする。
10~11月の東京や京都の新馬戦を勝ち、東京スポーツ杯2歳SからラジオNIKKEI杯2歳Sへ。
クラシックを目指すような大物2歳馬の王道路線として、このようなイメージを抱いている人は多いのではないだろうか。2歳戦で中距離重賞が少ないのがその要因だとは思うが、実はこのレースはクラシックに直結するレースとは言いがたい面がある。
重賞に格上げされた97年以降の出走馬の中で、後にクラシック(牡馬三冠)を勝った馬は、なんと05年2着メイショウサムソン(皐月賞、ダービー)の1頭しかいない。馬券になった馬まで広げてみても、97年1着キングヘイロー(皐月賞2着)、01年2着マチカネアカツキ(ダービー3着)、06年1着フサイチホウオー(皐月賞3着)、07年3着スマイルジャック(ダービー2着)、5着タケミカヅチ(皐月賞2着)と決して多くはない。
ちなみにラジオNIKKEI杯2歳Sは、同じ97年以降の出走馬の中から7頭のクラシック勝ち馬が出ており、それ以外でも14頭がクラシックで馬券になっている。こちらはイメージ通りだ。
このような事実があるにも関わらず、今年の出走メンバーが史上最高レベルと言われたこともあり、やはり後の展望や各馬のスケールを推し計りつつ予想をしてしまうのは、やはりイメージや思い込みのせいか……。
勝った
ローズキングダムは、デビュー戦快勝直後の一戦。無傷の3連勝中の重賞勝ち馬
サンディエゴシチーや、芙蓉S勝ち馬
ニシノメイゲツ、いちょうS勝ち馬
トーセンファントム、その他重賞やオープン特別で好走歴のある馬を差し置いて1番人気に推されていた。
それは、先ほど述べた後の展望までも含めた大物感が買われていた面が大きかったからかもしれないし、そういった意味では今年はレースに対するイメージ通りの結果になったと言えなくもない。
ただ、ここで覚えておきたいのは、
ローズキングダムがそういった面とは別に、このレースを勝つに相応しい馬だったということ。
「新馬戦1着後の馬が過去8年で5勝」、
「追い込んで勝った馬より前走4角6番手以内の馬が強い」、
「このレースに強い(3勝)母父サンデーサイレンス」、
「速い上がりを使った実績がある馬が強い」など、
ローズキングダムは多くの好走条件を満たしていた。
過去最高レベルと言われた今年の出走メンバーの中でも、冷静に分析していれば、どの馬よりも普通に買える馬であった。来年以降も、このあたりをしっかり覚えておくことは、それぞれの馬のスケールを推し計るよりもずっと大切なポイントであるだろう。
それでは、
ローズキングダムの今後の可能性はどうか?
レースとしてはスローの上がり勝負で、勝ちタイム、上がりなど、特に例年に比べて出色というほどのものでもない。しかし、レース後に小牧騎手が
「乗りやすくて自在性があり、レースに行ってもどっしりしている」というようなことを述べていた通り、
まず大崩れしなさそうなレースセンスの良さと、最後の叩き合いを制した高い勝負根性を兼ね備えている点では、2歳馬としてはやはり傑出した印象がある。
加えて母ローズバド(01年フィリーズレビュー勝ち、02年オークス・エリザベス女王杯2着)で、
おなじみ薔薇一族の出身という血統背景。クラシックでも期待するなという方が無理があるだろう。久々にこのレースからクラシックを勝つ可能性を秘めた大物が出現したと言ってもいいのではないだろうか。
また、この馬には、もうひとつ大きな役割がある。それは
父キングカメハメハの名を高めることだ。
昨年は2歳リーディングサイアーを獲得した父ではあったが、クラシック戦線においては、種牡馬としては同期のネオユニヴァースの産駒の活躍によって影が薄くなってしまった。今回の重賞勝利は、昨年の函館2歳S(フィフスペトル)以来になる。
近年に成功した種牡馬には、アグネスタキオン(2世代目にダイワスカーレット)やスペシャルウィーク(2世代目にシーザリオなど)など、初年度がパッとしなくても、2年目に大物産駒を送り出し、大ブレイクした種牡馬たちもいる。
また、芝の勝ち鞍は1800m戦が一番多く(25勝)、1200m戦、1600m戦がそれぞれ13勝と、実は
芝では短距離型よりも中距離型の産駒が多いというデータもあり(11月15までを集計)、クラシックで距離適性に大きく疑問符がつくわけではない(2000m戦は6勝、2200m、2400m、2600m戦でも勝ち星がある)。
父のためにもクラシックでの活躍が期待される。そういった面も含めて
ローズキングダムの今後には注目していきたい。